北朝鮮砲撃:天安沈没時も報復するとしていたが…

「80発ほどの砲撃では自衛権の発動とは言い難い」

 23日の北朝鮮による延坪島砲撃への対応として韓国軍が取った行動について、安全保障の専門家たちは口々に、「政府と軍は哨戒艦『天安』が沈没した事件をもう忘れたのか」と不満をあらわにしている。北朝鮮による今回の砲撃は、天安が沈没した事件の延長線上にあるのは明白なのにもかかわらず、政府の対応は二つの事件を別個のものとして考えているかのような印象を与えるからだ。

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は今年5月24日、北朝鮮が天安を沈没させた事件について、国民への談話を発表した。そこで李大統領は、「大韓民国は今後、北朝鮮によるいかなる挑発行為も絶対に容認せず、積極的な抑止の原則を堅持するだろう。今後、われわれの領海、領空、領土を攻撃してきた場合には、直ちに自衛権を発動する」と明言していた。

 これについてある軍事専門家は、「北朝鮮の海岸砲基地に向け、韓国軍がK9自走砲により80発以上を発射したのは、延坪島への砲撃に限った対応だった。この程度では、天安が沈没した事件で李大統領が明言した『積極的な抑止原則』とは完全にかけ離れている」と指摘した。

 李大統領は今年5月4日、国防部で自らが主宰した全軍主要指揮官会議でも、「今回の事件(天安沈没)は、非常に好戦的な勢力の長射程砲が、わずか50キロ先からわれわれを狙っていることを改めて思い起させた」「われわれの安全保障態勢や意識は非常に緩み切っている」と指摘した。

 国防部の金泰栄(キム・テヨン)長官も、今年8月24日に国会国防委員会に出席した際、「1月に朝鮮人民軍が海岸砲で攻撃してきたことをきっかけに、合同参謀本部は交戦守則を取りまとめたが、最近これを見直し、現場の部隊に通知した」と証言した。これによると、北朝鮮が韓国側の領土に攻撃を加えてきた場合、比例性の原則に従って2-3倍規模の火力で報復を行うことを示唆していた。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事 記事リスト

このページのトップに戻る