最初から読む


21 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:02:38.79 ID:QVb795o0
まずは反省から。
前回までの所はスレ立てる前に書き貯めといたんだ。
そんで皆からのレス見て
文体変えたり、要らないとこ削ったり、分かりづらいとこ補足したりしながら貼ってたの。
最初からもっと速いペースでやってれば、あんな遅くまで時間掛からなかった。
俺のミスです。すいませんでした。
そんで最後の方は急いでて文章直せてないから、きっと見苦しい点が多かったかと。
更に深夜(というか明け方?)のテンションで2部とか言っちゃって。
多分この先は大して面白い話にならないと思うんだよね。
あまり期待しないで下さい。

それでは、第2部スタート。

22 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:05:32.97 ID:QVb795o0
俺は中学生になった。
クラスメイトの1/3は同じ小学校の奴。
坂上も小野寺も一緒のクラス。
交友関係には苦労しなかった。
他の小学校の奴等ともすぐに仲良くなれた。

24 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:08:12.61 ID:QVb795o0
俺の中学は無駄に強い部活ばかりだった。
それだけ練習も厳しいわけで、どの部も週6とか。朝練も毎日のようにあるし。
だからどこにも入部しない奴も結構多くて、俺のその中の一人。
陸上部や俺が唯一まともにできる球技のテニス部に誘ってくれる友達もいたけど
俺は努力が嫌いだから、遊ぶ時間削ってまで練習して
大会で良い成績取りたいなんて思わなかったし
自分は一番になれるだけの才能を持ってないことも分かってた。
そういう訳で、俺は帰宅部友達数人とつるんでた。
坂上は野球部に入っちゃったから、遊ぶ機会が格段に減って少し残念だった。

26 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:10:02.63 ID:QVb795o0
小学校と比べて、中学は自由が多かった。
学校行事もどちらかと言えば生徒の自主性が重んじられた。
クラス全員で決めたことに、先生はほとんど口を出してこない。
体育祭では、2週間前から毎朝7時に校庭に集合して長縄の練習をした。
結局、ビリだったけど。
俺はクラス選抜リレーのアンカーを押し付けられた。
200メートルも走れないって言ってんのに。
それでも何とか一位を取れたのは嬉しかった。
遠足では湖のほとりで飯盒炊飯をやった。
炎を一定の強さに保つのが難しくて、かなり苦労した。
カレーのジャガイモはちゃんと火が通ってなかったり。
それでも、友達同士で作ったものだから美味しかった。

27 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:11:12.99 ID:QVb795o0
合唱コンの練習も毎日遅くまでやった。
陽が落ちた後も学校に居続けるのは何かドキドキした。
俺達男子数人がふざけて投票したせいで、自由曲は野生の馬になった。
選曲が悪かったからなのかどうかは分からないが、順位は4クラス中3位だった。
スキー教室は特に面白かった。
俺は初心者だったけどそれなりに滑れて
インストラクターの言うこと無視して勝手に友達と競争してたら
先生に滅茶苦茶怒られて、夜一時間以上正座させられた。
一年次の主要な行事はこんなもんかな。
どれも凄く楽しかった。
中学校生活が楽しすぎて、前原と電話する回数は少しづつ減っていった。

28 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:13:57.83 ID:QVb795o0
あ、必要ないかもしれないけど、一応前スレのまとめね。

前原沙希という名前の可愛い子が転校して来た。

最初の頃、前原は少し浮いていたが、だんだんとクラスに溶け込んでいった。

色々あって小学5年生が終わった。

俺は前原を好きになった。

前原も俺を好きだった。

前原の転校でお別れ。そして小学校を卒業した。


29 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:14:49.25 ID:QVb795o0
中学2年生。
多少面子は変わったが、それでも相変わらず楽しい毎日。
放課後は誰かの家に集まってゲームしたり、特に用も無く街をふらついたり。
ゲーセン巡りや、山登りなんかもした。
鎌倉遠足は寺なんか入場料が勿体無いから入らないで
駅前でふらふらすることにしたんだけど
店とか全然ないのね。超田舎。トイレ探すのも一苦労。
ノリで昼飯に2000円のステーキ食ったけど大して美味くないし。
でも皆でふざけあってるとそれだけで楽しいのな。
それが3年生になる頃には少しずつ変わってきたんだ。

30 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:16:26.95 ID:QVb795o0
中3くらいになると、学年の男子の1/5くらいは彼女持ちになるんだよね。
俺がつるんでた奴等もそういうタイプの方で
気がつけば友達のほとんどが彼女作ってて。
遊びに行こうって誘っても
「今日は彼女と用事があるから」
って断られんの。
坂上も彼女の自慢話ばっか聞かせてくるし。
更にその娘がまあまあ可愛いから、余計に悔しくて。
俺だけ独りで寂しいなって思ってきたんだ。
そんな時、小野寺が俺に声を掛けてきた。

31 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:20:16.98 ID:QVb795o0
掃除が終り、下駄箱に向かう途中。
小「ねえ、ちょっと待ってよ」
俺「あ?」
小「とも君て、今彼女いる?」
俺「とも君て言うな。何でそんなこと聞くんだよ?」
小「いいからいいから」
俺「ったく……見りゃ分かるだろうが」
小「だよね~。ちなみに、好きな人は?」
俺「前原」
俺は即答した。
小「前原って……沙希のことだよね?」
俺「当たり前だろ」
前原が転校した段階で、小野寺と坂上には
俺が前原を好きだったってことを教えてた。
小「う~ん…そっか…まだ好きなんだ…どうしよっかな…」
小野寺が悩み始めた。
俺「それがどうしたんだよ?」
小「まあ、いっか。とりあえず彼女はいないんだよね?」
俺「そうだけど」
小「んじゃ、そういうことで、バイバイ」
俺「………」
次の日、俺は告白された。

33 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:23:39.45 ID:QVb795o0
相手の名前は内田愛李。
2年の時に同じクラスで、一緒に体育祭実行委員をやった。
俺と結構気が合うし、顔もそこそこ可愛い娘。
内「呼び出してごめんね」
俺「別に暇だから良いけどさ」
どうせ昼休みなんて、心の教室にたむろするくらいしかやることが無かった。
内「私達、クラス替わってからほとんど喋らなくなっちゃったよね」
俺「機会が無くなったからな」
内「私、2年生の時のクラスの方が楽しかった」
俺「俺は今のクラスも十分楽しいけど」
新しく来て俺達の担任になった先生が面白い人だったし、クラス全体のノリも良かった。
特に不満の無いクラス。
俺はそういう意味で言った。

34 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:24:21.25 ID:QVb795o0
内「オッチーっていつもそうだよね」
俺「何が?」
内「人の気持ちを分かろうとしない」
昔から良く言われる言葉。
俺「超能力者じゃないんだから、分かるわけないじゃん」
内「そういうところがだよ!」
こんなことで怒られる謂れは無いはずなのに
俺「ごめんなさい」
内田の迫力に気圧されて、謝ってしまった。

37 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:26:54.96 ID:QVb795o0
俺「つーかお前、何が言いたいの?そろそろ本題に入ってくれ」
5時間目が始まるまで、後10分。
内「オッチーって、彼女いないんだよね?」
俺「?そうだけど」
いきなり話題が変わって少し戸惑った。
内「だったら、私と付き合ってよ」
俺「は?」
そして更に戸惑った。
内「嫌?」
俺「嫌じゃないけど、俺、他に好きな人いるし」
内「だってその人、徳島にいるんでしょ?」
俺「何で知ってんの?」
内「マユに聞いた」
ここでやっと、昨日小野寺に話しかけられた理由が分かった。

39 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:28:26.98 ID:QVb795o0
俺「何で俺と付き合いたいの?」
内「オッチーが好きだから」
女の子に好きって言われたのはこれで4回目。
当然、悪い気はしなかった。
俺「ありがとう」
内「え?付き合ってくれるの!?」
俺「あ、いや、そういうつもりで言ったわけじゃなくて」
内「うぅ~」
そんな剥れっ面の内田に少しだけときめいてしまった。


