【韓国教育IT事情-1】熱血教育ママに学ぶ教育とICT…大学入試編
◆大学入試にパトカーはつきもの
大学入試がある日は混雑を避けるために、公務員や大手企業の出勤時間が1時間遅くなり、全国民が息をひそめるほどだ。パトカーで受験生の送り迎えをすることに違和感を感じる人は、韓国にはいない。
入試会場の前で祈り続けるママ達の姿も恒例であるが、韓国は受験日の100日前からお寺や教会、聖堂に毎日通い合格祈願をするママ達が非常に多い。この時期になるとCMの内容も受験一色に染まる。受験生のための頭がよくなる牛乳、受験生のための体力をつける高麗人参エキス、正しい姿勢を維持させ疲れなくする椅子、などなどきりがないほどだ。
また受験が終わると、今度は一世に受験セールが始まる。受験で疲れた子供とママのために、受験票を持参した人に、特別価格で販売するイベントが全国のデパートやショッピングセンターで行われる。大学生になる前に「顔のパーツをチューニング」するとして、親子で整形外科に行くのもこの時期である。
◆受験生のママはスーパーウーマン
韓国の受験は世界一厳しいともいわれ、母と子の二人三脚でないと乗り切れない。お母さんが予備校に通いカリスマ講師の講義を録画して要約ノートを作り、子供はまた別の有名受験塾に通いながらお母さんの受験ノートを参考書にする。ネットでコミュニティを作り科目ごとにカリスマ先生の情報を共有して、成績別にグループを作って有名な先生から個別指導を受ける。受験コンサルティングや入試説明会にも頻繁に出席し、最大限の情報を収集する。塾の送迎、栄養食作りも手がかかる。さらに、教育費のために共働きするママがほとんどなので、受験生のママはスーパーウーマン! 受験生よりも大変といわれているのだ。
◆教育格差を是正する情報化
韓国はいつだって元気溢れる生き生きとした国、という印象があるが、日本と同じくますます就職が厳しくなっている。4年生大学卒の2割程度しか正社員になれない時代になってしまった。
韓国は朝鮮時代から、勉強さえできれば出世できる社会であった。今までは、どんなに家が貧しくても、勉強さえできれば奨学金がもらえ、名門大学を卒業して国家公務員か大手企業に就職して裕福な生活ができた。だから教育に命がけだった。しかしこの頃は貧富の差が教育の格差につながっている。
参考書を買うお金がない、塾に行くお金がないといった貧富の差、家の周りに進学塾どころか学校すらないという地域の差(島、過疎地域)、そういった格差のない「均等な教育機会」を与えるため、「教育の情報化」「デジタル教科書」の開発が15年も前から始まった。
学校の情報化もすでに10年前には終わり、学校の情報化という言葉は死語。今は「教室の情報化」がテーマになっている。教室の中にはIPTV、デジタル黒板、デジタル教卓(パソコンが中に入っている教卓)があり、2007年からはタッチ式ノートパソコンとWi-Fi(無線の規格)を使った「デジタル教科書」の実験が始まった。
デジタル教科書は、教科書に参考書、百科事典、各種データベースがリンクされていて、子供の学習能力を記録して個別指導もできるようにしたもの。デジタル教科書があれば、お金をかけなくても質の高い学習環境を整えられると考えられている。
中央省庁の文化体育観光部は2010年より「融合コンテンツ開発支援」として、デジタル教科書につながるマルチプラットフォーム標準電子書籍制作、3D教科書、仮想現実・ホログラムコンテンツ開発を支援している。デジタル教科書の中身も、現実拡張(AR)や3Dが導入され、より立体的なものにするとしている。
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振り返れば15年、流れ流れてオハイオ、ミシガン、カリフォルニア。結婚、現在3年生と8年生(中学2年生)の2女児を出産、そして離婚を経験し、アメリカでシングルマザーとなる。