23日午後、朝鮮半島西側の韓国のヨンピョン島に北朝鮮が数十発の砲弾を撃ち込み、南北の間で砲撃戦となり、韓国軍の兵士2人が死亡、住民にもけが人が出ています。韓国政府は、安全保障にかかわる閣僚による会議を開き、「韓国に対する明らかな武力挑発であり、北は相応の責任を取るべきだ」と非難するとともに、新たな挑発には断固対応するとする声明を出しました。
23日午後2時半すぎ、朝鮮半島西側の黄海に浮かぶ韓国のヨンピョン島に、北朝鮮が海岸から数十発の砲弾を撃ち込み、韓国軍も砲弾を撃ち返して、南北の間でおよそ20分にわたって砲撃戦になりました。その後、双方の砲撃が午後3時すぎから再び始まり、およそ30分間続きました。2回の砲撃の間に、韓国軍の兵士2人が死亡し、15人が重軽傷を負いました。ヨンピョン島では、一部の住宅が燃えたり、山火事になったりするなどの被害も出ており、少なくとも3人の住民がけがをしました。島には退避命令が出され、1700人余りの住民は防空ごうに避難し、一部は船で本土のインチョン港に避難しました。現場周辺では、砲撃の音がほぼ聞こえなくなっていますが、韓国軍は戦闘機を上空に飛行させて警戒を続けています。今回の事態を受け、韓国政府は23日夕方、イ・ミョンバク大統領が主宰して国防相や外交通商相など安全保障にかかわる閣僚による緊急の会議を開きました。会議のあと、大統領府は声明を発表し、「韓国に対する明白な武力挑発で、民間人に対する無差別な砲撃を到底許すことができない。北の当局は、相応の責任を取るべきだ」と北朝鮮を非難しました。そのうえで、新たな挑発には断固対応すると厳しく警告しています。韓国政府は、軍に対して、北朝鮮による侵攻が予想される場合にとる警戒態勢を最高レベルに引き上げて、北朝鮮側の動きを注視しています。今回の事態を受け、韓国政府は、南北に離れ離れになった離散家族を定期的に再会させる問題などを話し合うため、25日に行われる予定だった南北赤十字会談を延期することを決めました。今回の砲撃について北朝鮮の国営メディアはこれまでのところ一切触れていません。