40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/30(日) 22:30:25.78 ID:f.4BtY.o
>>39
イケメンモゲロwwwwww



41 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:31:21.80 ID:QVb795o0
内「駄目?」
俺「ごめん」
内「私のこと、嫌い?」
俺「どっちかと言えば好きな方だけど」
内「じゃあ良いじゃん」
俺「でも、前原が…」
内「こっちに戻ってくる予定なんて無いんでしょ?」
俺「そうだけど…」
内「もう一生会えないかもしれないんだよね?」
相手の電話番号は知ってるから会おうと思えば会えないこともないけど
あれから3年近くたって、もしかしたら前原はもう俺のことを好きじゃないかもしれない。
そう考えると今後また会おうという気は起こらなかった。
俺「多分」
内「ねえ、オッチー。私と付き合おうよぉ」
甘ったるい声+上目使い。
この組み合わせは反則だと思う。
心が揺らいだ。
友達はほとんど皆、彼女を作ってる。
俺だけ取り残されているような気がして寂しかった。
内田は可愛いし、きっと一緒にいて楽しいだろう。
俺は、内田となら付き合ってもいいなと思った。

42 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:35:56.09 ID:QVb795o0
その日の夜。
俺は前原に電話をすることにした。
携帯を操作する指が震えた。
こっちから掛けるのは初めて。
話の内容も前原の喜ぶものではない。
緊張するに決まってる。
別に無理に伝える必要はなかった。
前原とは直接的には関係の無いことだから。
でも、言っておきたかった。
発信ボタンを押す。
すぐに前原が出た。
前「久しぶりだね、落合君。元気だった」
前原の明るい声を聞くのが辛かった。
俺「前原、ごめん!」
俺は誠心誠意謝った。


43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/30(日) 22:39:21.44 ID:f.4BtY.o
3年間一度も会ってないのか・・・



44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/30(日) 22:39:35.59 ID:AXO2sBs0
せつない・・・
泣きそうになってきた。



45 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:48:38.52 ID:QVb795o0
>>43
だって遠かったんだもん。交通費だけで片道2万くらいじゃないか?
それでも、中1の夏休みに一度会おうかって話になったんだけど
そん時は友達と遊んでるほうが楽しくて。



46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/30(日) 22:49:18.54 ID:f.4BtY.o
>>45
中学生にはきつい話だよなあ・・・
セツナス



47 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:50:23.23 ID:QVb795o0
前「え?どうしたの?」
俺「今日の昼、同じ中学の娘に告白された」
前「………」
俺「そいつ、一緒にいると楽しいし、結構可愛いんだ」
前「………」
俺「だから俺、その娘と付き合うのもいいかなって思った」
前「そうなんだ…」
俺「ごめん。俺、前原のこと今でも大好きなのに、一瞬でもそんなこと思っちゃって」
前「………」
俺「明日ちゃんと断るから。もう二度とそんなこと思ったりしないから」
前「………その娘と付き合いたいって話じゃないの?」
俺「違うよ」

48 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:50:59.93 ID:QVb795o0
前「……そういう変なフェイントやめてよ。私今、泣きかけたんだよ」
俺「でも本当のことだから。ごめんね」
前「そっか。落合君、今も私のこと好きでいてくれてるんだ」
俺「前原は俺のこと好きじゃなくなった?」
前「そんなわけないじゃん」
俺「でも、クラスにカッコ良い人とかいるでしょ」
前「いるけど、落合君を好きな気持ちは特別だから」
俺「良かった…あ、それじゃ、そろそろテレビ見る時間だから、バイバイ」
前「うん、またね」
自分の気持ちを再確認できた。
俺は前原が好き。
だから内田とは付き合わない。
少しくらい寂しくても我慢する。
二度と他の娘に心を傾けたりしない。
そう誓った。

49 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 22:51:49.57 ID:QVb795o0
クラス関係的な補足。
俺は  1組→1組→3組。
坂上も 1組→1組→3組。
小野寺は1組→3組→1組。
内田は 2組→1組→1組。


51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/30(日) 22:58:38.64 ID:f.4BtY.o
>>1がどこかはわからんが絶望的な距離だよな・・・
泣ける


53 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 23:07:00.68 ID:QVb795o0
>>51
言ってなかったっけ?
東京の端っこ辺りですよ。


52 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 23:04:42.52 ID:QVb795o0
翌日。
内「オッチーっ」
昼休み。内田が俺の教室に来た。
何でだろうね?
昨晩
「明日の昼休み、音楽室前で待ってて」
ってメールしたんだけど。
坂「あ、ウッチー。どしたの?」
内「オッチーを迎えに来たの」
二日連続で抜けると変に勘繰られそうだから
トイレに行く振りして音楽室に向かおうと思ってたのに。
俺「………そんじゃ、行こうか」
「どこ行くんだよ?」
俺「ちょっと上まで」
「何しに?」
俺「話があるから」
坂「俺達もついてって良い?」
俺「くんな!」
坂「はいはい」
ほぼ確実について来ることが予想できたけど
別に話を聞かれても俺は困らないから
これ以上釘を刺したりはしなかった。

54 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 23:08:28.11 ID:QVb795o0
階段を上り四階へ。
逆端側には数人男子がいたが、これだけ離れてれば問題無い。
俺「あ、えっと…」
俺の方から会話を切り出した。
俺「やっぱ無理」
内「………え?」
俺「そういうことだから、ごめんね」
言うこと言ったし、教室に戻ろうとした。
内「待ってよ!」
俺「何?」
内「何で?昨日は考えとくって言ったじゃん!?」
俺「帰り道を独りで歩きながら考えた結果、無理ってことになった。
好きな人がいるのに他の娘と付き合ったりはできないでしょ」
内「………」
昨日即座に答えを出さなかった事に関しては、少しだけ悪いことをしたなと思った。
俺「ごめん」
内「……だったら一晩待たせないでよ!
昨日の内にメールでそう言ってくれれば良かったじゃない!」
俺「いや、こういうのって直接言った方が良いかなって…」
配慮が裏目った。

55 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 23:10:51.69 ID:QVb795o0
内「………」
俯く内田。
何か言うべきだと思った。
俺「大丈夫。内田は可愛いからすぐに彼氏できるよ」
慰めたつもり。
内「ホントは私のこと可愛いなんて思ってないんでしょ!?」
でも逆効果。
俺「いやいやいや、そんなことないって」
内「………」
内田が泣きそう。
俺「あ、そうだ。これあげるよ」
あの時の俺は何でこんな事したんだろう?
制服の内ポケットから未開封のピンキーを取り出し
ちょうど隣にあった、火災時用の道具が入ってる鉄の箱の上に置いた。
内「いらない!」
バシッ。
はたき落とされた。
俺「じゃあこれ」
今度はプリッツを。
内「………」
グシャッ!
叩き潰された。
プリッツばきばき。

56 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 23:11:48.30 ID:QVb795o0
困ったね。
内田も大事な友達の一人。
これがきっかけで疎遠になったりすんのは嫌だった。
俺「俺、女友達の中ではお前が一番好きだよ」
本当は小野寺の方がちょい上だったけど気を使ってそう言ったんだ。
なのに
内「オッチーの馬鹿ぁっ!」
何が気に障ったんだか。
ガッ!
俺「ヴ!」
顎に掌底が入った。
分かるよ、ビンタしたかったんだろ。
内田はそのまま走って女子トイレに。
俺は仕方ないからピンキーとプリッツ回収して教室に戻った。

57 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 23:12:59.20 ID:QVb795o0
坂「はは、殴られてんの」
やっぱり見られてた。
俺「ついてくんなっつっただろうが」
「袋破れてんじゃん。それ食べようぜ」
皆でプリッツ食った。
夜。
小野寺からメールが来た。
小「とも君て、頭良いけど馬鹿だよね(笑)」
小野寺は怒ってないみたいで良かった。
俺「お前は頭悪いし馬鹿だよな(笑)それと、とも君は止めろ」
どうでもいいけど、(笑)って懐かしいな。
それから一月もしない間に、内田は他の男と付き合い始めた。
女は何考えてんだか良く分かんねえ。


58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/30(日) 23:13:56.09 ID:M2epvQAO
落合はかなりイケメンなのか?


