法相は死刑執行のサインをする大変重要な役職だが、柳田氏の発言からは職責の重さが全く感じられないし、国会とは何かという意識すらない。小学校の学級委員の方がまだ責任感がある。首相は、失言が明らかになった時点で即刻更迭すべきだったが、今回も決断しないまま追い込まれた。こんな人物を法相に据える民主党は政権政党に値しない。
ユーモアセンスのない人が自虐ギャグを言い、外してしまった。おきゅうを据えるのはいいが、辞める必要があるのか。柳田氏は素人で心もとないとは思ったが、検察改革は「素人だからこそできる」という面も大きかったはず。法の専門家が大臣になれば変革を望まない検事は大喜びするだろう。
国会を、軽視どころかばかにした発言で更迭は当然だ。菅首相は即座にやめさせるべきだった。そもそも法務行政に暗い柳田氏に、いかにも役人が使いそうな「法と証拠に基づいて」などというフレーズを吹き込んだのは、法務官僚ではないのか。柳田氏は誰に知恵を付けられたのかを明らかにし、その人物の責任も問うべきだ。
毎日新聞 2010年11月22日 東京夕刊