THE INCIDENTS インシデンツ 正式オープン準備版



THE INCIDENTS インシデンツ 正式オープン準備版
小説 『誤認手配』(54)
筆者 - 黒木昭雄
2010年 11月 22日(月曜日) 04:05

 「俺は、本件事件が警察庁の指定を受けたことで特捜に加わった外様だ。しかも、みなのように多くの捜査経験があるわけじゃない。だが、このまま箕島拓海を犯人として追い続けることに無意味さを感じている。箕島の逮捕状を取り、それを公開した以上、組織の威信にかけても箕島を逮捕しなければならないこともわかる。しかし、俺は、箕島拓海が一連の事件の真犯人だとは、どうしても思えないんだ」

 「待ってください、北島管理官! いったい何を言い出すんですか。この場は箕島逮捕に向けた検討会なんですぞ!」

 「それは十分に知っている。だが松本さん、俺は覚悟を決めて来たんだ。悪いが、最後までしゃべらせてくれないか」

 「……はぁ~」

 北島の勢いに押されて、松本が口をつぐんだ。

 「さて、みなさんにも聞いてほしい。池田警部補が調べたN情報で、俺も一度は箕島拓海がホシではないかと疑った。だが、いまだに『死体遺棄容疑』でお札(逮捕状)を取る程度の資料しかない。もちろん、逃走中の被疑者を追うことに血眼になることもわかる。しかし、これだけ捜査に時間を費やしているのに、なぜ新たな物証が発見されないのだろうか。そして、普通なら得られるはずの、その後の目撃証言がまったくないのはなぜなんだ? もし箕島拓海が犯人だとするなら、さらなる証拠が見つかってもいいんじゃないのか」

 「しかし、北島管理官」

 松本が遠慮がちに口を挟んだ。

 「管理管はそう言いますが、我々は白黒つける裁判所ではない。だから、『被疑者』と呼ぶんです」

 「何が言いたい?」

 「ですから、つまり、我々は箕島拓海を被疑者とするに十分な指紋の採取に成功したのですから、今さら、『指名手配は尚早だった』などと言われても困ります。捜査1課長や刑事部長が、この話を聞いたら、何と思うでしょうか。それどころか、こんな話が外へ漏れたら、それこそマスコミの餌食です。北島管理管、あなたが責任を取ってくれるんですか?」

 「そうか、松本さん」

 北島が1歩、前に出た。

 「あんたはそんなケツの穴の小さな判断をするのか。それじゃ、あんたは無実の可能性のある者が被疑者とされ続け、その肉親が途方もなく苦しみ続けることに呵責はないんだな。被害者は口さえきけず、遺族は間違った人間を恨み続けることになる。そんなことで被害者の魂が浮かばれるわけがない!」

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動画「警察腐敗、その背景と底流にあるもの」を公開
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 21日(日曜日) 23:00

 10月31日、インターネット報道番組『インシデンツ LIVE』(生放送)で、「警察腐敗、その背景と底流にあるもの」と題し、元北海道警察本部釧路方面本部長の原田宏二さんに話を聞いた。原田さんの経歴や当日のレジュメは、《10月31日17時から『インシデンツ LIVE』第1回を生放送》の記事を参照。

 番組の最後で、原田さんが「だんだん、寺澤さんと話していると、暗い気分になってきちゃった。やめましょう」と言うぐらい、救いのない話が延々と続いたかもしれない。しかし、これが紛れもなく、現在の警察や検察、司法と政治の姿なのだ。

 当日、筆者の不手際で番組の前半、数十分間が生放送されなかった。ここで改めておわびするとともに、その部分も加えて編集した動画を10分割で公開したい。

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(1/10)

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(2/10)

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(3/10)

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(4/10)

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(5/10)

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(6/10)

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(7/10)

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(8/10)

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(9/10)

 動画 警察腐敗、その背景と底流にあるもの(10/10)

 
小説 『誤認手配』(53)
筆者 - 黒木昭雄
2010年 11月 19日(金曜日) 14:00

 捜査はその後も進展することなく、箕島拓海の行方はようとしてつかめなかった。日に1度開かれる記者レクも、「本日は特にお話しできることはありません」というそっけないものばかりで、近頃では但馬捜査1課長の姿を見ることもない。

 最初の大竹紗月事件の発生からほぼ2カ月が過ぎた連休明けの2月14日、特捜本部に60名もの捜査員を集めて検討会が開かれたが、捜査1課の9係長、松本は相も変わらず、「箕島拓海の潜伏先を突き止めろ」と発破をかけ、マスコミの論調を否定した。

 「マスコミは箕島拓海の自殺説を言い出しているが、我々がそんなものに惑わされることがあってはいけない。ホシは必ず生きている。生きてどこかで息を潜めているはずだ。そして次なる事件の機会をうかがっているに違いないんだ!」

