【ソウル西脇真一】韓国軍の統合参謀本部によると、23日午後2時半ごろ、韓国西方の黄海に浮かぶ延坪島に数十発の砲弾が着弾した。韓国軍は対岸にある北朝鮮黄海南道(ファンヘナムド)の海岸砲基地からの砲撃とみて、対応射撃をした。韓国メディアによると、死傷者は数十人に上るという。韓国軍は、同国兵士1人が死亡、3人が重傷を負ったと述べた。
韓国軍全軍が非常事態体制に入っているが、韓国の李明博大統領は北朝鮮との衝突拡大を防止するよう指示。韓国軍は北朝鮮軍に対し砲撃中止を求める通知文を送った。韓国軍は当時、黄海で演習中で、北朝鮮がこれに反発したとの見方も出ている。
韓国ニュース専門テレビYTNは、海岸に近い街から幾筋もの煙が上がっている様子を伝えている。同テレビによると、北朝鮮側から約200発の砲弾が発射されたという。また、島から住民が漁船で脱出しているという。韓国政府は緊急安全保障閣僚会合を招集した。
延坪島は、海上の境界である北方限界線(NLL)の南側に位置し住民は1600人。99年6月、NLLから侵入した北朝鮮艇と韓国艇の間で銃撃戦が発生。02年6月にも南北の警備艇が交戦したほか、今年3月には近くの海域で韓国哨戒艦が北朝鮮による魚雷攻撃で沈没させられる事件が発生した。
◆韓国と北朝鮮をめぐる最近の動き◆
08年2月25日 韓国の李明博大統領が就任
7月11日 北朝鮮の金剛山で北朝鮮兵士が韓国人観光客を射殺
09年7月30日 日本海で北方限界線(NLL)を越えた韓国漁船を北朝鮮が拿捕(だほ)
11月10日 黄海で南北艦艇が銃撃戦
10年3月26日 韓国海軍の哨戒艦が北朝鮮による魚雷攻撃で沈没
8月9日 北朝鮮がNLL付近に向けて130発余りの砲撃
11月23日 北朝鮮が韓国の延坪島に砲撃
毎日新聞 2010年11月23日 16時51分(最終更新 11月23日 17時09分)