そういえば、先週初めて「ハリー・ポッター」を観た(ネタバレあり)
奥さんが観たいというので借りてきたんだが… なんだあれ、クイズ・マジックアカデミーのパクリだっ!
冗談はともかく、二度観た感想など適当に書くと、捨て子が伯母夫婦にいびられて暮らしているところからスタート。普通はあの時点で人間曲がると思うんだけどな。伯母夫婦のクズすぎる人間性に感動を覚えたが、ハリーの母が魔法使いであることを忌みつつ受け入れてるあたりがすげーぜ。どうせなら従兄から受ける虐待描写はもっと暴力的であるべきだと思った。殴る蹴る方面の。
で、なんだかんだあって魔法学校に入学する。この時点でハリーの両親が偉大だとかいう理由で特別扱い。いきなり皆の人気者、ハリー。そんなら虐待受けてるころからちゃんと大人が目をかけてやれよ。あからさまに怪しいターバン男も登場。魔法学校に向かう途中、冴えない親友候補と性格の悪い幼女らと合流、さらに、またしてもあからさまに性悪な同級生もライバル風に出てきてベタ過ぎて萎える。もっとも、たいした力もなさそうで適当な嫌がらせやチクリ程度のことしかしないのが何であったが。
入学してさらに特別扱いされて、偉そうな校長自ら説教を垂れたり先生から庇護目的のアイコンタクトを受けたりやりたい放題。普通はそこまで明確なご贔屓が公然と行われたら、絶対そいつは靴隠されたりカバンにうんこ入れられたりしてイジメられる運命にあると思うのだが、特にそういう風情も感じられず学生生活をエンジョイしてるようで腹立つ。同じく腹立つほど根性が湾曲気味なヒロイン風幼女は「性格が悪いから友達がいない」と侮蔑されて便所で泣くというあたりは溜飲が下がる。
ルール説明からして全然面白くなさそうなスポーツでハリーが危険な目に遭ってるけど、なんか魔法をかけて殺そうとしたとかいう話ってさ、先生勢ぞろいで試合観戦してるのに誰も誰が危険な魔法かけてるのか気づかないもんなの? お前らは魔法をかけることには才能あるけど魔法がかけられていることを見破る能力はないんですか。校長もそこにおってただ心配しておろおろしてるだけという不始末。偉大な魔法使いという扱いになっているようだが、現実ではただの耄碌した枯れたジジイに過ぎないのではないかと思う。早めに生前葬をしておいたほうが世の中のためである。
で、学内に隠された賢者の石とかいうアイテムを、ハリーの両親を殺した存在が捜索して回っているという話になり、見るからに悪党然とした鹿賀丈史風の黒ずくめ教師がハリーとその友人間では犯人扱いに。映像では状況証拠ばかりが並べ立てられてて不自然極まりないし、確たる証拠は何もないというあたり作為的なものを感じずにはおれない。
学校の護衛というか門番のおっさんが騙されて、賢者の石を守る仕組みをバラしてしまったため、この賢者の石を守るためにハリー一味が活躍するわけだが、後から思うとターバンのおっさんを疑ってやまない鹿賀丈史こそ、その賢者の石を盗む企みを阻止しうる第一人者だったろうと思う。ここで働かずしてどこで活躍するのだ鹿賀丈史。
あれこれあって、賢者の石を手にしたハリーをターバン男が襲うんだけど、なんであいつ石になって死んだの? 良く分からない。つーか、ナイフとか拳銃とか気の利いた武器のひとつも持って来いよと思うし、お前ら魔法使いなんだろ素手で首を絞めに逝くな馬鹿と。逆にハリーがナイフ持ってたら返り討ちに遭うだろうが。そしてハリーも武器とか何の準備もしていないという。興ざめすぎる。どっちもどっちだバカタレ。最終決戦なんだから、ちゃんと殺しあえよ。とりわけ、悪党側の手抜かりが許せない。あそこまで用意周到に計画を立て賢者の石を手にする企みを築き上げているというのに、最後の最後で丸腰の子供一人殺せないという、そんな詰めの甘いやり口で作戦を失敗に導くなど、工作員としての才能に重大な疑問を感じずにはおれないわけである。せっかく「ハリー・ポッター討ち取ったり」の好機だったというのに。
もっとも、あんなところにハリーがのこのこ登場しなければ、鏡から賢者の石を取り出すことはターバン男にはできなかったわけで、賢者の石を欲しがらない人間が必要なこの仕掛けを永久にターバン男は解くことができず、校長も出張から帰ってきて悪事は露顕しただろう。そのままターバン男はとっ捕まり、身に覚えのない疑惑を勝手にかけられてコケにされた鹿賀丈史もマントを焼かれることもなく、賢者の石も砕かれずにいつまでも鏡の中にあり続けたことだろう。そう考えれば、一連のハリーがやったことはすべて「余計なこと」であり、お前がいなければ本件は事件化することもなく終わっていたことだろうと思われる。