 松本はそう言って捜査員を見渡すと、菊山を見つけて声をかけた。

 「菊山、新宿2丁目で目撃された男の素性は割れたのか」

 菊山が立ち上がった。

 「当該男性は、いわゆるゲイで箕島拓海とはまったくの別人であることが確認されています。そのことについては主任を通じて報告してありますが、届いてないんでしょうか」

 菊山のトゲのある言い方を受けた松本は、机上の綴りに目を落とすと話を変えた。

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外国人集住都市会議に3副大臣が出席
筆者 - 柳原滋雄
2010年 11月 15日(月曜日) 14:50

末松義規・内閣府副大臣 南米日系人の多い地方自治体で構成する「外国人集住都市会議」が年次総会ともいえる会議・シンポジウムを11月8日午後、東京都内で開催した。発足から10年目にはいった同会議は2001年、浜松市(静岡県)の呼びかけで始まったもので、当初は6県にまたがる13市町でスタート。現在は、28市町に拡大され、行政への政策提言などを継続して行ってきた。

 この日は第1部で、各所属都市から概括的な報告がなされたあと、第2部で内閣府、総務省、法務省、外務省、厚労省、文部科学省、文化庁の担当者から報告を受けた。これまでの外国人登録法では、外国人の居住地を地方自治体が把握することは困難だったが、昨年7月、外国人登録法の廃止と入管法の大幅改定とともに、住民基本台帳法が改正され、外国人の存在を把握できるようになった(2012年7月までに施行)。会場では、肯定的な声が多く聞かれ、法務省入国管理局の須賀正広・登録管理官は、「この会議の大きな成果だと思う。(外国人集住都市会議の存在は)私たちに対する健全な圧力団体と認識している」と発言した。

 第3部では、日本政府側から初めて政務3役が出席し、末松義規・内閣府副大臣、小宮山洋子・厚生労働副大臣、笹木竜三・文部科学副大臣の3人がパネリストに加わった。

 外国人集住都市会議ではこれまで国に対し、明確な「外国人受け入れ方針」を定めることや、多文化共生政策を積極的に進めるための省庁横断型の「外国人庁」(仮称)の設置などを求めてきたが、「消費者庁をつくるにも10年近い年月がかかった。国民全体の議論の高まりが必要だ」(末松氏)、「民主党に2期8年任せてもらえるなら、省庁再々編のなかで検討できるかもしれない」(小宮山氏)など、上記の政策提言に正面から前向きな回答をすることはしなかった。浜松市の鈴木康友市長は、「外国人庁を設置するかどうかは国の覚悟の問題」と強調した。

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黒木昭雄さんの最後の映像(10=了)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 12日(金曜日) 16:45

 黒木昭雄「これからも(佐藤梢さん殺害事件を)追及していく。いくつか(取材の)やり残しがある。しかも、それはかなりググッといくやつ。もし、それが成功したら、かなりググッ」

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(10=了)

 
黒木昭雄さんの最後の映像(9)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 12日(金曜日) 16:30

 黒木昭雄「ちょっとカッコつけていうと、ジャーナリストとしての性(さが)。終わった事件を、自分が変だなあと思いはじめて、1枚、2枚、めくっていったら、新たな事実がどんどん出てくる。そうしたら、ふつう、やらないですか」

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(9)

 
黒木昭雄さんの最後の映像(8)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 12日(金曜日) 16:15

 黒木昭雄「小原(勝幸容疑者)は殺されていると思っている。その犯人が(佐藤)梢さんを殺している可能性を考える。警察はそれらを全部知っていて、死人に口なし、安心して、小原勝幸に懸賞金までかけた。小原を(佐藤梢さん殺害の)犯人と断定できる理由は、どこにもない」

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(8)

 
黒木昭雄さんの最後の映像(7)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 12日(金曜日) 15:50

 黒木昭雄「岩手県警も非常に困った。小原勝幸(容疑者)が(恐喝)被害を受けていた事件に関して、突っ込まれるのは非常に嫌だった。ところが、警視庁出身のうるさいジャーナリストがいちばん痛いところを突いてきたので、岩手県警は警察庁に泣きついた」

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(7)

 
黒木昭雄さんの最後の映像(6)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 12日(金曜日) 04:25

小原勝幸容疑者 黒木昭雄「懸賞金というのは、規定からいうと、事件の発生から6カ月を経過したもの(にかけられる)。4カ月で、2カ月前倒しで、(小原勝幸容疑者に)懸賞金をかけちゃってるんですよ。これ、変じゃないですか」

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(6)

 
黒木昭雄さんの最後の映像(5)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 12日(金曜日) 03:10

