きのうのニコニコ生放送でも紹介したが、今週のEconomist誌の特集は、日本経済。その表紙が、日本の直面している問題を実に鮮やかに表現している。
日本は歴史上に例のない高度成長を遂げたあと、これから史上空前のスピードで高齢化し、労働人口は急速に減少する。それが「デフレ」といわれる状況の根本原因であり、その負担を若者だけに背負わせることが、世代間格差と経済の停滞を生んでいる。内容は当ブログで述べてきたことと重複しているが、問題をこのように的確に分析するのが、先日のNYタイムズやEconomistのような海外メディアだけというのが情けないところだ。
高齢化なんて何十年も前からわかっていたのに、自民党政権は何の対策もとらないどころか、老人に手厚い社会保障、老人の雇用を守るために新卒を採用しない雇用慣行など、老人の既得権を守り負担を若者に押しつける政策をとり続けてきた。そして政権交代した民主党政権も、「強い社会保障」と称して老人保護を聖域化し、派遣社員や契約社員をクビにする規制強化をはかっている。
ニコ生でも、金融政策の効果については意見がわかれたが、こうした長期の問題について経済学者の意見は100%一致した。藤末健三参議院議員も、「私も同じ意見だが、政治的には非常にむずかしい」と語った。デフレ脱却議連の副会長である彼も、目下の最大の関心は労働生産性だという。成長政策としても、雇用の流動化が圧倒的に重要だ。
150人の国会議員が経済政策に関心をもったのはいいことだが、デフレは問題の入口にすぎない。今度は彼もいうように「労働市場議連」をつくってほしい。もちろん連合はきらうだろうが、労働組合に遠慮して今のようなでたらめな政策をとっていると、来春にも解散かといわれる情勢の中では政権を守れないだろう。民主党にとっても日本経済にとっても、残された時間は少ない。
追記:Economistは今週から、iPadのアプリとして読めるようになった。非常に快適。これから雑誌も電子雑誌になるだろう。
ニコ生でも、金融政策の効果については意見がわかれたが、こうした長期の問題について経済学者の意見は100%一致した。藤末健三参議院議員も、「私も同じ意見だが、政治的には非常にむずかしい」と語った。デフレ脱却議連の副会長である彼も、目下の最大の関心は労働生産性だという。成長政策としても、雇用の流動化が圧倒的に重要だ。
150人の国会議員が経済政策に関心をもったのはいいことだが、デフレは問題の入口にすぎない。今度は彼もいうように「労働市場議連」をつくってほしい。もちろん連合はきらうだろうが、労働組合に遠慮して今のようなでたらめな政策をとっていると、来春にも解散かといわれる情勢の中では政権を守れないだろう。民主党にとっても日本経済にとっても、残された時間は少ない。
追記:Economistは今週から、iPadのアプリとして読めるようになった。非常に快適。これから雑誌も電子雑誌になるだろう。
コメント一覧
「人口学への招待」を書いた、河野 稠果さんが言うには、10年や20年のタームだと、人口構造ほど予測が容易な分野は他にないそうです。大規模な戦争や伝染病や移民がない限り、現在の人口構造がそのまま歳をとるだけだからです。出生率の変化は、年少人口以外には影響が出ない。
だから、現在の制度のままだと、年金が破綻することはほとんど確定的な事実でしたし、医療や介護負担が増えることも、ほぼわかっていた。
超氷河期時代の到来によって、バブル崩壊後の氷河期以上の、さらに長期の若年層失業時代がやってくることが確定しましたが、日本の新卒至上主義ではこうした若年就職難民が一生非正規で最後は生活保護受給者になることはほぼ確実です。
これにはこの国の戦後の過ちが凝縮されているように思えます。
①日本型年功奴隷システムによる労働者の自律意識喪失
②社内完結システムによる労働者の横断的職能開発の欠如
③新卒至上主義、正社員至上主義による人的資源の非効率利用
これらによって、日本人は全ての機会喪失をし、「使える」ものをゴミとして廃棄する社会をつくってしまいました。
