「７年間、日本人の１３歳年下の男性とお付き合いしてたんですけど、別れちゃいました」

●斉藤こず恵さん

　最近の子役はどう演じればみんながカワイ〜と言ってくれるか、そんな計算が透けて見えるようで可愛げがない。その点、この人は天真爛漫、純な子供の様子がストレートに伝わってきた。ＮＨＫ朝の連続テレビ小説「鳩子の海」（１９７４年から７５年）で主人公の子供時代を演じた斉藤こず恵さんだ。“天才子役”と絶賛された斉藤さん、今どうしているのか。

　待ち合わせたのは渋谷にあるホテル。周囲を払うように貫禄十分に現れた斉藤さん、いきなり体重を尋ねるのは失礼千万とわかっていながら、思わず聞いてしまった。

「ハイハイ、大丈夫ですよ。いろいろ変動しましたが、最近は６６〜６７キロで落ち着いてます。身長は１４８センチ、一番太ってた時期で９７キロありました。９年前、テレビ朝日の『スーパーモーニング』のダイエット企画に出たときは、１年半で４０キロまで落としたんですけどね」

　劇団若草に入り、７歳のときに出演した「鳩子の海」の子役時代から、芸能生活は足かけ４０年が経った。その間、１９歳でニューヨークに渡り、市立大学で心理学を学んだ後、ジャズシンガーとして活動。レストランを経営するイタリア系アメリカ人との結婚・離婚も経験した。

「ホント、山アリ谷アリでした。振り返って自分でもビックリしちゃう、ハハハ。で、６年前に劇団若草で一緒だったＹＯＫＯと『スティンキー』って演劇集団を立ち上げ、今はお芝居にハマってます。実はこの１１月２４日から２９日まで、ＭＡＫＯＴＯシアター銀座で第６回公演の『セーラー服と利かん坊』がありましてね。目下、舞台稽古の真っ最中なんです」

　作・演出はミュージカル俳優で、「仮面ライダーアギト」などの主題歌を歌う歌手でもある石原慎一が初演から手がけている。

●「笑われることに快感を覚えるようになりました」

「石原さんは自分では気づかなかった斉藤こず恵をどんどん引き出してくれる。今やワタシの『飼い主』です。子役時代のワタシはそれこそＮＨＫっ子。杉村春子さんや木暮実千代さんといった大女優とも舞台で共演させていただいたこともあるし、生真面目っていうか、俳優とは芝居とはこうであらねばならぬみたいな思いが強く、稽古場で笑うなんて考えられなかった。ところが、３０代半ばで石原さんと出会い、それまでの自分がぶっ壊れちゃったんです」

「スティンキー」の舞台は基本的にコメディー。過去にストーカー、漫才師、検事などを演じ、アリジゴクという虫の役もあったとか。

「人から笑われることに快感を覚えるようになりました。これからはこの体形やヘンな声を生かして、息の長い女優を目指したいと思ってます」

　実家に母親とふたり暮らし。妹のふたりの子供の面倒を見るのが何よりの楽しみだそうだ。

「再婚ですか？　もしかしたら、韓国の男性なんかいいですね。男らしくて頼りがいがあるし。イタリア人はもう懲りて、アメリカ人は気が合えばって感じかな。最近まで７年間、日本人の１３歳年下の男性とお付き合いしてたんですけど、別れちゃいました。ひとりでもたくましく生きていけそうって言われたこともあって、ワタシ、男の人に頼られちゃう方かもしれません」

「スティンキー」は来年、小劇場の聖地、下北沢のシアター７１１での公演が決まっている。

（日刊ゲンダイ2010年11月22日掲載）