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■特命調査班 〜マル調〜「教育の場で一体、何が」 2010/11/03 放送

 少子化の時代、今、各大学は学生獲得にしのぎを削っています。

 1万人を超える学生が通う大阪産業大学もそのひとつ。

 これまで男子学生が通うイメージが強かったんですが、今、女子学生に非常に人気の高い看板コースがあります。

 しかし、今その人気の看板コースで学生たちの間で大きな混乱が起きているというのです。

 楽しいはずのキャンパスでいま一体何がおこっているのでしょうか。

 今回の水曜シリーズ・特命調査班「マル調」、夢のキャンパスライフにさす暗い影、女子大生たちの涙のわけに迫りました。




 <女子大生>
 「どうかみなさん、学校からいろいろ圧力があるかもしれませんが、一緒にがんばりたいです」

 先月、大阪のとある場所で女子大生たちが集会を開いていた。

 大学への不信感を顕わにする彼女たち。

 「マル調」が調査を開始した。

 彼女たちが通うのは大阪・大東市の大阪産業大学。

 学生数は1万人を超える。

 男子学生の多いこの大学に女子を呼び込もうと、4年前新たに設立されたのが・・

 アパレル産業コースだ。

 定員30人の女子専用コースで、専用の部屋に工業用ミシンなどを揃え、服飾業界で働くために必要な知識と技能を学べるという。

 責任者の重里俊行教授は熱く語る。

 <アパレル産業コース責任者 重里俊行教授>
 「実習を通じて実際に見て、ものに触れて何かを作っていく。企業とタイアップしていろいろな学外研修があります。さらに(学生を)ヨーロッパにも連れて行きます」

 アパレル産業コースは重里教授と女性の准教授による丁寧な指導や現場での実習に
重点を置いたカリキュラムが評判となり、大阪産大の看板のひとつとなった。

 <アパレル産業コース 2年生>
 「いいなと思ったのは、大学なのに専門学校みたい。先生が学生のことをちゃんと見ていて熱心に学生に向き合っているなという印象があったので」
 「中の設備が整っていて、海外研修でヨーロッパに行けると知って入りたいなと思いました」

 コースの売りの一つがヨーロッパ研修。

 今年も2年生がパリ・ミラノなどファッションの先端都市を訪れ、ショーや工場など現場を見学する予定だった。

 費用は大学が負担し、単位も認められる。

 ところが…

 出発1か月前の7月中旬、学生たちの家に突然、大学から手紙が届いた。

 「欧州研修旅行ですが、諸般の事情から延期することが決定しました」

 一体なぜなのか?

 学生たちは大学側に説明を求めた。

 <学生・レコーダー>
 「全てに対して納得がいかないんです」
 <大学側・レコーダー>
 「諸般の事情というのは具体的に申し上げられない」


 大阪産業大学の看板となったアパレル産業コース。

 その目玉のヨーロッパ研修旅行が延期になった。

 しかし、不思議なことにコースの責任者とされる重里教授と女性准教授に、このことは知らされていなかった。

 <アパレル産業コース 2年生>
 「『先生こんなん来たんですけど』と言ったら、『えっ?知らないよそんなの』と言われた」
 「行けなくなるとは思っていなかった」
 「みんなでちゃんと意見を言ったら、そ『そういうことは納得できません』ということをちゃんと言ったら行けるんじゃないかなと」

 2年生20人以上が集まり大学側に説明を求めた。

 <学生・レコーダー>
 「私たちの先生はA先生(女性准教授)と重里先生なのに、その人が決めないで勝手に上の人たちが延期を決める意味がわからないです」
 <大学側・レコーダー>
 「諸般の事情は具体的に申し上げられない。ですから延期はもう決定したから」
 <学生・レコーダー>
 「なくなるということですか?」
 <大学側・レコーダー>
 「いや、ですから延期ですから」
 <学生・レコーダー>
 「入学当時の契約としておかしいんじゃないですか」
 <学生・レコーダー>
 「納得いかない場合は授業料を返していただけるんですか?」
 <大学側・レコーダー>
 「授業料を返還するということは退学するということです」
 <学生・レコーダー>
 「なんで退学になるんですか」

 学生たちの追及に大学側は、去年の研修旅行で使途不明金のあることが判明したため、延期を決めたと話した。

 費用の一部として学生が直接、旅行社に振り込んだ5万円が何に使われたかわからないというのだ。


 真相はどうなのか?

