中国人船長釈放:首相「検察が粛々と判断」 沈静化求める

2010年9月25日 11時6分 更新:9月25日 11時34分

菅直人首相=2010年9月撮影
菅直人首相=2010年9月撮影

 【ニューヨーク田中成之】菅直人首相は24日午後(日本時間25日朝)、国連総会の開かれたニューヨークで記者会見した。沖縄県・尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に衝突した中国漁船の船長を釈放したことについて「検察当局が事件の性質等を総合的に考慮し、国内法に基づいて粛々と判断した結果だ」と述べ、政治判断ではないとの認識を強調。そのうえで「戦略的互恵関係を深めるため、冷静に日中双方が努力をしていくことが必要だ」と事態の早期沈静化を呼びかけた。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題については「いつまでにということではなく、沖縄の皆さんの理解をしっかりと得られるように誠心誠意、努力をしたい」と指摘。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため来日するオバマ米大統領との日米首脳会談に合わせ、決着を急ぐ考えのないことを表明した。

 10月1日に開会予定の臨時国会へ向けては「野党の皆さんの理解を得ながら、新成長戦略を前倒す方向で景気対策、経済対策に本格的に取り組んでまいりたい」と10年度補正予算案の提出・成立に改めて意欲を示した。

 円高対策に関連し、24日に一時、日本が為替介入を行ったとの観測が広がったことについては「再度の介入があったとは聞いていない」と発言。「為替の過度の変動は経済・金融の安定に悪影響を及ぼす。これは(国際的な)共通認識だ」と15日に実施した為替介入の正当性も強調した。

 ◇菅直人首相の記者会見の要旨は次の通り。

 <中国漁船船長釈放>

 検察当局が事件の性質等を総合的に考慮し、国内法に基づいて粛々と判断した結果だと承知している。日本と中国は国際社会に責任を持つ重要な隣国であり、戦略的互恵関係を深めるため、冷静に日中双方が努力をしていくことが必要だ。

 <普天間移設問題>

 米軍普天間飛行場の移設問題については、今年の5月の日米合意を踏まえてしっかり取り組む。同時に沖縄の負担軽減に対しても全力を挙げて取り組んでいく。いつまでにということではなく、沖縄の皆さんの理解をしっかりと得られるように誠心誠意、努力をしたい。11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)における日米首脳会談ではさらに日米同盟を21世紀にふさわしい形で深化・発展させていきたい。

 <臨時国会>

 野党の理解を得ながら、新成長戦略を前倒す方向で景気対策、経済対策に本格的に取り組んでまいりたい。

 <為替介入>

 為替の過度の変動は経済・金融の安定に悪影響を及ぼす。これは共通認識だと思っている。再度の介入があったとは聞いていない。

 <国連改革>

 核兵器のない世界の実現に向けた努力の先頭に立つ決意を国連総会で表明した。核兵器を持たず、国際社会の平和に貢献してきている日本こそが、常任理事国としてふさわしい国であると訴えるとともに、安保理改革の早期実現に向け、他の国々と協力して取り組んでいくことを主張した。例えば同じ常任理事国でも拒否権を持つ持たないといったようなこともある。いろいろ工夫すれば、合意にこぎ着けることができるのではないか。

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