最後は、何か校長がハリーらの知恵と勇気を讃えて丸く収まって一件落着という不思議な事態が。おい、教師が一人、ハリーに石にされて殺されたんだぞ。そこに憑依してる霊みたいな奴も逃げたぜ。何も解決してねえぞ。良く考えろ、ハリーは一人、人を殺したんだ。学校で教師が生徒に殺害されたわけである。どこまで平和ボケしてるんだ、この魔法学校は。階段が動くとかそういう造詣の問題じゃない、人殺しをした生徒を甘やかして殺人事件の露顕を防ぎ、学校の世間体を守るために問題を揉み消しているモラルハザードについてイギリスは深く議論すべきなんだよ。ハリーは法律に基づいて逮捕されるべきだ。正当防衛を主張するかもしれないが、最低でも学籍を剥奪して少年院送りに処さなければならない。教育者として、問題を全力でなかったことにするとは何事だ。これでは良く分からない理由で石にされ殺されたターバン男とその家族が浮かばれない。遺族は学校を訴えるべきだな。
この映画が私たちに伝えたかったことは、力ある者にとっては勇気ある自重が重要であり、時間が解決する性質の問題に臨んでは蛮勇を振り絞って立ち向かうよりも見て見ぬふりをすることが最終的に全体の利益になるのだ、という真実なのだろう。
とっても面白かった。
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Comments
>奥さんが観たいというので
只野野呂家化
Posted by: ■□ Neon / himorogi □■ | 2008.12.23 at 16:25
>奥さんが観たいというので
只野野呂家化
Posted by: ■□ Neon / himorogi □■ | 2008.12.23 at 16:25
ネタバレがあるので、見終わったら読むかも。
Gyaoで特別上映されるらしいので、そっちで見る。
本も読んでいないし、見られるものは一応見るということで。
オススメは、
サンシャイン・ステイト
ジョン・セイルズ/監督
これだ。アメリカの本当の大衆がよくわかる。
アメリカ映画なのに、アメリカンドリームがないところがいい。
こ
Posted by: | 2008.12.23 at 16:36
>とっても面白かった
面白かったんかい!とディスプレーに突っ込みました。
Posted by: ponta | 2008.12.23 at 16:49
七巻通して読んだ感想が読みたい。
もちろん松岡女史の微妙な翻訳とスイス節税ネタもセットで。
Posted by: 悲喜もこもこ | 2008.12.23 at 17:39
この調子で全シリーズよろしこ
回を追うごとに殺伐としてくるので隊長好みではないかと。
Posted by: Rosso | 2008.12.23 at 18:10
銃撃戦とビル爆破とカーチェイスがない映画なんて。
Posted by: みかん | 2008.12.23 at 18:38
4作目あたりからハリーはやっかまれ始めていじめられっ子になるから大丈夫ですよ。
Posted by: | 2008.12.23 at 19:38
面白かったならいいんじゃないでしょーか?
原作の世界観は異常なので突っ込みがネタじゃなくて成立してるところがすごい。
ハリーの叔父さんたちは魔法使いが嫌いで嫌いでしょうがないのに魔法使いに強制的にハリーを預けられてかつ、登場人物全員に馬鹿にされるという非情に哀れな一家です・・・「ああ、妹があんな男と結婚しなければよかったのに!」
Posted by: ぼやっきー | 2008.12.23 at 20:46
このエントリーが私たちに伝えたかったことは、ネタある者にとっては勇気あるスルーが重要であり、時間が解決する性質の問題に臨んでは無い知恵を振り絞ってコメントするよりも見て見ぬふりをすることが最終的に全体の利益になるのだ、という真実なのだろう。
とっても面白かった。要するに血で痔。
Posted by: 野ぐそ | 2008.12.23 at 20:47
何をおこちゃま映画ごときにロジック尽くして能書き垂れてるんじゃボケが
仕事せい
Posted by: みけ | 2008.12.23 at 21:17
隊長殿は娯楽映画を楽しめないのでありますか?
