「NEO」(21日、大阪府立体育会館第2競技場)
NEO統一2冠王座戦が行われ、王者・田村欣子が挑戦者で09年女子プロレスMVP・さくらえみ(アイスリボン)に逆転勝利。8度目の防衛に成功した。最強の挑戦者を退けた田村は、王者のまま大みそかでの引退を迎えることを宣言した。
過去2度の女子ベストバウトに選ばれた珠玉のカードは、予想を覆す一方的な展開となった。先制攻撃をしのがれた田村は、さくらの頭突き3連発からの波状攻撃で大ピンチに。エプロンサイドでのエースクラッシャーもかわされ背中を強打すると、最強を誇った“タムラ様”が珍しく嗚咽を漏らして泣いた。今まで見たこともない弱々しい姿に、客席から戸惑いの声が上がった。なんとかリングに戻ったものの、連続丸め込みをギリギリで返すのが精いっぱい。もはや陥落は時間の問題かと思われたが、王者としてのプライドが田村を突き動かした。気力を振り絞って立ち上がると、ロープの反動を利用して前から後ろからヒジ鉄をブチ込み、新技のハンガリー(リストクラッチ式ノーザンライトボム)でマットに串刺しにすると、最後は必殺マウントクックで爆殺した。
V8防衛に成功した田村は、自身と同じく、今年いっぱいでのNEO解散とともに引退するタニー・マウスと宮崎有妃を呼び寄せ、大阪のファンに最後のあいさつ。そして「大みそかまでずっと防衛して、最強のまま引退します!これは正式決定だ。いいな!今、タムラ様が決めた。ケッテー!」と絶叫した。
バックステージでは「今日はホントにヤバかったんだけど〜!帰りのバス大丈夫かな?」とおどけた笑顔を見せた田村。「最後の最後で、大阪で2冠戦ができて良かった。大阪の人と(喜びを)分かち合えたので嬉しかった」。引退まであと40日。プロレスラーでなくなる瞬間まで、最強の称号を譲るつもりはない。