 黒木昭雄「この事件に関して、岩手県警がちゃんとした捜査をしないので、警察庁に伝えた。ところが、警察庁がちゃんとした指揮をしないので、(当時の)国家公安委員長(中井洽衆議院議員)に対して、なんとかしてほしいというものを書いたわけだけれども、警察庁から戻ってきたのは、ボクの名前を入れても4行。『黒木様からの書面を拝見しました。国家公安委員会は警察庁を管理する行政委員会であり、ご指摘のような個別の事案には対応できませんので、ご理解ください』」

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(5)

 
黒木昭雄さんの最後の映像(4)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 12日(金曜日) 01:20

 黒木昭雄「小原勝幸(容疑者)という人物は、恐喝事件については被害者である。小原容疑者は、一方では被害者で、一方では容疑者である。当時、(小原容疑者が)交際していた佐藤梢さんは(同容疑者が恐喝されていた120万円の)保証人。その友だちである(同姓同名の佐藤)梢さんが殺されている。これをはたして、一般の視聴者も含めて、別々の事件だと考えるのか、それとも1つの事件だと考えるのかが非常に重要だと思う」

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(4)

 
黒木昭雄さんの最後の映像(3)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 11日(木曜日) 14:45

 黒木昭雄「2007年5月1日、小原(勝幸)容疑者が、実は、恐喝の被害を受けていた。『現金120万円をよこせ』と。そのときに保証人の名前として、当時、(小原容疑者が)交際していた『佐藤梢』さんの名前を書いてしまった」

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(3)

 
黒木昭雄さんの最後の映像(2)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 11日(木曜日) 11:10

 黒木昭雄「小原(勝幸)容疑者は右手に重傷を負っていた。病院の先生からもいろいろ話を聞いたところ、『あの右手では、人の首を絞めたりできない』と」

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(2)

 
黒木昭雄さんの最後の映像(1)
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 10日(水曜日) 00:25

黒木昭雄さん通夜 11月2日、元警視庁巡査部長でジャーナリストの黒木昭雄さんが練炭自殺とみられる遺体で見つかった。享年52歳。

 黒木さんは1976年4月に警視庁に採用され、警察署や自動車警ら隊で薬物事犯の検挙に活躍。同事犯の検挙実績は200件を超え、覚せい剤取締法違反事件で警視総監賞19回を獲得している。

 1999年2月、黒木さんは警視庁を退職し、ジャーナリストへ転身。同年4月に発表された処女作『警官は実弾を込め、撃鉄を起こした』(草輝出版)で、「警察組織は、もはや自浄不能と見切りをつけ、外部から、勇気と信念を以てその巨大な壁に挑戦し、蟻の一穴を穿(うが)とうと、『活字メディアという諸刃の剣』を携えて警視庁を退職し、執筆活動に入ろうと決意したのだ」と書いている。

 ここ2年余り、黒木さんが没頭して取材してきたのが、岩手県で発生した佐藤梢さん(当時17歳)殺害事件。警察は、佐藤さんの知人の小原勝幸氏(当時28歳)を被疑者として全国指名手配しているが、黒木さんは合計数カ月間も岩手県に滞在し、捜査さながらの取材を展開したうえで、「同姓同名の『佐藤梢』さんは2人いて、しかも彼女たちは同級生かつ親友。遺体で発見された佐藤さんは、小原氏の恋人の佐藤さんと人違いで殺害された。おそらく小原氏も同一犯に殺害されている」と結論づけた。

 しかし、警察は、あくまでも小原氏が佐藤さん殺害の被疑者だとし、マスコミは警察発表を報道するだけか、そもそも田舎の事件だと関心を示さなかった。黒木さんが取材の成果を発表できたのは、一部の週刊誌とテレビ番組、ネットメディア、そして自分自身のブログ『黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」』にすぎない。一方、2年以上の地方取材は黒木さんに数百万円の借金を抱えさせ、今年に入り、「家を売らないといけない」とこぼさせるほどだった。

 警察とマスコミに対する黒木さんの絶望は大きく、それに借金苦が重なり、自殺へ追い込まれたといわざるをえない。

 7月25日、ジャーナリストの山岡俊介さんと筆者が運営するインターネット報道番組『野良犬ジャーナル~事件の真相を追え!~』(生放送)では、黒木さんをゲストに迎え、佐藤梢さん殺害事件の全貌を解説してもらった。

 今回、ビデオテープをもとに編集し、黒木さんの遺志を伝えたい。

 動画 黒木昭雄さんの最後の映像(1)