もはや老人にしたがっていれば、自分は「いい子」と思われるという奴隷精神を植え付けれた若年層が政治参加することはありえませんし、ホリエモンの再来もありえないでしょう。
結果彼らはロスジェネを自称する人たちがそうであったように、
社会に対する憤懣憎悪の念だけを募らせることになり、無気力とニヒリズムに陥って、子孫を残すこともなく、孤独死へと向かうことになるように感じます。
そしてそうなった時に彼らは自問自答するでしょう、
「果たしてこんな人生に意味などあるのだろうか?」
「わたしは一体なんのために生まれてきたのだろうか?」と。
戦後、経済発展を通じて「自己実現」を現実として夢見てきた時代が終焉し、国民の大多数が自己実現することができずに、ただ毎日を低賃金労働に費やす時代がやってくるでしょう。
手元に可処分所得が残らない現実を見て、初めて「格差」とは何かを理解するのかもしれません。
10年以上も前にニュースで見たアメリカの貧困層の「可哀想な」光景をこれからの世代は「我が身」として見ていくのかもしれません。
民主党政権は四月の統一地方選前に本予算を成立させたいでしょう。しかし、補正が遅れています。補正成立後に衆院を解散して本予算成立前に統一地方選を行うことになるでしょう。無視できないのは、やはり沖縄県知事選です。沖縄では、自民党も辺野古基地案に反対しています。私も、止めるしかないと思います。
池田さんにお伺いしたいことがひとつあります。私は、ひょっとして来年からハイパーインフレ時代がはじまるかもしれないと思っています。私の知人の経済学者もあり得ると言っています。どうなんでしょう?
財務省や金融庁の官僚は勉強していないですよ。ハイパーインフレの話をすると、たいがい、第一次大戦後のドイツの話をしますから。自分が生きている時代に起きた中南米や中東欧諸国のハイパーインフレのプロセスをしっかり調査していない。経済学者も同じかもしれませんが。
現実の社会は、経済が先行し、政治が後追いしているのです。新自由主義は資本主義の深化によって生じた出来事であり、政策によって生じたわけではありません。こんな当たり前の現実認識さえ持てない民主党政権に何ができるのでしょうか?
自民党の高齢者保護政策は流された末の政策でしょう。
今更、これまで自民党に批判の眼を向けてもしょうがない。
自民党はその反省からか、元気なお年寄り(このお年寄りという言葉も憚れる様ですが)には、出来るだけ長く働いてもらって、少しでも自己負担をして貰おうといった方向に転換しつつありました。自民党の政策自体は最初に書いたように流された末の政策です。世論を創出しているマスコミ論調に迎合しつつ、少しずつ少しずつ左に左に中心点が偏っていった結果ではないかと考えます。今の民主党は元々確信的左翼(革新ではなく確信)がそのマニフェスト立案の中心い位置しています。テレビ出演している代議士の中には保守的な論調をテレビ画面に垂れ流し、保守層の票の取り込みに利用されましたが彼らは民主党の中心に居ません。
保守と自認している論客も実は全然社会主義的だったりします。以前池田先生が派遣の扱いについてチャンネル桜に出演されたとき、保守のコメンテーターは何も経済の事を理解出来ない事を露呈しました。彼らから市場原理主義者などとレッテルを貼られさぞ呆れられた事でしょう。まるで保守を自認している彼らが国家社会主義者のように見えました。
彼ら保守を自認する方へ。日本に誇りを持つのは良いのですが、これからも競争力を維持し、更に発展させていく為には何をしなければならないか?何をしてはいけないか、保守層が単なる保護主義を求めるようになっては本格的に日本は危ないと思います。
小学校の運動会で「オテテ繋いで一緒にゴールイン」を激しく非難している口で、日本の産業保護を真顔で口にし、矛盾を感じない神経こそが問題だと思うのです。
日本症候群から逃れる術は池田先生が述べられている通り、人材資源の流動性を確保し、伸びる産業へ労働人口が速やかに流れる事、これ以外には無いのではないでしょうか?
それを妨げる各種法律、政令、規制の類こそ、真っ先に仕分け作業が必要なのではないか?そう思います。
自民党も労働市場の流動化を約束していないので投票できない