62 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/30(日) 23:22:21.52 ID:QVb795o0
>>58
そんな事はないと思う。
顔は多分普通くらい。
文章だけ読むとモテてるように見えるかもしんないけど
前原が俺のこと好きになってくれたのだって
最初あれだけ頑張ったからだろうし。
それに普通に中学生してれば一度くらいは誰かしらから付き合おうって言われるでしょ?
たまたま内田が可愛かっただけ。



63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/30(日) 23:28:58.74 ID:WxitUMAO

俺は普通に中学生してなかったんだなorz


64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/30(日) 23:29:10.48 ID:7v0M3cAO
>>62
>それに普通に中学生してれば(ry
‥‥‥‥‥‥


乙、これからの展開も楽しみなんだぜ!



94 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:08:38.11 ID:mOZHDRY0
中3の2学期。
親に志望校を決めろと言われた。
けど、なかなか決まらない。
きっと俺のことを嫌ってる先生の陰謀だろう
試験で90点以上取っても成績は3しかもらえなかった。
実技は苦手で音楽や美術は2。
行きたい都立高校は素点で最低40必要。
オール3にすら達していない俺には決して手の届かない場所。
頑張ってどうにかなるものじゃない。
そう思うとやる気は失われ、更に成績が落ちていく、悪循環。
偏差値も50を下回った。
そんな時、前原から電話が来た。

96 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:14:27.35 ID:mOZHDRY0
前「聞いて、聞いて!また引っ越しするんだって!!」
俺「え、ホントに!?」
前原の声の調子から、近くに引っ越してくることが予想できた。
前「うん!それでね、来年からは高校生だからって、これが最後なの!」
俺「場所は?」
前「山梨の○○ってところ」
山梨くらいなら行こうと思えばいつでも行ける。
俺「また、会えるんだ」
前「うん!で、相談なんだけど」
俺「何?」
前「落合君はもう高校決めた?」
俺「まだだけど」
前「○○高校って知ってる?」
俺「ううん」
前「私の引っ越し先と、落合君の家のちょうど真ん中くらいにある高校なんだけど」
俺「公立?」
前「私立。そこの特進科は偏差値66くらい」
私立なら勉強すればどうにでもなる。
前「その高校、一緒に受けようよ」
俺「分かった」
全てが上手く行き始めたように思えた。

97 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:22:11.02 ID:mOZHDRY0
数日後、今度は俺の方から前原に電話。
俺「お父さんに聞いたら、俺の成績じゃどうせ大した都立には入れないから
その高校で良いってよ。その代わり大学は国立にしろって言われたけど」
前「よかったぁ。頑張って勉強して、同じ高校入ろうね」
俺「うん、絶対同じ高校に行こう。…そんで、引越しはいつなの?」
前「今月末の修学旅行が終わってから転校する予定だから、もう少し先かな」
俺「引っ越したらすぐに教えてよ。休みの日に電車で会いに行くから」
前「え、駄目だよ」
俺「何で?」
前「受験生なんだから遊んでる暇無いよ」
俺「一日くらい大丈夫だろ?」
前「そうかもしれないけど…」
前原はあまり乗り気じゃない様子だった。

100 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:28:48.56 ID:mOZHDRY0
前「私、そんなに頭良い方じゃないでしょ?」
俺「そうなの?」
前「うん。だから本当はオール4くらいで入れる公立高校を受ける予定だったの」
オール4とか俺じゃまず無理。
前「でも、また引っ越すことになって、もしかしたら落合君と同じ高校行けるかもって」
俺「そう言えば、途中で転校すると内申点はどうなんの?」
前「前の学校で出してもらうこともできるみたいだけど」
俺「ふぅん」
前「…それで、私も落合君も通えそうな高校を探したの」
そこまで俺のことを考えてくれてたとか、ホント良い娘。
前「その中で一番良さそうなのが○○高校だったんだけど、ここの特進て結構難しいの」
俺「はあ」
前「私じゃ入れないかも」
俺「なら普通科で良いじゃん」
前「普通科じゃ駄目」
俺「何で?」
前「クラス数が全然違うから」
俺「は?」
前「特進は3クラスしかないけど、普通科は8クラスもあるの」
俺「ごめん。ちょっと意味が分からない」
前「特進にしとけば落合君と一緒のクラスになれる可能性が上がるんだよ」
そんな理由で難しい方選ぶなんて、前原可愛過ぎ。

101 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:34:05.80 ID:mOZHDRY0
前「私は落合君の為に受験勉強頑張る。でも、受験の前に会っちゃうと
高校受からなくても落合君と会えるんだって思っちゃって
きっと頑張れなくなる気がするの。
だから会うのはもう少しだけ待って」
本当は今すぐにでも会いたかったけど、そこまで言われたら待つしかない。
俺「分かった。後半年待つ」
前「半年じゃなくて4ヶ月だよ。試験は1月だから」
俺「あ、そうなんだ」
前「………落合君、試験科目とか分かってる?」
俺「5教科じゃないの?」
前「……私だけ受かっても意味ないんだよ」
俺「大丈夫。俺は絶対受かるから」
根拠のない自信。
俺がこの直後に受けた模試の合格判定は、再検討だった。

102 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:35:47.29 ID:mOZHDRY0
俺は努力が大嫌いだった。
英理社はどちらかと言えば暗記科目。
覚えることばかりでつまらないから真面目に勉強しなかった。
数学と国語は好きだった。
知識が無くても解ける問題が多かったから。
俺の受験科目は英数国。
英語は捨てることにした。
150/300が合格最低点。
国数で130取る作戦に。
そういうわけで受験勉強はほとんどしなかった。
友達も不真面目な奴ばっかで、そいつ等と遊んでる内に二学期が終わった。

103 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:37:41.65 ID:mOZHDRY0
1月下旬、試験当日。
前原とは会わなかった。
きっと時間に余裕が無いだろうし、受験番号もかなり離れてるので
再会という楽しみは合格発表日まで取っておくことに。
一科目めは英語だったかな。
長文は読みもしなかった。
文法問題と記号問題だけテキトーに解いた。
二科目めは数学。
いつもなら簡単に解ける筈の連立方程式が解けなかったり
確立の問題にてこずったりで悲惨な結果になった。
6割いくかいかないかくらい。
俺は焦った。次の国語で挽回しなければと。
三科目めの国語。
小説文が意味不明だった。
文章の内容が全く理解出来なくて。
それでも何とか設問は解いたけど、自信は無かった。

104 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:40:16.03 ID:mOZHDRY0
前「できた?」
夜、前原からの電話。
俺「ちょっとやばいかも」
前「そうなの?」
俺「数学ミスった。国語も自信無い」
前「英語は?」
俺「最初から捨て教科」
前「……まあ、後2回試験受けられるし」
この高校は全部で3回試験があって今日のが一番難しい。
俺「ああ、3度受ければ1回くらい合格するよな」
俺はひたすら楽観的だった。

俺「じゃあ、また明日ね」
前「うん」
合格発表は翌日の9時から。
人込みを避ける為に待ち合わせの時間は10時にした。
明日、3年ぶりに前原に会える。
受験の合否よりそっちの方が気になった。

106 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:42:20.15 ID:mOZHDRY0
次の日。
電車に乗って高校へ。
約束の時間より少し早く着いた。
前原っぽい人は見当たらない。
俺は大人しく待ってられない性格、そこらへんをぶらぶらすることに。
校門をくぐり、歩くこと数歩。
前「落合君!」
突然後ろから抱きつかれた。
俺「前原!?」
前「えへへ、びっくりした?」
笑顔の前原。
少し背が伸びて、顔立ちも大人っぽくなって、髪も長くなってたけど
面影ははっきりと残っていた。