 
竹原信一阿久根市長らが群馬県安中市で講演
筆者 - 寺澤有
2010年 11月 08日(月曜日) 00:40

竹原信一&仙波敏郎 11月6日、群馬県安中市で竹原信一・阿久根市長(写真左)と仙波敏郎・同副市長(同右)が講演を行った。主催者は大桃聰(おおもも・さとし)・新潟県魚沼市議会議員ら。

 竹原市長は「(阿久根市役所)職員の過半数が年収700万円以上。市民の7割以上が(年収)300万円以下。こういう現実を(職員が)ひた隠しにしてきた。これが、おそらく日本中でやられている。公務員の給料なんか、(国民が)知ってあたりまえ。(公務員が)結託して隠している」と公務員と民間人の収入の著しい格差、および公務員が自分たちの好待遇を情報公開していないことを批判(以下の動画を参照)。

 動画 竹原信一阿久根市長が群馬県安中市で講演

 「政治家や公務員が身分になっている。いつでも入れ替えられるものに変えなければならない」(竹原市長)と訴えた。

 尖閣諸島の領有権をめぐり、日本と中国の関係がきな臭くなっている現在、竹原市長の次の言葉が印象的だった。

 「国民がはじめた戦争なんてない。戦争で自分たちの利益があがる、地位が上がるという人間たちがはじめる。大企業、政治家、公務員、マスコミなどだ」

 竹原市長に続いて登壇した仙波副市長は、愛媛県警察本部巡査部長時代の2005年1月に実名、顔出しで記者会見を開き、警察の組織的な裏ガネづくりを内部告発している。今年8月、竹原市長の専決処分(首長が議会を経ないで決定すること)により、阿久根副市長に就任した。竹原市長は、職員賞与半減や市議会議員報酬日当制なども専決処分している。

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10月31日17時から『インシデンツ LIVE』第1回を生放送
筆者 - 寺澤有
2010年 10月 29日(金曜日) 05:30

☆当日まで本記事がトップに掲載されます☆

 「ジャーナリストの寺澤有と仲間たちが神出鬼没で生放送する報道番組」と銘打ち、『インシデンツ LIVE』をはじめる。第1回は10月31日17時から元北海道警察本部釧路方面本部長の原田宏二さんに「警察腐敗、その背景と底流にあるもの」というテーマで話を聞く。

 【視聴用ホームページ】
 ↓↓↓↓↓クリック!↓↓↓↓↓
 『インシデンツ LIVE』

 以下、原田さんから送られてきたレジュメを掲載する。

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「毎日新聞社は取材相手に原稿を見せます」訴訟が結審
筆者 - 寺澤有
2010年 10月 29日(金曜日) 03:15

 ジャーナリズムで発表前の原稿やゲラ(以下、原稿にゲラも含む)を外部へ見せることは、原則禁止されている。「検閲」を許していては、「報道の自由」が守られないからだ。

 たとえ取材相手から「原稿を見せてほしい」と要求されても、拒否しなければならない。原稿を見せて、相手の要求をいれて書き直したものは、客観報道とはいえないからだ。しかも、原稿を見せることで、取材相手がインサイダー取引や脅迫(「こういう記事が出る」と他者を脅す)などの犯罪を行う可能性もある。

 もっとも、わざわざ取材相手に原稿を見せて、金品や広告などの対価を条件に、原稿を書き直したり、記事掲載自体を中止したりする記者やメディアも存在する。それらは「ブラックジャーナリズム」と呼ばれている。

 2009年10月に単行本『福田君を殺して何になる―光市母子殺害事件の陥穽(かんせい)―』(増田美智子著、インシデンツ刊)が発売される直前、同事件の福田孝行被告(29歳。2008年4月、広島高等裁判所で死刑判決が言い渡され、上告中)の弁護人、安田好弘、足立修一弁護士らから「原稿を見せてほしい」という要求があったときも、当然、拒否した。そもそも、安田、足立弁護士らは、増田さんの再三の取材申し入れを拒否しており、取材相手とすらいえない。

 すると、安田、足立弁護士らは広島地方裁判所に対し、『福田君を殺して何になる』の出版差し止めの仮処分を申請した。「福田被告の実名を掲載することは少年法第61条『家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない』に違反する」「増田は福田被告に原稿を見せる約束をしていた」という主張だった。

 同年11月9日、広島地裁は以下の理由で仮処分の申請を却下した。

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岡崎トミ子国家公安委員長が警察の「裏文書」の調査を約束
筆者 - 寺澤有
2010年 10月 26日(火曜日) 12:20

岡崎トミ子国家公安委員長 警察には、「裏ガネ」だけではなく、「裏文書」も存在する。国の情報公開法や都道府県の情報公開条例で文書が開示されることを防ぐため、「用済後廃棄」という指定を行い、その文書ははじめから存在していなかったことにしているのだ。詳細は《情報公開制度逃れを指示する警察の文書》の記事を参照。