 「マル調」は重里教授に聞いてみた。

 <重里俊行教授>
 「学生から入ったお金は私が自分でさわるわけではなく、全部、旅行会社が管理している。私を学校から追い出すための悪意の言いがかりみたいなのが、あちこちにあります」

 重里教授は大学内部の権力争いが影響していると話す。

 学校法人大阪産業大学は、去年、資産運用で40億円を超える評価損を抱えていると
報じられた。

 この混乱の責任をとる形で幹部が入れ替わり、新たに、法人ナンバー2の常務理事兼事務局長に就任したのが重里教授だった。

 重里教授がまず取り組んだのが、学生の留年を減らすこと。

 大阪産大では、実に学生の4割が単位がそろわず留年する。

 教授の中には8割以上の学生を不合格にする人もいて、教える側に問題があると指摘した。

 <重里俊行教授>
 「もっと採点方法も工夫してほしい。厳しく学部長の方々にも話をした。それで大きな反感を買ったと思う」

 そんな中、今年6月、重里教授は大学が中国と提携して運営する中国語学校について「文化スパイ機関」などと発言したことを問題視され、事務局長の座を追われた。

 そして9月、ついに重里教授と女性准教授は自宅待機を命じられ、授業は他の教官に変更された。

 <アパレル産業コース 3年生>
 「全然見たことない先生が(授業に)来た。『きょうからこの人が担当になります』と言われたが、全く普通のおっちゃんで、『どういう授業をしてくれるんですか?』と聞いても、わけわからん説明をされて」


 なぜ2人を自宅待機にしたのか?

 大学がカメラ撮影をしないことを条件に「マル調」の取材に応じた。

 大学側はやはり
 1.ヨーロッパ研修の使途不明金
 2.「スパイ発言」
 を挙げたが他の理由については、今は調査中で言えないという。

 大学の対応に不信感を募らせた学生は今後について話し合う集会を開き、自宅待機中の2人も招かれた。

 <重里俊行教授>
 「学生諸君から現金を集めて自分が使ったということなら、倫理上の問題でなく完全な刑法の背任・横領になるから、もしそんなことがあったら、みなさんの前には出られません。もうとっくに辞めてます」

 2人を慕う学生が次々に発言した。

 <アパレル産業コース 3年生>
 「私たちはA先生と重里先生が帰って来ることだけを望んでいます」
 <アパレル産業コース 4年生>
 「オープンキャンパスでA先生と重里先生の話を聞いて『ここでずっと勉強したい』と思った。あのときの状態に戻して欲しいと本当に思います」

 学生たちは、2人の先生の復帰と大学側の謝罪を求める決議を採択した。

 <アパレル産業コース 2年生>
 「悔しいし・・・ 学校に対する怒りと、みんなと一緒に楽しくできない悲しさ。ことばには表せないぐらい混乱しています」

 ついに文部科学省も学部長を呼んで、混乱の経緯について説明を求める事態になった。

 <アパレル産業コース学生たち>
 「最近初めてアパレルコースに入ったのを後悔してるので」
 「私たちはお金を払ってアパレルの授業を受けたくて学校に行っているのに、大人のケンカにまきこまれなくちゃいけないその意味がわからない」

 研修延期に教授の自宅待機。

 その背景に何があるのか真相はわからないままだ。

 大学側は近く重里教授の弁明を聞いたうえで処分を決め、その理由も明らかにするとしている。




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