娯楽は娯楽であります。
Posted by: ERIO | 2008.12.23 at 21:34
隊長殿は娯楽映画を楽しめないのでありますか?
娯楽は娯楽であります。
Posted by: ERIO | 2008.12.23 at 21:34
驚異の小宇宙 シリーズ第一回 ~人間関係の恐怖~
>普通は人間曲がる
>クズすぎる人間性に感動
>忌みつつ受け入れてるあたりがすげー
>虐待描写はもっと暴力的であるべき
>冴えない親友候補と性格の悪い幼女
>あからさまに性悪な同級生
>たいした力もなさそう
>適当な嫌がらせやチクリ程度のことしかしない
>入学してさらに特別扱いされて、やりたい放題
>そこまで明確なご贔屓が公然と行われたら、絶対そいつはイジメられる運命にある
>学生生活をエンジョイしてるようで腹立つ
>腹立つほど根性が湾曲気味なヒロイン風幼女
>侮蔑されて便所で泣くあたりは溜飲が下がる
>現実ではただの耄碌した枯れたジジイに過ぎない
>早めに生前葬をしておいたほうが世の中のため
>見るからに悪党然とした鹿賀丈史
>状況証拠ばかりが並べ立てられてて不自然極まりない
>確たる証拠は何もないというあたり作為的
>ここで働かずしてどこで活躍するのだ鹿賀丈史
>お前ら魔法使いなんだろ素手で首を絞めに逝くな馬鹿
>どっちもどっちだバカタレ
>ちゃんと殺しあえ
>悪党側の手抜かりが許せない
>詰めの甘いやり口で作戦を失敗に導くなど、工作員としての才能に重大な疑問を感じずにはおれない
>一連のやったことはすべて「余計なこと」
>お前がいなければ本件は事件化することもなく終わっていた
>ハリーは一人、人を殺した
>どこまで平和ボケしてるんだ
>人殺しをした生徒を甘やかして殺人事件の露顕を防ぎ、学校の世間体を守るために問題を揉み消しているモラルハザードについてイギリスは深く議論すべき
>ハリーは法律に基づいて逮捕されるべき
>最低でも学籍を剥奪して少年院送りに処さなければならない
>遺族は学校を訴えるべき
>力ある者にとっては勇気ある自重が重要
>蛮勇を振り絞って立ち向かうよりも見て見ぬふりをすることが最終的に全体の利益になる
>とっても面白かった
Posted by: 野ぐそ | 2008.12.23 at 22:00
まさか今ごろ一作目とは。さすがですね。
どんどん大人になるキャストにご注目ください。
校長役のおじいさんはお亡くなりになり、
3作目から別の人です。
Posted by: ピクミソ | 2008.12.23 at 22:26
原作の方はお読みになられていないのですか?
原作は作者の処女作なので洗練されてませんが、
映画の方は長い原作を短くまとめるというかはしょっているので余計にわかりにくい作品になってますよ。
単品で見た分にはたぶん大抵の人が隊長さんと同じ評価になるかと。
そして、最後のまとめはおいどんもおおいに同感です。
面白かったですよね。
Posted by: クロ | 2008.12.24 at 00:24
とっても面白かった。この記事が
使える能力に比べて感知能力が低すぎるフィクションが
多いのはなんとかならんのかな?
Posted by: あああ | 2008.12.24 at 00:56
ここまでしてネットで目立ちたいのか!
Posted by: s | 2008.12.24 at 01:04
超お金持ちになれるから、突っ込みどころ満載の物語を書けばどうですかね。
Posted by: qoo | 2008.12.24 at 01:12
>とっても面白かった
このオチは、反則なんではないかと、
一応、苦言申し上げる。
Posted by: ひろ | 2008.12.24 at 02:03
マジアカじゃのうて、ねぎまのぱくりっすよ?