 この問題について、筆者は、10月19日に消費者庁で開かれた岡崎トミ子・国家公安委員長兼内閣府特命担当大臣の記者会見で質問した。なお、岡崎委員長は警察庁で記者会見を開くこともあるが、こちらは、警察庁が「庁舎管理権」なるものを持ち出し、フリーランスを記者会見場に入れることを拒否している。

 以下、消費者庁ホームページ掲載の「岡崎内閣府特命担当大臣記者会見要旨」から引用する。

 寺澤 最近、警察の内部文書を手に入れまして、これすぐに提供しますね。そこに書いてあるのが、「昨今の情報公開制度に対応するため、備局(警察庁警備局)では、一般文書(情報)の保管について、ほとんどが「用済後廃棄」となり長期保存はしていない」で、この文書の同じところに、「規定により処分された文書をいつまでも生きた文書として残すことがないように「焼却処理簿」等で完全に処分した事実を残しておくようにしてください」と書いてあるんですね。
 つまりこれどういうことかと言うと、情報公開法でいろいろな文書を公開しなければいけなくなると、なっているわけですね、既に。これに対坑するために、警察庁の指示で全国の警察では「用済後廃棄」という指定をして、その文書が元々無いことにしているんですね。後々問題にならないように、実際にそれを捨てちゃいましたと、廃棄しましたという証拠も残しておけというふうな指示をしているんです。実際には手元に残しておくわけですよね。
 それで先日、警察庁情報公開室に行ってきました。実際に、この「用済後廃棄」という文書がどうなっているのか取扱いを聞いてみたところ、実際にこういうものがあると。「では、これどんなのがあるのか出してくれ。情報公開請求をしたい」と言ったところ、「たくさんある。たくさんあって出せない」という話になって、「だけど、じゃあこれ、たくさんあるのだったらどんな文書があるのか。例えば、警察庁刑事局の刑事総務課には用済後廃棄の文書、例えばこんな文書が何枚あるのかというリストを出してくれ」と言ったところ、「リストも作成していない」と言うんですね。
 そもそも、こういった文書は情報公開法によれば、行政文書は、文書管理ファイルにどんな文書があるというのを全部載せておかなければいけないわけですね。それを見て国民が情報公開請求をするんですから。その文書管理ファイルにも載せていないと言うんです。つまりどういうことかと言うと、このたび警察庁と全国の警察で、大量の裏金ならぬ、裏文書というのがあることが発覚したわけですよ。これに対する対応を今後どうするのかを聞かせていただきたいんですが。

 岡崎 私のほうにはその情報が入っておりませんというか、報告がありませんでしたので、いずれにしましても情報公開については、適切に対処をしなければいけないと基本的に考えているところです。

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国民は「消費税のカラクリ」を知らない
筆者 - 寺澤有
2010年 10月 25日(月曜日) 02:25

斎藤貴男さん 10月16日、文京シビックセンター(東京都文京区)で、「消費税のカラクリ」と題する斎藤貴男さん(ジャーナリスト)の講演があった。主催は、今年5月に「第二言論サミット」を開催した草の実アカデミー。第二言論サミットについては、《イベント 第二言論サミット》《「第二言論サミット」開かれる》の記事を参照。

 この日の講演のタイトルは、斎藤さんの近著『消費税のカラクリ』(講談社)からきている。出版不況のなか、同書はすでに3万部を売り上げているが、「『東京新聞』以外、書評などで取り上げてくれない。マスコミ総出で財務当局と一緒になり、消費税増税を推進しているから」(斎藤さん)という。

 まず、斎藤さんは「消費税は、広く、薄く負担するといわれるが、まったく違う。力関係で弱い者が負担するのが消費税」と説明する。これを理解するためには、消費税の納税義務者が消費者ではなく、事業者であることを知らなければならない(消費税法第5条)。

 「中小の事業者は力関係で価格に消費税を上乗せすることが難しい。ボクの場合でも、出版社が原稿料に消費税を上乗せしてくれないことがある。そうなると、消費税分は自分の利益から支払わなければならない。原価割れで販売したときなど、赤字が拡大する」

 このような「無理な税制」(斎藤さん)のため、国税滞納額に占める消費税の割合は約3割にもなるという。斎藤さんが続ける。

 「消費税増税が決まり、大手スーパーの経営者にインタビューすれば、『増税分は私どもの経営努力で負担し、お客様にはご迷惑をおかけしません』と言うに違いない。しかし、それは自分たちの利益を減らすということではなく、増税分を納品業者に負担させるということ」

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同時進行ルポ 東京地検記者会見の黒い霧(3)
筆者 - 三宅勝久
2010年 10月 23日(土曜日) 04:45

