こんにちは。ライターのTASKです。
先日、ライフネット生命保険の出口治明社長にお話を伺う機会がありました。
出口社長にその際のお話を記事化するお願いをしたところ、快く許可をしていただけたので、以下に掲載します。
日本の生命保険会社には将来がない
――本日は貴重なお時間を頂きありがとうございます。まずは、日本の生命保険会社の将来についてお伺いしたいのですが。
出口 日本の生命保険会社には正直将来がないと思っています。人口がどんどん減っていくのはもはや止めようがない動きですしね。人口が減っていくとどう困るかというと、具体的に二点あります。
一つは、顧客がどんどん減っていって利益が少なくなってしまうという点です。これは当然ですね。
もう一つは、生保レディーといわれる女性の営業職がいなくなってしまうという点です。営業というのは非常にきつい仕事で、実際にはほとんどの人が数ヶ月で辞めてしまいます。それでも今までは専業主婦層が厚かったので適宜補充が出来たのですが、これからはそれが出来なくなっていきます。
また少し前までは生命保険会社は日本の大手企業の大株主であるという立場を活かして入館証をどっさりともらい、生保レディーが会社の中に入って保険営業をかけることができましたが、アメリカ同時多発テロ事件以降そう簡単に企業に入ることができなくなり、結局一般家庭を回る営業がメインになってしまいました。でも、アパートにも簡単には入れない。要するに職場が消えたのです。
――それも一因となって、リアルな営業をかけないネット生保という業態を考えつかれたのですね。ライフネットの強みというのは何でしょう。
ライフネットに特有の強みはない、というのが結論でしょう。
そもそも製造業を生業とする会社は、「最新鋭の機械設備」と「安い人件費」を組み合わせれば、どんどん儲けることが出来ます。例えばトヨタは最新鋭の機械設備を東南アジアや中国など人件費が安いところに持っていって、労務問題をクリアさえすれば、あとは国内と同様のやり方で生産して、確実に儲けが出ます。
では、非製造業はどうすればいいかというと「人」一点に絞られます。私たちのような非製造業は、世界レベルで見たトップ層を採用し、彼らにのびのびと働いて存分に力を奮ってもらうことでしか伸びていけないのです。ライフネットは来年から定期採用を始めますが、30歳以下の人を「新卒」と定義して採用を行いました。学歴なんて関係ないし、面接もない。論文を二本、字数無制限で書いてもらって、それをもとに審査しました。それで採用しています。
日本はトップ人材のレベルが低い
――現在、日本企業の収益が悪化している理由は何だとお考えですか。
出口 日本企業、特に非製造業が伸びない理由は主に二つです。
一つは、若者や女性、外国人を活用しないという点。生命保険会社は47社ありますが、常勤の女性取締役がいる会社はライフネット生命だけです。他の日本の大企業も似たようなものでしょう。人口の中で女性は50%います。経営層にその女性が全く居ないというのは、そのマーケットを捨てているようなものです。また、若者を使おうという意識もない。世界レベルと見ると、20歳以下の人口比率とは52%です。彼らに馬車馬のような単純作業だけをさせて、高齢の日本人の男性のみがマネージして会社が伸びるはずがありません。
もう一つの理由は、トップ人材のレベルの低さです。グローバル企業の標準はドクターか最低でもマスターです。しかし現在の大学生のレベルは低い。ほとんどの学生は学部までしか行かず、しかも青田買いですから、ほとんど勉強しないですよね。だから、ちゃんと話すコンテンツがない。さらに英語も話すことができないから、コミュニケーションもできない。コンテンツもコミュニケーションもない人が、企業のエスカレーターを上がっていくわけですから、外国のグローバル企業に勝てるはずがない。
――大学生がコンテンツとコミュニケーション両方に長けた人材になるにはどうすればいいのでしょうか。
出口 経団連にそろそろ頑張ってほしいですね。私が会長だったら、「卒業証明書」「成績証明書」「TOEFL100点以上」の三点セットを持ってこないと経団連傘下の企業は、一切選考しないと決めますね。そうなれば学生も必死に勉強するでしょう。勉強もしないで適当な面接だけ受けさせて仕事をさせる、そんなことを繰り返しているから現在の日本の凋落があると思っています。ただ明るくて頑張る学生を青田買いしてそれで回った高度成長時代はとっくに終わっているのに、それがわかっていない日本の経営層は本当に問題ですね。
縦横思考を心がけよ
――出口さんが現在のような能力を身につけられたのはどのような秘訣があるのでしょうか。
出口 私は特別な人間ではないし、優秀でもありません。ただ、私が常に言っているのは「縦横思考をしろ」ということです。縦は、過去の人の考え方を知ること、つまり本をたくさん読むことです。横は、世界にあるさまざまな考え方を知ること、つまり広く世界に出て旅をすることです。私は本狂い、旅狂いなんですよ。それだけです。学生の皆さんもぜひたくさん勉強して、たくさん古典を読み、たくさん旅をしてください。
――ありがとうございました。
出口治明(でぐちはるあき)プロフィール
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長
大学を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に東奔西走する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2005年より東京大学総長室アドバイザーを勤め、2006年に準備会社を設立。2008年より現職。
おわりに
「日本の大学生はコンテンツもないしコミュニケーションも取れない」という言葉はグサリと刺さりました。世界標準で考えた場合、日本のほとんどの大学生には採用する価値などないのかもしれません。しかし、そこから巻き返す意思と強い覚悟さえあれば、世界で活躍できる人材を輩出する余地はまだまだあると私は考えています。
頑張っていきましょう。
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