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北朝鮮砲撃:日本政府 関係閣僚は情報収集などに追われる

北朝鮮と韓国との砲撃戦を受け、今後の対応について答える菅直人首相=首相官邸で2010年11月23日午後5時15分、梅田麻衣子撮影
北朝鮮と韓国との砲撃戦を受け、今後の対応について答える菅直人首相=首相官邸で2010年11月23日午後5時15分、梅田麻衣子撮影

 北朝鮮による砲撃で、一衣帯水の隣国・韓国に多数の死傷者が出たことは、菅政権が「危機管理能力を問われる」(政府関係者)事態となった。米軍普天間飛行場移設問題や中国漁船衝突事件、ロシア大統領による北方領土訪問に続き、またも外交上の課題を背負った。自国の安全保障を脅かされかねない問題だけに、関係閣僚は情報収集や分析に追われた。【犬飼直幸、坂口裕彦、樋岡徹也】

 政府は23日午後3時20分、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。防衛省は海上自衛隊のイージス艦やP3C哨戒機による警戒監視活動の強化を確認した。菅直人首相は、午後8時55分から北沢俊美防衛相らを集めて開いた関係閣僚会議で(1)北朝鮮の動向に関する情報収集(2)米韓両国との緊密な連携(3)国民の安全確保--を指示した。これに先立ち、午後7時すぎには権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日韓国大使が官邸を訪れ、仙谷由人官房長官と情報交換を進めた。

 菅首相は公邸で秘書官を通じて砲撃戦発生の連絡を受けたという。その後、官邸に仙谷氏や伊藤哲朗危機管理監らを呼び、不測の事態に備えるよう指示した。首相は一報を受けた後、公邸でテレビをみながら「大変な状況だ」と語ったという。

 民主党政権は、昨年9月の政権交代以後、普天間問題で米国との信頼関係が揺らぎ、中国漁船の衝突事件では対中外交で「弱腰」との批判を受けた。メドベージェフ露大統領の北方領土訪問もあり、日本外交は守勢に回ってきた経緯がある。北朝鮮の砲撃という再度の外交面での試練に、首相は記者団に「どういうことが起きても対応できるよう備える。国民に備えは万全と言える態勢をつくりたい」と強調し、政府を信頼するよう訴えた。

 外務省は前原誠司外相が豪州訪問中で不在だが、ソウルの日本大使館などを通じ情報収集にあたり、北朝鮮の意図の分析にかかっている。

 北朝鮮の砲撃について、仙谷氏は記者会見で、駐日韓国大使からの情報として「現時点では(情勢が)発展拡大するニュアンスの話はなかった」と明かし、「国民生活に直ちに影響を及ぼす事態ではない」と語った。安住淳副防衛相も同様の認識を示した。

 政府関係者は「金正日総書記の三男正恩氏が事実上後継者として公表され、強硬姿勢を示すことを外交カードの一つにするとともに、国内への引き締めを図ったのでは」とみる。北朝鮮による新設のウラン濃縮施設の公開を「攻撃の兆候」だったとも指摘した。自衛隊幹部も「砲撃対象が島であること、(砲撃が)やんでいるところをみると、本気で北朝鮮が侵攻しようと思っているとは考えにくい」と言う。

 しかし、防衛省内には「北朝鮮が同様の挑発行為をするおそれがある」との見方もある。幹部は「米軍などから情報を取りながら、弾道ミサイルなど北朝鮮の動向を注視する必要がある」と語った。

 外務省幹部によると、今後、事態が悪化した場合、在韓米軍が対応▽さらに惨状が拡大すれば在日米軍の対応--などが考えられるという。同幹部は「韓国はまず国際世論を味方につける方法を取るだろう。国連安全保障理事会に提起することも考えられる」と見通す。

毎日新聞 2010年11月23日 21時39分(最終更新 11月23日 23時41分)

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