 《当庁発表「事前登録手続について」第1、(8)(筆者注:会員社が発行する媒体に署名記事等を提供するなど、十分な活動実績・実態を有すると認められる者)に該当しないため》

 東京地検の定例会見に出席できると聞いて「事前登録」を試みた筆者は、結局のところ上記のような無味乾燥な一文で登録不許可処分となった。日本新聞協会や日本雑誌協会など特定の団体に加盟した業者(会員社)の証明書がないとダメ――。東京地検検察広報官である森田茂男氏の説明は、要するにそういうことだった。いくら考えてもわからない理屈である。

 記者という同じ職業に携わっていながら、ある会社と関係がある者は会見に出席することができて、それ以外の者は出席できない。その会社がどういう基準で選ばれているかはいっさい不明ときている。

 東京地検の基準でいけば、たとえば薬局の業界紙である『薬事日報』は会見出席が認められる。「日本専門新聞協会」に属しているというのがその理由だ。一方、『週刊金曜日』はダメである。『薬事日報』と『週刊金曜日』と、どちらがより多くの検察に関連する報道をしているか、明白なのにもかかわらずだ。

 やはりこういう扱いは「差別」という表現が的確だろう。「ハンセン病への偏見や差別をなくしましょう」などと大書きした垂れ幕を飾っている検察庁は、その足元で露骨な差別をやっている。そうとしか思えない。

 差別されて気分のいい人はいないだろう。筆者も気分を害した。それでも当初は、あくまで「記者会見に出席できない」という扱いに腹が立ったくらいで、取材の実務面に関しては不便を感じることはないだろうと考えていた。会見に出席できなくても、東京地検がこちらの聞きたいことに答えてくれればそれでよい。「事前登録」はあくまで定例会見のためのもの。個別の取材については別だろう。そう考えていた。

 ところが、すぐにこの考えが甘かったことに気づいた。「事前登録は定例会見のため」という東京地検の説明は真っ赤なウソだったのだ。ウソに気づいたのは以下の事件がきっかけである。

 さる7月9日午後4時ごろ、朝日新聞のインターネットサイトで、偶然こんな見出しの記事を見つけた。

 「感染研の元会計担当職員、収賄罪で起訴 東京地検特捜部」

 国立感染研究所の職員・藤野信明氏(懲戒免職)が、業者から賄賂をもらった収賄罪で起訴された。そういう内容だった。記事を見た筆者が反射的に興味を抱いたのは、記事のネタ元だった。

 「起訴」というのは刑事訴訟法上の司法手続きである。したがって情報が出うる経路は3つ。訴追する側の検察、被告人を裁く場である裁判所、そして被告人自身や家族・知人または弁護人の3つである。

 筆者は電話をとり、東京地検にかけた。電話に女性職員が出た。要件を説明する。

 「国立感染研究所の藤野さんが起訴されたという件についておうかがいしたいんですが」

 「ああ、記者会見した件ですね」と女性は言った。

 「記者会見やったんですか?」

 「はい、2時半からやっています」
 
 東京地検はこの日、つまり7月9日午後2時30分から記者会見をやって起訴を発表したのだという。情報の出所は東京地検だった。朝日新聞の記事は東京地検の発表をもとにして書かれたものだった。

 引き続き女性職員に尋ねた。

 「発表内容を確認したいので教えてください」

 「あ、はい」

 女性が口ごもった。

 「発表されたんですよね」

 「はい」

 「正確な記事を書きたいので、発表内容を教えてください」

 「失礼ですが……」

 「ジャーナリストの三宅勝久といいます」

 「ちょっと確認しますので少しお待ちください」

 電話は保留音に変わった。そして数分後、男性の声に変わった。

 「どうもどうも森田でございます」

 聞き覚えのある声は森田広報官だ。フレンドリーな口調である。

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小説 『誤認手配』(52)
筆者 - 黒木昭雄
2010年 10月 22日(金曜日) 23:15

 それから、何一つ進展しないままに1月も31日を迎え、律子はこの月の中旬頃から「N&K建築事務所」に復帰したが、職場の空気の悪さに耐えかねた。所長の森本信夫は頑として律子を守る姿を見せたが、妻の久美子は世間体を気にした。社員の娘が同僚社員の実兄に殺害されたと警察が断定したのだから、迷惑がられるのも致し方がない。

 森川館に押しかけた樋口真理子は今も医療施設で警察の保護下にある。「N&K建築事務所」は真理子に温情ある処分が下されることを願い、この日、所長室に集めた社員1人ひとりから得た署名を添えて、警察に提出する嘆願書を作成した。そこには律子の名前もある。そうした中、律子をもてあます久美子が、信夫に耳打ちした。

