核問題:「中国が容認し続けるなら韓国も背水の陣を」(下)

 キム・ヨンス西江大教授は、「在韓・在日米軍を保護するという名分があれば、米国国内の世論も、戦術核兵器の再配備には反対しないだろう。北朝鮮の核保有で、韓半島(朝鮮半島)非核化の原則は既に意味がなくなった」と語った。李明博(イ・ミョンバク)大統領が、北朝鮮の核問題を話し合うことを前提にした上で、先に南北首脳会談を提案する、という案も持ち上がっている。

 追加制裁も、北朝鮮を圧迫する方法として浮上しているが、これはもはや限界に来ているという指摘がある。既に国連安全保障理事会決議第1718・1874号で、可能な制裁手段はほぼすべて動員されている上、哨戒艦「天安」沈没事件への対応措置で開城工業団地を除く対北貿易が中断されるなど、韓国政府独自の制裁もフル稼働しているからだ。

金国防長官の「核再配備」発言

 国防部の金泰栄(キム・テヨン)長官は22日、国会で、米軍の戦術核兵器を韓半島に再配備する問題を検討したいと提案した。これは、北朝鮮の核の脅威が深刻化した場合、韓国社会の一部が強く要求するであろうカードの一つについて、韓国軍の最高首脳が公式に言及したという点で、注目に値する。

 国防部はこの日、金長官の発言が問題となったことを受け、「原論的な答弁であって、具体的に検討したことはない」と釈明する資料を配布し、一歩後退した。しかし、米軍の戦術核兵器の再配備というカードは、2000年代初めに北朝鮮の核危機が高まって以来、軍内部で検討されてきた事案だ。韓国軍の高官は、「実現するかどうかは関係なく、2000年代初めから軍内部では、北朝鮮が核実験など強硬措置を取った場合の対応カードとして、戦術核兵器の再配備案を検討してきた。これは、北朝鮮に対し、“われわれも核で立ち向かうことができる”というメッセージを伝える一方、米国に対しても、北朝鮮の核に強く対処するよう迫るためのカードだった」と語った。

 米軍の戦術核兵器の再配備に関する主張は、06年10月9日に北朝鮮が1回目の核実験を行った後、韓国軍の元老を中心に提起された。同年10月12日、元国防長官をはじめとする軍の元老17人は、「91年に撤去された米国の戦術核兵器を、再び韓国に配備するよう、米国に強く要請しなければならない」と主張した。そのため今回も、北朝鮮が高濃縮ウランを用いた核爆弾で3回目の核実験を敢行するなど、核の脅威が高まった場合、保守陣営などを中心に、戦術核兵器を再配備する要求が高まる可能性が大きい。

 しかし専門家らは、実際に韓半島、それも地上に戦術核兵器を再配備する可能性は低いと指摘する。韓半島非核化宣言はもちろん、オバマ大統領の「核なき世界」政策とも衝突するからだ。米国は、世界戦略および核政策の変化に伴い、90年代初めから半ばにかけて、海外に配備していた戦術核兵器を米国本土に引き揚げ、相当数を廃棄処分した。

 これにより、戦術核兵器を韓半島に配備するとしても、攻撃型原子力潜水艦やイージス艦に搭載されたトマホーク巡航ミサイルに核弾頭を装備し、韓半島周辺海域に配備するという形になる可能性が高いと分析されている。B2ステルス爆撃機、B52爆撃機、F15E・F16・FA18戦闘機などで運搬されるB61系の核爆弾も活用できるが、通常は在韓米軍の基地内には配備せず、有事の際にグアムや沖縄などの基地から出撃する爆撃機・戦闘機などで運搬し使用することになる見込みだ。

 02年に発表された米国の核態勢見直しに関する報告書(NPR)によると、米国が保有する戦術核兵器は合計1620発で、内訳はB61系の核爆弾が1300発、トマホーク用核弾頭(W80-mod0)が320発となっている。91年の時点で在韓米軍には、核爆弾や核砲弾をはじめ、特殊核爆破機材(SADM)、核地雷など合わせて151-249発の戦術核兵器が配備されていた。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

ユ・ヨンウォン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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