核問題:オバマ政権の対北政策、続行かUターンか(上)

 北朝鮮は、ヘッカー米スタンフォード大学教授(元ロスアラモス国立研究所長)に遠心分離機 2000基を備えたウラン濃縮施設を見せた。また、オバマ政権に向かい、「口頭のメッセージ」も送った。そのメッセージは、ヘッカー氏が21日に公表したA4用紙8ページ分の訪朝報告書の最後に書かれている。「…北朝鮮の高官はわたしたちに対し、オルブライト国務長官(当時)の訪朝を可能にした2000年10月の米朝共同コミュニケが(米朝関係を改善する)良い出発点になるかもしれない、と語った」というものだ。

 北朝鮮の趙明禄(チョ・ミョンロク)国防委員会第1副委員長(今月6日死去)は2000年にワシントンを訪問、ビル・クリントン大統領(当時)と会った。そのときに発表された米朝共同コミュニケを、北朝鮮は再び両国関係の「良い出発点」にしようとしているのだ。北朝鮮が「2000年米朝共同コミュニケ」の話を引っ張り出したのは、ウラン濃縮を利用した第3次核危機を助長し、6カ国協議ではなく米朝間の最高位級談判を行うという戦略を示しているものと思われる。ヘッカー氏の報告書にも、「北朝鮮の官僚たちは非常にはっきりした口調で、『朝米関係の根本的な変化なしには、非核化は実現しないだろう』と述べた」と書かれている。

 6カ国協議が始まる3年前に合意されたこのコミュニケは、核・ミサイル・安全保障・平和体制などに関する双方の合意事項をすべて網羅している。米朝だけが参加する中で、核兵器を含めた大量破壊兵器問題を取り上げるため、閣僚級以上が行き来し「大きな度量をもってやりとりする取り引き」をしようというもので、それと同時に両国の国交まで話し合おうとしている。

 では、北朝鮮はなぜ今、これを再度強調したのだろうか。クリントン元大統領夫人のヒラリー・クリントン国務長官を狙っているのだろうか。クリントン夫妻は、2000年の米朝間のムードを後任のジョージ・W・ブッシュ大統領が覆してしまったと無念がっている。これを狙った北朝鮮は、「当時のクリントン政権末期の合意に立ち返ろう」とし、6カ国協議の代わりに米朝間の最高位級会談を進め、クリントン長官の訪朝に期待しているとの見方もある。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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