 「さっきもマスコミが来たのよ」

 律子は限界だと悟った。

 律子はこの日のために用意した退職願いを信夫の机の上に置くと、丁寧に頭を下げた。

 「私は今でも兄が犯人だとは思っていません。だけど、私がここにいたら、真理子さんの戻る場所がありません。それにこれ以上、みなさんにご迷惑をおかけするわけにもいきません。だから私は、今日31日をもって会社を辞めさせていただきます」

 所長の信夫は断腸の思いを苦渋の表情に変えて目をつぶり、妻の久美子はしおらしく下を向いた。建築士の丸山登が警察の発表に不満を漏らす程度で、社員たちが押し黙る中、久美子の弟で専務の佐久間優だけがただ1人、感情をむき出しにして言った。

 「ここには箕島さんを守ろうという人間はいないのか!」

 優が密かに律子に思いを寄せていることを知る信夫は複雑だった。年の差はあるが、縁があって結ばれたら、それはそれで喜ばしいことだと思っていたのだ。

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あっぱれ! 住民訴訟敗訴確定後も非常識を貫き通す杉並区
筆者 - 三宅勝久
2010年 10月 16日(土曜日) 11:40

佐野宗昭・杉並区議会事務局次長 杉並区議から選ばれた非常勤監査委員2人(関昌央、河津利恵子区議)が、2008年5月30日(土曜日)、31日(日曜日)の2日間、監査委員に在籍しただけで、5月分の報酬、各15万1000円を満額受け取った問題で、東京地裁(八木一洋裁判長)は9月30日、これを違法だとする判決を言い渡した。10月14日、杉並区側は控訴を断念、原告である筆者の勝訴が確定した。

 判決確定を受けて筆者は15日、杉並区広報課や議会事務局を通じて、田中良区長や小泉靖男議長、前議長の富本卓区議、当事者の関区議、河津区議に、それぞれ見解を求めた。だがいずれも、15日午後7時現在、返事はない。違法な税金支出が明るみになったにもかかわらず、区民に対して知らんふりを決め込んでいる。

 土日2日間の在籍で月額報酬を満額支給した杉並区の根拠は、1日でも在籍したら月額を満額支給すると定めた同区の条例である。この条例に関して、八木裁判長は判決理由で、以下のように述べている(判決中、条例を「本件支給規定」と表現)。

 《議員のうちから選任された非常勤の監査委員に対する報酬の支給を本件支給規定の例によるものとすることについては、本件各委員におけるような場合を含めて一律に月額をもって定めた報酬の全額を支給するものとする限りにおいて、法(地方自治法)203条の2第2項の規定により定められた議会の裁量権の範囲を超えるものとして、同規定に違反し、無効であるというのが相当である》

 つまり、1日でも在籍したら1カ月分の月額報酬を全額支給するとした条例そのものが違法であると判断した。そして、その違法な条例を作ったのは「議会の裁量権の範囲を超える」と、議会の責任にも言及している。

 訴訟中、杉並区側は一環して「条例どおり払っただけで違法性はない」と繰り返していた。だが、控訴を断念したということは、この期に及んで、ようやく自らの誤りを認めたというわけだ。

 条例やそれに基づく支出の違法性、無効性が司法によって指摘され、杉並区も従った。この事実を区民にどう説明するのだろうか。筆者は15日午前、杉並区広報課を通じて田中良区長の見解をただした。

 「現在調整中だから、本日中にはファックスで回答する」

 広報課の職員は、そう答えた。だが午後7時になっても、回答は届いていない。

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運転免許更新は廃止すべきと内閣府に提案
筆者 - 寺澤有
2010年 10月 15日(金曜日) 07:40

 9月10日から10月14日まで、内閣府は、「おかしな規制や制度の見直し」に関する「国民の声」を集中受け付けした。受付にあたり、蓮舫・内閣府特命担当大臣(規制・制度改革担当)は、「重要な提案については、専門家・有識者を集めて、今年度中の実現に向けた議論を始める」というメッセージを発表していた。

 受付最終日の10月14日、交通ジャーナリストの今井亮一氏が、「現行の運転免許更新手続は廃止すべき」とする提案を行った。それによると、「(1)視力が衰えていないことを確認する、(2)本人確認のため最新の写真を免許証に貼る、(3)改正された法令を伝え、(4)安全運転意識を確認させる、そういったことが免許更新の意義であると警察庁は言いますが、それらはすべて、現行の更新手続による必要がないか、または、現行の更新手続では叶えられません」という。

