【社説】北による違法攻撃に直ちに対処せよ(中)

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は、北朝鮮による砲撃の直後、韓民求(ハン・ミング)合参議長に対し、「数倍にして懲らしめろ。北朝鮮の海岸砲基地布巾には(北朝鮮の)ミサイル基地がある。そこで挑発の兆候が見られれば、攻撃するように」と指示した。さらにこの日夜、李大統領はソウル市竜山区の合参を訪問し、「100回の声明より、行動で対応するのが軍の義務。北朝鮮が少しでも奇怪な動きを見せた場合は、直ちに基地を攻撃するなど、大いに懲らしめなければならない」と語った。これは当然の対処だ。

 だが、国家の安全が危機にさらされている決定的瞬間に、大統領府(青瓦台)の関係者の一部が、大統領の発言を「断固として対応する一方で、戦闘を拡大しないよう管理せよ」と誤って伝え、後に訂正するというハプニングが起こった。このようなミスは今後、絶対に繰り返されてはならない。敵の不法無道な攻撃に立ち向かう場面では、韓国国民が受けた被害を数倍にして敵に返すという、臨戦無退の精神に尽きる。

 攻撃に先立ち北朝鮮は同日の午前中、韓国の陸海空軍が合同で行う軍事演習「護国訓練」を問題視し、北朝鮮側の地域に射撃を行った場合、「座視しない」と脅迫した。また、延坪島砲撃の後には、「南朝鮮の傀儡(かいらい)が、わが領海に砲射撃を加える軍事的挑発を敢行し、わが革命武力が即時的かつ強力な物理的打撃を加えた」と、韓国側に責任を転嫁した。

 しかし国防部は、「海兵隊がこの日西海で実施した射撃演習は、護国訓練の期間と重なっただけで、1カ月に1度実施している定例の砲撃訓練だ。着弾地点は北側でなく、延坪島南西の韓国領海だという事実を北朝鮮側に事前通報している」と発表した。海岸砲の砲撃訓練が毎年随時行われている中で、北朝鮮がこれに文句を付けてくるというのは、言いがかりに過ぎない。それよりは、相次ぐ核の脅威で韓国と米国から政治的・経済的代価を得ようという試みが功を奏さなかったことへの反発か、あえて韓国と軍事対立を起こし危機をあおることで、三代世襲体制に対する北朝鮮内部の不満を外に向かわせ、収拾しようという意図があるともみられている。

 韓国の首に北朝鮮が刃物を突きつけるという安全保障上の非常事態に際し、平和な時期に戦争の危険に備えることができなかった国家や国民は、結局戦争の渦中にのみ込まれてしまうという歴史の教訓の上に立ち、韓国の政治指導部に訴える。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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