Posted by: マジカルてぃーちゃーツインヅ | 2008.12.24 at 04:22
>とっても面白かった
奥様の機嫌が心配で、顔面蒼白になったのですね。
わかります。
Posted by: MUTI | 2008.12.24 at 06:22
あれですね、好きな人と見るとなんでも楽しめちゃうという。今が一番楽しい時という。隊長本格的に普通のおっさんになってきちゃったですな。
Posted by: こめこめ | 2008.12.24 at 10:14
先日から白いねこさんが来なくなってフーンと思ってたら白黒ねこさんがやって来て白いねこさん用の猫まんまを激しくゲット。ねこ界における生存競争の激しさを目の当たりにし、ひとり佇む野ぐそであった。
そして父ちゃんの遺品を整理中。
Posted by: 野ぐそ | 2008.12.24 at 13:44
まぁ、大抵の魔法は「飽きた!」って言っちゃえば解けますよ。それが正攻法中の正攻法でしょ。んでまぁ、そんなん言い出したら諸事話にならんから、なるべくロジカルに出来る限り知的に限りなく穏便に果てしなくスマートに「アナタの言い分のここんところが可笑しくね?」って感じで搦め手からネチネチ締め上げてるだけのことで。
何かあったら正攻法でいいじゃん式の考え方をしてると搦め手から攻める人のやり口が異様に上手いと感じるだけのことで、別に正攻法だろうが奇手奇策だろうが、要は陥としちゃえばそれでいいわけだから。どっちでもいいんですよ、そんなもん。
ただまぁ、正攻法でドカーンとぶつかっちゃうと相手もキレて「何をこの野郎!!」ってなっちゃうから、そーなると泥仕合化してややこしくなるから、んだから「自分は出来るだけスマートに搦め手から攻めて相手は正攻法に固執していただく」のが、取り敢えずは最上って感じ。
それが現代の魔法なんだと思うよ。多分。
Posted by: 野ぐそ | 2008.12.24 at 16:02
二度観たってとこが偉いわ。
当方は一度で懲り懲り。飽きなかったけどねw
Posted by: その一 | 2008.12.24 at 16:06
魔法にかからない一番のコツは「どっちでもいいしどうでもいい」なんだよね。そればっかりだと学問も仕事も人生設計もいい加減になっちゃうから「こうでなければ、こうあらねば」は必要なんだけど、そこに固執し過ぎると行く末駄目になってしまうから、やるだけやったら後は死んでも構わない的な諦観が必要、とも。
自分の知識や努力や経験や実績が、ある日突然くるっとひっくり返って転落することになったとしても、それでいい・それがいいって感じで自身を客観視出来るようになったらば、まぁ大概の魔法には掛からんすよ。
堕ちるの怖がったり死ぬのを嫌がったりしてると、そこが付け目で幾らでも魔法掛けられるんだ。
世の中そんなもんでしょ。
Posted by: 野ぐそ | 2008.12.24 at 16:21
スリザリン最高!
スネイプ先生最高!
スネイプ先生は20年前にナカトミ・ビルを占拠して以来ずっと最高だ!
スリザリンこそが漢が学ぶべきクラスであり、グリフィンドールのしょんべん臭い童貞フチャチン連中はザ・パンチのツッコミ的な最後を遂げろ!つまり死ね!
Posted by: きんたま画伯 | 2008.12.25 at 20:11
CMがやたら多くて、むかつく。
なんとかの帝国の方は、
途中一切CMがなかったのに。
不動産屋より酒屋の方が文化度が高いということかな。
本と映画より、作者の生活保護でコーヒー一杯で、物語を書き綴ったという方が感動できるな。それと、映画の方も、見事にそういう構成で、コーヒーたくさん飲めるって感じだった。ただ、新聞小説も、そういう節目があって、これはこれで面白いのと同じでさ。ストーリーがどうのこうのでなく、単にこのリズムなんだろうな。
定型というのは、いい技法だよ。ブログがつまらないのは、文字数が決まっていないからだろうな。せいぜいあるのは、毎日ダラダラ。あと、ネットニュースが新聞社のものにしても、広まっていかないのは、定型が弱いんだよ。一枚の紙に記事を収めるって、その点では優れていたし、今でもすぐれているし、だから、iPhoneで新聞紙面というのは、案外継続できるだろうね。だいたい、新聞は、見出しで十分なんだから、ネットも見出しの工夫をしてほしいよね。見出しぐらい、縦書きでもいいのかもね。電車の吊り広告みたいに。
Posted by: | 2008.12.26 at 16:12