107 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:44:26.03 ID:mOZHDRY0
間抜けな顔になるから嫌なのに、それでも口元が緩むのを抑えられなかった。
頬とか耳とかが熱くなった。
俺「何すんだよ。危ねえな」
照れ隠しに少し冷たい言い方をした。
前「あ、ごめん…」
俺「いや、怒ってないから、謝んなくても…」
前「………」
俺「………」
気まずい空気。
電話と、実際に面と向かって話すのとじゃ全然違うね。
久しぶりに会うとこんなふうに喋れなくなっちゃうの。
だけど、いつまでもこうしてるわけにはいかないから、何か言おうって思った。
そこであの時の約束を思い出した。
俺「前原、好きだよ」
前「え?」
俺「約束、覚えてる?」
前「…あ。私も、落合君のこと好き。だから、私を彼女にして下さい」
俺「うん」
これでやっと、俺達は恋人同士になれた。

109 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:45:17.88 ID:mOZHDRY0
俺「3年ぶりか。すぐに俺のこと分かった?」
前「分かるに決まってるでしょ」
俺「何で?」
前「好きな人だから」
俺「理由になってないだろ」
前「そんなことないよ」
俺「俺、変わってない?」
前「背が伸びたね。あの頃は身長同じくらいだったのに」
俺「もう成長止まっちゃったっぽいけど」
前「私は変わった?」
俺「変わったよ」
前「どこが?」
俺「前よりもっと可愛くなった」
前「…そうかな?ありがと……」
恥じらって俯く前原が堪らなく愛しかった。

110 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:49:30.04 ID:mOZHDRY0
俺「そんじゃ、結果を貰いにいこうか」
この高校は合格者番号を掲示するのではなく
一人一人に封筒を渡して結果を通知するという方式を取っていた。
俺「~番、落合です」
前「~番、前原です」
係りの先生に封筒を手渡された。
俺「何かさ、封筒の厚さ的に合格っぽくない?」
俺の1つ前の人は、明らかにもっと薄っぺらい封筒を受け取っていた。
前「私もそんな気がする」
俺「まあいっか。とりあえず開けよう」
前「そうだね」
開封。
俺「うん。受かってる」
前「私も」
何とも感慨の薄い合格発表だった。

112 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:53:58.25 ID:mOZHDRY0
俺「この後、用事ある?」
前「学校に戻って合格報告しないと」
俺「そんなの明日で良いじゃん。どっか遊びに行こうよ」
前「駄目だよ。落合君もちゃんと学校に報告しないと」
俺「もっと前原と居たいのに」
前「これから3年間はずっと一緒にいられるんだから」
俺「クラス同じだと良いな」
前「きっと大丈夫だよ」
俺「どうして?」
前「今までずっと離れててたんだもん。その分だけ、これからは近くにいられるよ」
季節はまだ冬。
だけど、前原と繋いでる左手はとても暖かかった。

114 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/03/31(月) 22:55:26.09 ID:mOZHDRY0
卒業式。
俺と同じ高校に進学する友達は一人もいない。
こいつ等とも、今日でお別れ。
地元だからいつでも会えるけど。
坂「オッチーも○高にすりゃあよかったのに」
俺「そんなレベルの低い学校行けるか」
「私立なんか、金さえ払えば誰だって行けんだろ?」
俺「倍率1.5だったけどね」
「俺はまだ高校決まんないよ」
俺「お前のとこは自営業なんだから、高校出る必要ないだろ?」
「まあな」
俺「つーか、このメンバー、俺以外まともなのがいないじゃん」
「勉強が全てじゃないだろ」
俺「最初から勉強してない奴が言っても説得力ないんだよ」
軽口を叩き合いながら歩く帰り道。
これも今日で最後。
坂「6時から打ち上げやるっつってたけど、行く?」
「どっちでもいいや」
「俺はパスだな」
俺「サカは?」
坂「他の友達と約束があるんだよね」
俺「なら俺も行かない」
「だったらここでさよならだな」
坂「そんじゃ、元気でな」
俺「ああ」
こうして、俺の中学生活が終わった。


128 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:18:49.37 ID:wLM48oI0
高校生活が始まった。
前原とは同じクラスになれた。
友達もすぐに出来た。

「なあ、次の体育、下にジャージ穿いてく?」
俺「俺は短パンでいいや」
「そっか。じゃ、俺もそうしよう」

俺「やべ、小論文の課題が書いてある紙、忘れた」
「俺、2枚持ってるから、あげるよ」
俺「マジで?サンキュ」
きっかけはこんな些細な会話だった。

「昼飯どうする派?」
俺「弁当持ってきてる」
「俺は学食行く」
俺「昼飯代、いくら貰ってんの?」
「一日千円」
俺「金持ちは消え失せろ」
「俺もそう思う」
「そんじゃ俺達はここで一緒に食べようぜ。お前はどっか行け」
「ちょ、酷くね?」
こうして少しずつ打ち解けて行った。

129 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:19:55.53 ID:wLM48oI0
入学式から1週間ほど経った日のこと。
昼休み、俺は男子数人に囲まれた。
袋にされたって意味じゃないよ。俺の周りに集まったってだけね。
「おい、オッチー。聞きたいことがあんだけど」
俺「何?」
「何でそんなに前原さんと仲良いの?」
前原と親しげに喋ったり、一緒に帰ったりしてるところを見られたんだろう。
俺「だって、俺達付き合ってるし」
「は?」
「マジで?」
「………」
「………」
俺「うん」
皆の表情を見比べた。
驚愕と落胆が半々くらい。
「いつから付き合ってんの?」
俺「一応今年の一月から」
「中学が一緒だったの?」
俺「いや、違うよ」
「じゃあ何で?」
俺「話すと長くなるから止めとく」
「良いから教えろよ」
「俺も聞きたい」
俺「ったく、分かったよ」
俺は前原との馴れ初めを、昼休みをフルに使って語ってやった。

130 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:22:56.04 ID:wLM48oI0
「マジでやる気無くすわ」
俺「何が?」
「クラスで一番可愛い子が最初から彼氏持ちとか」
俺「クラスで一番、か。やっぱ前原って可愛いよなぁ」
彼女を褒められて嬉しくなった。
「お前、死ねよ」
「明日からオッチーハブろうぜ」
俺「やめてくれ」
「早く別れれば良いのになあ」
言われてることは酷いけど、空気は和やか。

136 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:26:48.95 ID:wLM48oI0
俺が前原と喋ってると、男友達が話しに入ってくるようになった。
その内、そこに前原の友達も入ってくるようになって
連鎖的に、友達の輪が広がって行った。
4月が終わる頃には学校に行くのが楽しくて楽しくて仕方なくなっていた。
進学クラスだけあって、勉強は大変だったけど
その程度のことは殆ど不満に思わなかった。
週3回ある7時間授業。
終わる頃、空は茜色。
学校から駅までの帰り道、毎日前原と一緒に歩いた。
前「もうすぐゴールデンウィークだね」
俺「その前に身体測定があるんだよな。ああ、身長伸びてて欲しい」
前「女子は午後からかぁ…お昼ごはん抜かないと」
俺「前原はそんな小細工必要ないでしょ?」
前「でも、皆それやるって言ってるから…」
俺「むしろもうちょっと太ったら?太腿とか凄い細いじゃん」
普通は二の腕を例に挙げた方が良いんだろうけど
夏服で隠れてたから、しょうがなく脚にしたんだ。なのに
前「えっちっ…」
俺「そういうつもりじゃないって」
前「…でも、落合君ならいいよ」
俺「………」
前「じゃあね。また明日」
駅のホームで手を振る俺達。
何もかもが満たされた日常。
こんな幸せがずっと続くと思ってた。

141 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:32:02.16 ID:wLM48oI0
ゴールデンウィーク。
俺はある計画を立てた。
俺には2歳下の弟がいた
去年(俺が中3)の夏、その弟が中1のくせに彼女を作って家に連れてきた。
父「弟に先越されちまったな」
母「お兄ちゃんも早く彼女作れば良いのにね」
こっちの事情も知らないで勝手なことを言ってくれた。
そして高校入学後、俺は前原と付き合うようになった。
家族は前原の名前すら覚えてない。
だから俺は両親が休みの日に
前触れ無しに前原を家に連れてきて、2人を驚かしてやることにした。
前原もこの計画に乗ってくれた。
両親の驚く顔が目に浮かんでくる。
実行する日がとても楽しみだった。