 理由として、「(1)視力。警察が免許センターなどで行っている検査は、1人数秒の簡易極まるものです。視力検査が必要だとしても、民間の眼科医院などで検査し、検査証のようなものを提出等すれば十分です。(2)写真。運転者が自分で撮影してきた無帽、無背景、胸から上の正面写真を使えば十分です。社員証でもパスポートでも、その発行者が写真撮影も行う、ということがありますか? (3)改正法令。道路交通法とその施行令等は毎年のように改正(改正されたものが施行)されます。3~5年に1回の更新時にそれを伝えようという発想自体がバカです。(4)安全運転意識。これも、3~5年に1回の更新時に確認させて何になるのか」を挙げている。

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小説 『誤認手配』(51)
筆者 - 黒木昭雄
2010年 10月 11日(月曜日) 13:30

 記者会見場――。

 「我々は総力をあげて被疑者の特定に至りました」

 午後5時からの記者会見は、「箕島拓海の逮捕状を取った」としたうえで始められ、捜査1課長の但馬は、いつになく上機嫌だった。対立する北島を背後に従え、警視庁捜査1課長としての対面が守られたからである。

 但馬が「我々は極めて困難な状況下で被疑者の指紋の割り出しに成功したのです」と言った時、かたまりの中から記者が声をあげた。

 「1課長、まず被疑者を特定した経緯を説明していただけますか」

 「キミ、捜査の端緒をしゃべる捜査1課長がいるかね」

 Nシステムが拓海車両を特定したとは口が裂けても言えない。但馬は笑い飛ばした。

 「さて、大竹紗月死体遺棄被疑事件ほか、2件の死体遺棄被疑事件で全国に指名手配した被疑者の氏名などについては、お手持ちの広報文に記載されたとおりです。顔写真も添付しておきました。我々はこれからも可能な限り、情報を提供いたします。ですから、今後はマスコミのみなさんのお力添えをいただき、被疑者の早期逮捕に向けて取り組んでまいりたいと考えております。こうして指名手配した以上、箕島拓海の逮捕も時間の問題かと思いますよ」

 「1課長!」

 もう1度、同じ記者が声をあげた。

 「死体遺棄被疑事件となっていますが、箕島拓海が殺人の被疑者でもないんですか?」

 「さぁ、まだそこまでは……。ただ、この種の事件の場合、まずは、死体遺棄容疑で被疑者を逮捕し、その後、殺人容疑で再逮捕するのが捜査の流れです」

 「ということは、箕島拓海が連続殺人事件の被疑者とみていいんですね」

 「それについては、私の口からはなんとも言えんよ」と言いつつ、但馬が目に笑いを作った。こうして箕島拓海は連続殺人事件の被疑者となったのだ。

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岡崎トミ子国家公安委員長が「記者会見は国務大臣の義務」と明言
筆者 - 寺澤有
2010年 10月 08日(金曜日) 08:30

岡崎トミ子国家公安委員長 9月21日、筆者は岡崎トミ子国家公安委員長に対し、フリーランスも記者会見に出席させるよう文書で申し入れた。詳細は《岡崎トミ子国家公安委員長に記者会見開放を申し入れ》の記事を参照していただきたい。

 翌22日、岡崎委員長の秘書から電話があり、「警察庁はダメ(従前、警察庁は『庁舎管理権』なるものを持ち出し、フリーランスが庁舎内へ立ち入ることを禁止している)だが、消費者庁(岡崎委員長は消費者および食品安全、少子化対策、男女共同参画の内閣府特命担当大臣も兼務)で開かれる記者会見はオーケー」という。ただし、「(消費者庁)記者クラブとの関係もあるので、(同)広報(室)に連絡してほしい」と要請された。

 さっそく消費者庁広報室へ電話すると、名前と電話番号をきかれただけで、「(記者会見への出席を)承りました。記者クラブの幹事社の連絡先を教えますので、そちらへもご一報を」と言われた。続いて、幹事社・朝日新聞社の記者へ電話すると、「記者会見への参加申請書をファックスで送るので、それに記入して、送り返してほしい」とのことだった。

 参加申請書は、「氏名」「所属メディア」「連絡先住所」「連絡先電話番号」「連絡先ファックス」「メールアドレス」「参加の目的」「記事掲載予定日、媒体など」の8つが記入事項。そこで、「所属メディア」は「フリーランス」、「参加の目的」は「取材」、「記事掲載予定日、媒体など」は「自分で経営するニュースサイト『インシデンツ』や連載を持っている月刊誌『PiDEA』」と記入し、そのほかに要求されていた「名刺のコピー」と「過去の主な執筆記事のコピー」を添付して、ファックスで送った。

 後日、朝日新聞社の記者へ電話すると、「(記者会見に)参加していただいてかまいません。もともと(2009年9月に消費者庁が発足したときから)オープンでやっておりますから」と言われた。「国家公安委員長の職務に関する質問もできますか」と尋ねると、「もちろん。警察庁記者クラブの記者も参加していますし」という答えだった。

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