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性犯罪被害、相談4000件 「泣き寝入り」実態浮かぶ '10/11/20

 全国被害者支援ネットワーク(NNVS、東京)に所属する全国の民間支援団体が昨年度に受けた約2万件の相談のうち、性犯罪被害が19%に当たる3900件に上ることが20日、共同通信の調べで分かった。また、国は昨年度、全国の警察に性犯罪被害者の医療費約1億1千万円を補助したが、執行されたのは約3千万円にとどまっていたことも判明した。

 NNVSは「性犯罪被害者の民間機関への相談は増加傾向にあるが、捜査機関への申告をためらい、泣き寝入りする人が多い実態が浮かんだ」とした上で「被害者が安心して相談でき、情報をきちんと提供できる拠点づくりが必要だ」と指摘している。

 調査は、各都道府県にあるNNVS所属の47団体を対象に実施。うち、「プライバシーにかかわる」などとした愛知、山口、長崎を除く44団体から回答を得た。

 性犯罪被害が占める割合が最も多かったのは、熊本の50%で515件中255件。宮崎(40%)▽東京(33%)▽千葉(30%)▽鹿児島(28%)が続いた。山形、山梨、富山、愛媛は3%以下だった。

 NNVSによる08年分の調査では、36団体に約1万1千件の相談があり、うち1900件が性犯罪だった。

 一方、警察は2006年から被害者の経済的・精神的負担を減らし、泣き寝入りを防ぐ目的で医療費支援を実施。届け出に基づき初診料、診断書、緊急避妊費、性感染症等検査費、人工妊娠中絶費を公費負担している。

 共同通信が全国の警察に執行額を尋ねたところ、4県警(茨城、埼玉、千葉、鳥取)以外から回答があったが、自治体支出分も含め執行額は計約3100万円(一部性犯罪以外も含む)にとどまった。

 性感染症検査では「医師の判断で個別に処置」(神奈川)と柔軟に対応している一方、「HIVは保健所で無料検査できる」(熊本)と対象外に。そのほか、自宅で被害に遭った人のために転居費用を上限10万円で一部補助(群馬)、被害で制服が破損した中高生に購入費を補助(宮崎)など独自の支援策を講じている警察もあった。




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