142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/01(火) 22:32:46.45 ID:Xb83Oa2o
嫌な予感……でもよまずにはいられない


143 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:33:47.34 ID:wLM48oI0

作戦決行の日。
俺「今日何か予定ある?」
母「無いよ」
俺「じゃあずっと家にいるんだよね?」
母「多分」
部屋に戻り前原に電話。
俺「今日で大丈夫そう」
前「分かった。今から行くね」
俺「○○駅の改札で待ってるから」
午前10時
俺「ちょっと出かけてくるね」
母「どこ行くの?」
俺「駅の方まで買い物しに」
母「行ってらっしゃい」

144 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:34:43.90 ID:wLM48oI0
駅に到着。
俺「遅れてごめん」
前「私も今着いたとこだよ」
バスに乗り、俺の家へ向かう。
前「落合君の家に行くの初めてだね」
俺「いつも小野寺か渡瀬の家で遊んでたからな」
前「何かマユとアヤに会いたくなってきた」
俺「まだお前のこと覚えてると良いな」
前「酷いこと言わないでよぅ」
下車。歩くこと5分、俺の家に着いた。
俺「何で?」
家の鍵が閉まってた。

146 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:37:50.45 ID:wLM48oI0
前「どうしたの?」
俺「んー、とりあえず中に入ろう」
物置の中に隠してあった合い鍵を使い、家の中へ。
前「おじゃましまーす」
俺「何で誰もいないんだよ?」
前「どっか出かけちゃったんじゃない?」
俺「いや、今日は家にいるって…」
書き置き発見。
「シェーキーズに行ってきます。これでお昼食べてください」
紙の上に500円玉が置いてあった。
父「おはよう」
母「おはよう」
父「……ピザ食べたいな」
弟「俺も」
母「じゃあお昼作るのめんどくさいし外食しよっか」
そんな光景が容易に想像できた。

147 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:39:09.98 ID:wLM48oI0
俺「ごめん。わざわざ来てもらったのに」
前「別にいいよ」
俺「はあ、しょうがないから写真でいいや」
前「え?」
携帯を出す。
俺「そこの時計の前で撮って、前原を連れてきた証明にする」
前「そこまでしなくても。またいつでも遊びに来るよ」
俺「いや、やっぱ何もせず帰したら悪いから」
前「そう?じゃあ撮ろっか。どういうふうにすればいい?」
俺「好きなように。一番可愛く写る角度で」
前「じゃあ落合君、そこに立って」
俺「ああ」
時計の前へ。
前「それでこうしよう」
前原が俺の首筋に抱きついてきた。
俺「これでいいの?」
前「うん」
撮影。
俺「駄目だ。これじゃ前原の可愛さが伝わらない」
結局10回くらい撮り直した。


148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/01(火) 22:39:14.19 ID:Xb83Oa2o
500円でお昼って……ww
せめて1000円wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


149 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:40:30.34 ID:wLM48oI0
>>148
俺の家は夕食だって700円だぞ!



150 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:42:21.96 ID:wLM48oI0
俺「そんじゃ帰ろっか?」
前「もう?」
俺「だって他にすることないじゃん」
前「落合君の部屋見せてよ」
俺「何も面白いもの無いよ」
前「好きな人の部屋ってだけで面白いの」
その通りだと思った。同じ状況なら俺も前原の部屋を見たがるだろう。
俺「じゃあいいよ」
俺は前原を部屋にあげた。

152 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:44:11.63 ID:wLM48oI0
前「意外と片付いてるんだ。汚かったら掃除してあげようと思ってたのに」
俺「意外?」
前「男の人の部屋って汚いものじゃないの?」
俺「人それぞれだろ」
中学の友達の中に酷い奴がいたな。
衣服やCDが散乱してるから、足の踏み場が無かったり
3日前のカップラーメンの汁が放置されてたり。
前「漫画がたくさんあるね。あ、こち亀が全巻揃ってる」
俺「読みたいのあれば読んでいいよ」
前「ううん。今はいいや」
俺「そっか」
俺はベッドに腰掛けた。

154 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:46:24.44 ID:wLM48oI0
前「………」
俺「何キョロキョロしてんの?」
前「………えっちな本とかあるのかなって」
俺「無いよ」
俺の部屋には自分専用のパソコン。
これ一台で全て事足りてた。
俺「つーか、前原ってそういうこと言うキャラだったっけ?」
俺は小野寺以外の女の子と下ネタトークをしたことが無かった。
前「私だって15歳の女の子だもん」
俺「………」
前「そういう娘ってやだ?幻滅した?」
俺「ううん。俺は前原の全部が好きだから」
前「……よかった。ねえ、隣座っていい?」
俺「いいよ」
前原が俺の横に座った。

155 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:48:38.48 ID:wLM48oI0
右肩に掛かる前原の重さと温もり。
俺「………」
前「………」
間が持たない。
俺「テレビ点ける?」
前「ううん」
俺「そっか」
前「……落合君、いつもここで寝てるんだよね?」
俺「当たり前じゃん」
前「……ちょとだけ布団入って寝てみて良い?」
俺「何でそんなことしたいの?」
前「なんとなくだけど」
俺「…別に良いけどさ」
前「やったっ」
枕に頭乗っけて、肩まで布団を掛けて、嬉しそうにしてる。
いつも俺が寝てる布団に前原の肌が触れていると思うと、何だか変な気持ちになってきた。


156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/01(火) 22:49:24.22 ID:Xb83Oa2o

そこだ、いまだ、おしたおせ!



157 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:51:11.87 ID:wLM48oI0
俺「寝心地どう?」
前「気持ち良いなあ。落合君の匂いがする」
俺「臭いってこと?」
前「違うよ。良い匂い。凄く好き」
俺も前原の甘酸っぱい匂いが大好きだった。
俺「前原の家に行く機会があったら、俺も前原のベッドで寝るね」
前「駄目。絶対駄目」
俺「何で?」
前「恥ずかしいから」
俺「だったら俺も恥ずかしい」
前「落合君は男だから良いの」
俺「性別は関係無いだろ?」
前「駄目なものは駄目なの」
俺「だったらお前も今すぐ布団から出ろ」
前「や~だよっ」
俺は布団を引っぺがすことにした。

158 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:53:14.33 ID:wLM48oI0
俺「なら無理矢理出すから」
布団に手を掛け、引っ張る。
が、離れない。
前原も内側から引っ張ってる。
前「べぇ~」
薄い唇の間から覗く、白い歯と淡紅色の舌。
俺「てめっ」
予定変更。
布団も前原もまとめて引きずり落としてやる。
前「きゃっ」
マットレスと前原の背中との間に腕を突っ込み
前「あははっ…くすぐったいっ……」
脇の下に手を入れ、こっちに引き寄せようとした。
前「あはっ…ちょっ…やめっ…て…自分…で…出るっ…からっ…」
止めない。
前「あっ…そこ…ダメっ…胸触ってるっ……」
知ったことじゃない。
前「あうっ」
前原が力尽きた。

159 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:55:51.52 ID:wLM48oI0
頭から床に落ちる体勢だったけど、ぶつけないよう途中で止めた。
服とかスカートとか捲れて色々見えてた。
前「もうっ」
微妙に怒ってるみたいだったので謝ることにした。
俺「あ、ごめん」
前「うそっ。怒ってないよ」
俺「…なんだよ」
前原を抱きかかえてベッドに戻した。
前「髪の毛ぐしゃぐしゃになっちゃったじゃん」
俺「そこの引き出しにクシ入ってるよ」
前「大丈夫」
手で少し整えただけで元通り。
俺「………」
前「………」
また会話が途切れた。

160 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:58:38.05 ID:wLM48oI0
前「…ねえ、落合君」
俺「何?」
前「……あの時以来、キスしてないよね?」
俺「…そうだね」
今までなかなかタイミングが見つからなかったから。
前「……今度は…落合君からして欲しいな」
前原が目を瞑った。
躊躇う理由は何一つ無い。
俺は前原にキスした。
俺「………」
前「…んっ……」
3秒くらいで唇を離す。
前「私、幸せだなぁ。嬉しすぎて死んじゃいそうだよっ」
俺「俺も」

<中略>

俺と前原は繋がった。

161 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 22:59:41.88 ID:wLM48oI0
挿入が完了して、俺がすぐにイって、そんで終りにした。
一応ちゃんと外で出した。
後始末をしてから、前原を駅まで送った。
俺「大丈夫?もう痛くない?」
前「痛くないけど、変な感じがする。でも嬉しいからいいや」
俺「……また、しようね」
前「落合君はえっちだなぁ」
俺「嫌?」
前「嫌なわけないよ」
俺「そっか」
前「また、してね」
俺「うん」
その約束が果たされることは無かった。


162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/01(火) 23:00:23.98 ID:suaJ/IAO
>>160
まあそうなるわな。


164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/01(火) 23:00:50.69 ID:y/yPDYAO
>>160
中略は無しの方向にしてもらいたいんだな


170 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/01(火) 23:03:20.93 ID:wLM48oI0
このスレに求められてるのってそういうのじゃないでしょ?
俺、間違ってないよね?



