| みなさんこんばんは。
何気なく望遠鏡の「価格.com」を見たところ、表題の望遠鏡が「売れ筋ランキング」の第3位に入っていました。口径76mmの初心者向けニュートン式です( ttp://kakaku.com/item/10920110002 )。こんな小口径でも大口径を差し置いて売れるんですね。
また、この他に初心者向け反射望遠鏡としては、ビクセンのR114M( ttp://www.vixen-m.co.jp/original/1000132.html)があると思います。
両機種とも主鏡は球面鏡です。一方ニュートン式に球面鏡が使われた場合の性能について、一般にじゅうぶんな理解がなされていないように思います。そこでこの点について以下に記そうと思います。
光軸上では理論的に完全に無収差となる放物面鏡と違い、球面鏡では球面収差が残ります。しかしその量がじゅうぶん小さければ構わないわけで、放物面化しない分安くなります。これが球面主鏡が使われる理由です。では収差量はどうなるでしょうか。
収差量は口径と焦点距離とで変ります。例えば光学設計ソフト「ATMOS」のデモ版(ttp://www.atmos-software.it/Atmos.html)を使って最良像点での収差量を計算すると、次のようになります。
・口径 76mm 焦点距離 700mm : 収差量=0.088λP-V ・口径114mm 焦点距離 900mm : 収差量=0.211λP-V
ここでλ=546nmとして、斜鏡が隠す効果は無視しました。「P−V」とは「 Peak to Valley 」のことです。収差によって光の波面に起伏が生じますが、その起伏の山の頂きから谷底までの高さの差がP-Vです。よくいわれる収差の限界は 1/4λP-V =0.25λP-Vですから、76-700では余裕を持ってOK、R114Mも何とかOKです。なのでメーカーが真面目に作っていれば、口径に見合った解像力が期待できそうです。
一方、球面鏡で口径150mm 焦点距離 750mm という機種を見かけます。この場合は 1.096λP-V となり、これは大きい値です。光学系が設計どおりにできたとしても、口径に見合った解像力は期待できません。集光力を活かした低倍率での用途になりそうです。
以上のように、球面鏡を使ったニュートン式反射の場合には、仕様によって収差性能が大きく変わります。今後購入をお考えの方へのご参考になれば幸いです。 |