北朝鮮が、朝鮮半島西側の韓国のヨンピョン島を砲撃したことを受けて、韓国政府は、新たな挑発には武力で対抗するとして、北朝鮮をけん制するとともに、今後、国連の安全保障理事会での対応を視野に、日本やアメリカと連携して、中国などに対する働きかけを強めることにしています。
北朝鮮軍は、23日、朝鮮半島西側の黄海に浮かぶ韓国のヨンピョン島に数十発の砲弾を撃ち込み、これに韓国軍が応戦して、双方の間で砲撃戦となりました。北朝鮮が一般の住民が生活する韓国の領土を攻撃したのは、1953年の朝鮮戦争の休戦以来初めてのことで、この砲撃によって韓国側は兵士2人が死亡、15人がけがをしたほか、住民も3人がけがをしました。今回の事態を受け、イ・ミョンバク大統領は、23日夜、韓国国防省で「北の新たな挑発に対しては何倍もの火力で反撃しなければならない」と述べ、徹底して武力で対抗するよう指示し、北朝鮮を強くけん制しました。また、韓国軍と韓国に駐留するアメリカ軍は、5段階から成る北朝鮮に対する監視態勢を平時のレベル3からレベル2に引き上げ、衛星や偵察機などを通じて北朝鮮の動向を厳しく追跡することを決めました。その一方で、キム・ソンファン外交通商相は、23日夜、ソウルに駐在する日本の武藤正敏大使のほか、中国やロシアの大使を招いて、今回の砲撃の経緯を詳しく説明し、「北による意図的な休戦協定違反である」という立場を強調しました。韓国政府としては、今後、国連安保理での対応を視野に、北朝鮮の責任を追及していきたい考えで、日本やアメリカと連携して中国などに対する働きかけを強めることにしています。