171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/01(火) 23:05:05.64 ID:suaJ/IAO
>>170
俺は求めてない。色が違うと思う。


221 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:02:02.91 ID:GUZd2.A0
5月下旬。
高校初めての体育祭を間近に控え、
クラス一同がそれなりの盛り上がりを見せ始めた頃のこと。
いつも俺より先に来ている前原の姿が、教室内に見当たらなかった。
まあ、たまには前原だって遅く来ることもあるだろう。
俺は大して気にしなかった。
朝のホームルームが始まっても前原は来ない。
遅刻?欠席?
いや、欠席なら俺にメールをしてくれる筈。
ってことは遅刻。
もしかして事故に遭ったのか?
そんなこと考え不安になり出した時、ケータイが振動した。
前原からのメール。
「かぜひいたみたい」
たった一文。
件名も顔文字も無し。
それだけ辛い風邪なのだろうと、俺は返信しなかった。

222 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:04:22.62 ID:GUZd2.A0
授業が終り、放課後。
体育祭の種目でムカデ競争を選んだ奴らは練習に勤しんでいる。
俺は徒競走。個人種目なのでそういうのは必要ない。
すぐに帰宅した。
この日は前原がいなくてつまらなかった。
朝学校に着いて、おはようって声掛けて
昼は一緒にお弁当食べて
休み時間は友達も交えて他愛も無い話で盛り上がって
放課後、2人で談笑しながら駅まで歩いて
ホームで「さよなら。また明日」手を振る。
そんなありふれた日常が何よりも大切だった。
そしてそれは、前原がいないと成立しなかった。

223 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:04:57.92 ID:GUZd2.A0
家に着いた。
新着メール無し。
俺は前原に電話しようか迷い、やめておくことにした。
寝てたらとしたら、着信音で起こすことになる。
ただでさえ熱で苦しんでいるであろう前原に、余計な負担は掛けたくなかった。
この選択が間違いだった。
俺は何度も後悔した。
もしここで電話してたら、最後に声が聞けたのに。



227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:06:42.64 ID:5XleCJY0
>もしここで電話してたら、最後に声が聞けたのに。

・・・っ!
・・・・・・。



224 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:05:36.51 ID:GUZd2.A0
次の日。
やはり前原は来ていなかった。
「オッチー、おはよ」
俺「おはよ」
隣の席の友達と挨拶を交わし、チャイムが鳴るまで雑談。
やがて先生が教室に入ってきた。
先「お前等、席に着け」
この日はいつもと空気が違っていた。
クラスメイト達もそれを察したのか、教室内はすぐに静まり返った。
先「残念なお知らせがある」
思い当たる事は何一つ無かった。
この学校の生徒が問題起こしたとか、その類のことだろうと思った。
全然違った。
予想だにしなかった一言。
先「前原が昨日の夜遅くに亡くなった」


225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:05:38.78 ID:X4zgKMEo

なんだ・・・と・・・?


226 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:06:22.75 ID:GUZd2.A0
思考が追いつかなかった。
数秒送れて発せられた言葉の意味を理解した。
俺「先生!どういうことですか!?」
先「病死だそうだが、俺も詳しいことは知らない。朝、前原の親御さんから連絡があっただけだ」
先生は多少面食らっていた。
無理もない。
俺と前原の関係は先生から見ればただのクラスメイト。
俺がここまで声を荒げる理由が分からなかったんだろう。
先「お前等、目を瞑れ。1分間黙祷だ」


228 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:06:54.93 ID:GUZd2.A0
少し長引いた朝のホームルームが終り
いつもと同じように1時間目が始まった。
当然、授業内容なんて頭に入らない。
死んだって何だよ?人がそう簡単に死ぬわけ無いだろ?
先生の言葉が信じられなかった。
病死?
前原が何かの病気だなんて話は一度も聞いたことが無い。
一昨日まで普通に元気だったのに。
そんな前原が病死。
もう何も考えたくなくなった。


229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:08:38.19 ID:X4zgKMEo

・・・( ゚д゚ )



231 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:08:58.26 ID:GUZd2.A0
昼休み。
先生が教室に戻って来た。
先「今日の夜、前原の通夜がある。委員長と副委員長、その他出席希望者は職員室まで来い」
勿論俺も先生について行った。
男子はクラス委員長と副委員長と俺、女子は前原と特に仲が良かった3人が出席することになった。
夕方6時まで学校に残り、皆で通夜の会場に向かうという。
先生は前原のことをもう少しだけ詳しく話してくれた。
昨日、前原は朝から体調が悪く、風邪だと思って寝込んでいたが
夜中、容態が急変。すぐに病院に運ばれたが間も無く死亡。原因は不明とのこと。
こんなんで納得出来るはずが無かった。
現代医学で原因不明?
ありえないだろ。
事故死や白血病だったらまだマシだった。
事故なら加害者を恨める。
白血病とかならドラマみたいに、死ぬまでの間、思い出作りや覚悟が出来る。
原因不明の病死じゃどうしようも無い。
俺の中にはやるせなさだけが残った。

232 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:09:24.42 ID:GUZd2.A0
6時になった。
数人の先生と俺達で通夜会場へ。
誰も何も喋らない。
副委員長だけはケータイをずっといじっていた。
会場に到着。
当然の事ながら周りには知らない大人がたくさん。
前原の両親は見つからなかった。
先「暫く待ってろ」
先生がその場から離れた。
副「あーだりぃ。早く帰りてぇ。お前もそう思わね?」
副委員長が委員長に向かって不満を垂らし始めた。
委「そういう言い方するなよ」
副「良い子ぶっちゃって、やだねぇ」
久しぶりに人を殴りたいと思った。

233 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:10:56.41 ID:GUZd2.A0
通夜が一通り終わった。
手が震えて上手くお焼香出来なかった。
女子3人は読経の途中で泣き出した。
彼女たち以上に悲しいはずの俺はなぜか泣けなかった。
副「腹へったな。通夜って寿司とか出るんだっけ?」
こいつには軽く殺意が芽生えた。
そこに先生が戻って来た。
先「お前等はもう帰っていいぞ」
俺「これ以上いたら駄目なの?」
先「この後は親族だけでやるものだからな」
俺「前原の親に挨拶とか…」
先「今は忙しいに決まってるだろ。今度にしろ」
しょうがなく帰ることにした。
帰り道。
委員長が声を掛けてきた。
委「…前原も、お前が彼氏で幸せだったと思うよ」
下手糞な慰めだったけど、気持ちは十分に伝わった。

234 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:11:51.70 ID:GUZd2.A0
家に着いた。
母「遅かったね。居残り?」
俺「そんなかんじ。疲れたから風呂入って寝るわ」
母「ご飯は?」
俺「いらない」
母「じゃあラップで包んどくから」
俺「………」
これ以上何も喋りたくなかったので、黙ったまま風呂に向かった。

236 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:12:46.46 ID:GUZd2.A0
布団に入る。
俺は結構悪夢を見る頻度が多い。
そして夢の中の自分が、これは夢だ早く終わってくれと願い、目が覚める。
良くあるパターン。
今回もこれのような気がしてきた。
全部夢。
朝起きて学校に行ったら、いつものように前原が待っていて
俺に向かっておはようって笑い掛けてくれる。
きっとそう。
俺は目を瞑った。


