2010年9月25日 10時41分 更新:9月25日 12時15分
【北京・浦松丈二】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺海域で中国漁船が日本の海上保安庁巡視船に衝突した事件で、公務執行妨害容疑で逮捕・送検された中国漁船の※其雄(せん・きゆう)船長(41)は25日未明に処分保留で釈放され、中国政府が用意したチャーター機で石垣空港から出国。同日午前4時(日本時間同5時)ごろ、福建省福州の空港に到着した。中国外務省は船長の到着に合わせて、「日本側は今回の事件について中国側に謝罪と賠償を行わなければならない」という声明を発表した。
今回の事件で中国側が謝罪と賠償を要求するのは初めて。日本政府は中国側が打ち出した対抗措置の解除を要求しており、日中両政府の対立が長期化する可能性が出てきた。
声明は、中国漁船の拿捕(だほ)と船長の逮捕について「中国の領土と主権、国民の人権を著しく侵犯した。中国政府は強い抗議を表明する」と述べた。
声明はさらに、「釣魚島とその付属島は古くから中国の領土であり、中国は争うことができない主権を有する」と尖閣諸島に対する領有権を主張。その上で「日本側の漁船、漁民の拘置と捜査、いかなる形式の司法措置も違法かつ無効だ」という立場を改めて表明した。
日中関係については「隣国として、戦略的互恵関係の方向を堅持し、発展させることが両国国民の根本利益に合致する」と基本方針を確認。「双方は対話と話し合いを通じて問題を解決し、両国関係の大局を守るべきだ。中国側のこの立場は変わっていない」と対話解決を呼びかけた。
一方、日本側は、中国が事件後に打ち出した閣僚級以上の交流停止や訪日旅行の自粛要請、レアアース(希土類)輸出制限の解除のほか、河北省石家荘市で取り調べを受けている日本人4人の早期釈放などを中国側に働きかけていく方針だ。
※は「擔」のつくり。
日本側は9月7日に釣魚島海域で15人の中国漁民と漁船を拘束し、船長を24日まで拘置した。
この中国領土の主権と中国国民の人権を著しく侵害する行為に対して、中国政府は強い抗議を表明する。
釣魚島とその付属島は古くから中国固有の領土であり、中国はこれに対して争うことのできない主権を有する。
日本側が中国漁民と漁船に対して行った拘置や捜査及びいかなる形式の司法措置も違法かつ無効だ。
日本側は今回の事件について中国側に謝罪と賠償を行わなければならない。
中日両国は互いに隣国であり、戦略的互恵関係の方向を堅持し、発展させることは両国国民の根本利益に合致する。
双方は対話と話し合いを通じて中日関係の問題を解決し、両国関係の大局を守らなければならない。中国側のこの立場は変わっていないし、変わらないものだ。【中国総局】