[035]イリオモテヤマネコ 謎の生態に迫る
沖縄・八重山諸島にある西表島。特別天然記念物のイリオモテヤマネコで知られる。亜熱帯の森に覆われ、“秘境”と呼ばれるが、実は古くから人が暮らし、海沿いの平地に田畑を拓いてきた。島という限られた環境で人とヤマネコが共存する、世界でも極めて貴重な場所だ。
イリオモテヤマネコは頭から尻尾まで80センチほど。頑丈な体形で、イエネコより一回り大きい。「発見」はなんと1965年。(新種としての正式な記載は1967年) 20世紀も後半になっての肉食獣の発見は、当時大ニュースだった。
イリオモテヤマネコには数々の謎がある。周囲130キロの西表島は、ネコ科の肉食獣の生息地としては世界最小。しかも20万年もの間、孤島だった。ヤマネコの生存は奇跡とさえ言われる。いったいどうやって生き延びてきたのか?
長年の研究で明らかになったのは、島のあらゆる環境を利用し、森の昆虫から湿地の魚まで、さまざまな獲物を捕る姿。水田のカエルも重要な食料だ。人が作り出した環境も巧みに利用し、たくましく生きるイリオモテヤマネコの知られざる素顔に迫る。親離れしたばかりの子ネコや、カンムリワシのヒナ、マングローブに一晩だけ咲く花など、貴重な映像も盛りだくさん。