237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:14:11.36 ID:5XleCJY0
・・・。


238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:21:49.88 ID:hiTaq6Mo
いるよ、みているよ……


239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:22:26.89 ID:X4zgKMEo
>>1は泣いているんだな・・・

( ;д; )


240 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:24:48.39 ID:GUZd2.A0
ごめん。もうちょっと待って。




242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:25:17.76 ID:LpZjQzgo
ゆっくりでいいよ。無理しないで


243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:26:32.03 ID:5XleCJY0
落合さんも泣いてるんだよな。

なんでだろうね。なんなんだろうね。


前原さん・・・あぁ、また波が・・・




246 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:30:52.14 ID:GUZd2.A0
気がつくと夜の1時。
これは現実、やっと目が覚めた。
ケータイを開く。
最新のメール。
「かぜひいたみたい」
どこからが夢なのか分からない。
確か…今日の朝、前原からこのメールをもらって、
待ちうけの日付と受信日が二日ずれてるのはバグだろうから気にしないことにして
学校から帰ってきた後、俺はいつものようにネットやってテレビ見て寝たんだよな。
前原は風邪で昼間中寝てただろうから、もしかして今頃は目が冴えて起きてるかも。
電話を掛けた。
発信から5分、一向に出る気配が無い。
やっぱ寝てるのか。
明日の朝、掛けなおそう。
そう言えばなんか腹へったな。
リビングへ。


247 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:31:33.17 ID:GUZd2.A0
一人分のマーボー豆腐と餃子がラップに包まれてた。
暖めて食べる。美味しかった。
食べ終わって気付いた。
誰の分だったんだろう?
もしかして親父がまだ帰ってきてないのかな?
だったら悪いことをした。
まあでも菓子パンも冷食もあるからいいだろう。
腹も膨れたことだし部屋に戻る。
制服が床に放置されてることに気付いた。
いつもはちゃんとハンガーに掛けているのに、どうしたんだろう?
持ち上げる。
ポケットから何か落ちた。
手に取り、開けてみる。
塩と紙とお茶が入ってた。
こんなものどこで貰った?
考えたくなかった。
でも、考えてしまった。
涙が溢れた。
現実逃避はここで終りにした。


248 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:32:48.02 ID:GUZd2.A0
やっと泣けた。
前原の死に対する、初めての涙。
もう前原はどこにもいない。
二度と前原に会えない。
楽しかった日々は戻ってこない。
浮かんでくる思い出。
初めて会った日のこと。
凄く可愛い娘が転校して来た。
一目惚れだったのかもしれない。
前原のことがやたらと気になった。
最初は全然心を開いてくれなくて、
手伝うって言っても拒否されたし
話し掛けても無視された。
会議室の前で前原に怒って
お互いに感情をぶつけ合って
少しだけ分かり合えた。
そこからだんだん仲良くなって
自分が前原を好きだってことに気付いて
そしたら前原も俺のこと好きで
だけど転校で離れ離れ。
でも3年間遠くにいても2人の気持ちは変わらなくて
再会して同じ高校に受かって
キスしてえっちして
これからはずっと一緒にいられるって思った。
幸せな日々が続いてく筈だった。
それなのに…。


249 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:33:35.91 ID:GUZd2.A0
「○○小から来ました。前原沙希です。よろしくお願いします」
「は?あんた何なの?関係無いでしょ!ほっといてよ!!」
「……逃げる時もちゃんとやってよ」
「あんたがつまんなくても私には関係ないから」
「マユから聞いたでしょ。私は男子なんかと話したくない」
「あはは」
「…うん。ありがとう」
「感謝の気持ちだよ。変な意味じゃないからね」
「だってぇ…ぐすっ……落合君が……」
「え、あ、ごめんねっ。嫌だった?」
「嘘ついちゃった。落合君の隣に座りたかったから」
「キスするの。そうしたら2人は結ばれるんだって」
「そっか。落合君、今も私のこと好きでいてくれてるんだ」
「聞いて、聞いて!また引っ越しするんだって!!」
「えへへ、びっくりした?」
「これから3年間はずっと一緒にいられるんだから」
「…でも、落合君ならいいよ」
「私、幸せだなぁ。嬉しすぎて死んじゃいそうだよっ」
何で、死んじゃったんだよ………。


250 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:34:11.72 ID:GUZd2.A0
朝になった。
行きたいわけじゃないけど、家にいてもやることがないから学校へ。
前原はいない。
誰も前原の名前を口に出さない。
3時間目、現代社会。
担当の先生は少し変。
いつも一人一人の名前をフルネームで呼んで出席を取ってる。
今日もそう。
前原の名前だけ呼ばれなかった。
昼休みは友達と喋った。
まあまあ楽しかった。
放課後、初めて友達と一緒に帰った。
明日からも一緒に帰る約束をした。


251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:36:25.60 ID:X4zgKMEo
おかしいな、目から汗が…


252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:38:15.20 ID:5XleCJY0

何で、死んじゃったんだよ………。


254 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:39:54.75 ID:GUZd2.A0
体育祭。
徒競走。
俺は8人中8位だった。
「オッチー、ビリじゃんかよ」
俺「あいつ等、体育祭ごときで本気出しすぎだろ」
「ま、特進がスポクラに勝てるわけねえよな」
前『残念。負けちゃったんだ。落合君が一番取るとこ見たかったな』
違うよ。前原がいなかったから手を抜いたんだ。


255 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:41:14.65 ID:GUZd2.A0
文化祭。
友達同士で何かを作り上げるのは素晴らしいことだと思う。
それなりに楽しかった。
「なあ、午後はどうする?」
俺「だるいから帰るわ」
「何でだよ?」
俺「係りの時間は終わったから良いだろ」
前『落合君、一緒に学園祭回ろうね』
でも、前原がいたらもっと楽しかった。
そう思ったらつまんなくなった。


259 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:45:48.62 ID:GUZd2.A0
2年に進級。
前『落合君はどっちにする?』
俺は理系かな。
前『そっか。じゃあ私も理系にしよっと』
そんな決め方でいいのかよ?
前『うん。同じ大学行こうね』
将来の夢とかないの?
前『落合君のお嫁さんっ』
俺も、お前と結婚したかった。
出席簿から前原の名前が消えた。


260 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:47:50.07 ID:GUZd2.A0
修学旅行、夜。
「オッチーって今彼女いないんだっけ?」
2年から同じクラスになった奴が、そんなことを聞いてきた。
「………」
「………」
1年の時からの友達の表情が曇ったように見えた。
せっかくの修学旅行、暗い気分にさせちゃ駄目だ。
俺「このクラスにろくな女居ないじゃん」
できる限り明るい声で。
「理系クラスだからしょうがねえよ」
俺「11組に凄い可愛い子居なかったっけ?」
そんな話を良く耳にした。
「真山さんのこと?」
俺「いや、名前知らないけど」
興味無い。
「杉原が振られた娘だろ」
「ああ、あの娘か。可愛いよな」
いい感じに盛り上がってきた。


261 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:48:31.92 ID:GUZd2.A0
「じゃあ、敢えてうちのクラスから一番可愛い娘を選ぶとしたら?」
「あ~、微妙」
「難しいな」
俺「いや、普通に全部無いだろ」
「オッチー、酷ぇな」
俺「だってそうだろ」
「でも、性格いい娘は多いぜ」
俺「たとえば誰よ?」
「岩田さんとか。そう言えばさっきメールもらったんだよね」
俺「どんなメールしてんの?」
「部屋でどんな話してるの?だって」
俺「お前等の悪口言い合ってるって送ってやれよ」
「んなことできるか」
「あ~、出会いが無い。やっぱ文系クラス選んどけば良かった」
「俺、普通科の女の子の番号持ってるぜ」
「マジで?」
「今から掛けよっかな………あ、もしもし、俺。井村」
「井村、俺にも代われ」
「面識無い人と話してどうすんだよ?」
「他の娘紹介してもらえるかもしれないだろ」
俺「つか、そろそろ寝ようぜ。もう1時過ぎてる」
「うん、うん。え、そうなの?」
「俺にも代われって」
俺「お前等うるせえよ。マジで黙れ」
「でも、それだと俺でも良くない?」
「頼むから代わってくれよ」
「…オッチー、諦めよう」
俺「………はぁ」
これはこれで結構楽しかったんだよな


262 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:49:38.31 ID:GUZd2.A0
翌日の朝。
俺「眠ぃ」
「オッチー起きるの遅ぇよ」
「早く朝飯食べに行こうぜ」
俺「誰のせいだと」
食堂的な場所へ向かう。
先「お前等、遅いぞ」
「あー、すいません」
「もう食べ始めて良いの?」
先「班員は揃ってるな。いいぞ」
朝食はバイキング形式。
和食派の人はご飯や味噌汁を、洋食派の人はパンやスクランブルエッグを取っている。
俺はジュースとゼリーを取り席へ戻ろうとした。
「オッチー、おはよ」
クラスの女子が話しかけてきた。1年の頃、前原と仲が良かった娘。
前『落合君、おはよ』
俺「おはよう。……いつもと顔が違うね」
「寝起きだからね。あんまり見ないで」
前『恥ずかしいからじっと見ないでよ』
大丈夫。前原は寝起きでも可愛いから。
「あれ?これだけしか食べないの?」
俺「俺、朝飯食べない派だから」
「ふぅん」
前『駄目だよ。ちゃんと食べないと』
分かった、食べるから。そんな心配そうな顔で見るなよ。
俺「やっぱ、もうちょっと食おっかな」
「そうした方がいいよ」
でも結局、他のものは食べなかった。


263 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:50:23.90 ID:GUZd2.A0
朝9時、出発の準備を終え、バスに。
30分で目的地に到着。
「海ーーー!!」
比較的ノリのいい奴等が騒ぎ出す。
先「入ったら、次の数学の試験から5点減点な」
「えー、数学関係無いじゃんかよ」
先「篠田、3点減点、と」
「すいません。許してください」


264 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:50:50.72 ID:GUZd2.A0
前『綺麗な海だね』
そうだね。
前『泳ぎたくなってきたなあ』
そう言えば、最後に前原の水着姿見たの、5年前だな。
前『見たいの?』
うん。
前『じゃあ今度一緒にプール行こっか』
でも、他の男に見せたくない。
前『誰も私のことなんか見ないよ』
そんだけ可愛いくせに良く言うよ。
前『落合君、私のこと可愛いって言い過ぎ』
だって可愛いじゃん。それに前原は自分が可愛いって分かってるでしょ?
前『そんなことないってば』
ホントかなぁ?
前『どうしてそういうこと言うの?』
たまには困ってる前原も見たいなって思ったから。
前『もう』
「オッチー、一人で先行きすぎだぞ!」
俺「あ、わりぃ」


265 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/02(水) 22:52:57.41 ID:GUZd2.A0
列に戻り、友達と話しながら海岸を歩く。
それから、床がガラス張りの小船に乗ったり、植物園を回ったり。
次の日は友達同士タクシーで自由行動。
最終日、半日掛けてお土産を買って、修学旅行終了。
そんなこんなで高校生活最大の行事は終わった。
前『楽しかったね』
今度は2人で旅行したいな。
前『私、北海道行きたい』
何で?
前『まだ行ったこと無いから』
じゃあ受験が終わったら行こっか。
前『うん』
…もっと、色んなところに遊びに行きたかったなぁ。
彼女とDL行くのとか、密かな夢だったんだぜ。
………前原。
あの日撮った写真を見る。
俺と前原が2人きりで写ってるのはこの一枚だけ。俺の宝物。
ケータイの小さな画面の中で、俺達は嬉しそうに笑ってた。






266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:56:17.20 ID:X4zgKMEo
>>265
乙!!!!!!!!!!111


うわああん・゚・(ノД`;)・゚・


267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 22:59:17.84 ID:5XleCJY0
・・・乙。

もう何も言わないよ。ただ泣かせてくれ・・・。



268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 23:03:20.59 ID:TkuW/MAO

ありがとう、最後まで読む価値のある文章だったよ。


269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/02(水) 23:10:19.92 ID:X4zgKMEo
こんなこと言うのもあれだが文章上手いよ
ありがとう読ませてくれて

切な杉たけど良かったお・・・

乙&ありがとう




277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/03(木) 00:11:44.02 ID:Z7WGvEAO
喪失の物語は終わった。もし、再生の物語があるのなら読んでみたい。




287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/03(木) 02:21:32.74 ID:Mp7Blpwo
意外に死って身近なんだよな……自分だけは、とか思ってると後で後悔する……
自分で把握してるだけで知人親戚知り合いでなくなってるの結構あったぜ……



288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/03(木) 08:15:28.03 ID:.EiZ8.AO
つい先日、大切な友達を失った。自分でも好きだったのか未だに分からないが「付き合おっか?」って話は何度か出てた。


オッチーはどうやって乗り越えた?たとえ乗り越えてなくとも、心から笑えるようになれるもの?


いま辛くて苦しくて堪らない時期なんだ。教えてくれ頼む。ほんの少しの希望が欲しい。





291 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/03(木) 20:10:14.63 ID:4k2tiWw0
丁寧語がめんどくさくなって来たんで、タメ口で失礼します。

>>288
俺はまだ乗り超えられてないし、この先も乗り越える自信は無い。
というかそもそも乗り越えるってのはどういうことなんだろうね?
忘れること?思い出しても悲しくならないこと?
俺は一生忘れるつもりはしないし、前原のこと考えるたびに悲しくなるよ。

ただ、今は当時よりもだいぶマシにはなった。
普段生活してて楽しいって思えるし、
友達や彼女と喋ったりしてる時は心から笑えてると思う。

良いことなのか悪いことなのかは分からないけど
時間が経てば否が応でも悲しみは薄れていく。
人の心ってそういうふうにできてるんじゃないかな。
悲しみがいつまでも消えなかったら、どんどん溜まってって
その内いっぱいになって溢れちゃうだろ。
そうならないように、辛い記憶はある程度勝手に風化していく気がするんだ。

とりあえず確実に言えることは、あなたが悲しみに暮れて塞ぎこんでようが
周りの環境は動いてく。決して止まってくれない。
失った物を嘆いたって絶対に返ってこない。

だったら前に進もうよ。
俺達は生きてるんだから、何だってできる。
それなら、精一杯笑って生きて行くべきだと思う。
今が一番辛い時期だろうけど、頑張って。
あなたを支えてくれる人がきっと近くに居るはずだから。



294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/03(木) 20:31:39.32 ID:PRo5P2AO
本日の予定は?


295 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/03(木) 20:50:08.66 ID:4k2tiWw0
>>294
どうしよっか?
一応まだ続きはあるんだけど。
でも‘完’ってやっちゃったからなあ。



296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/03(木) 20:51:59.31 ID:Z7WGvEAO
続編希望者は結構いるんだぜ


297 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/03(木) 20:59:50.72 ID:4k2tiWw0
>>296
じゃあやろっか。
俺と前原の話は前回で終りだから
続編というよりも番外編って感じで。
今書いてる途中だからまだ少し時間掛かるけど
遅くても22時半までには始めるようにするね。



298 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/03(木) 22:28:20.57 ID:4k2tiWw0
書き終わらねえ。
何かだんだんラノベっぽくなってきてるし。
まあ、思い出は美化されるものだよな。




299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/03(木) 22:31:10.36 ID:Z7WGvEAO
最初からそんな感じだろwwwwww良く言えばジュブナイル



300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/03(木) 22:31:57.61 ID:nAhhbIAO
やったー続編だーwktk


301 : ◆tsGpSwX8mo  :2008/04/03(木) 22:46:40.47 ID:4k2tiWw0
>>299
マジで?
なるべくラノベ臭消そうと頑張ってたのに…。

>>300
続編じゃなくて番外編だってば。
話は繋がってるけどさ。




番外編へつづく


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