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群馬・桐生の小6女児自殺:あす1カ月 かき消されたSOS いじめ過小評価か

 ◇学級崩壊、対応追われ

 群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡り、明子さんがいた1組の学級の複数の児童が他クラスの子に対しても、ののしりや暴言を繰り返していたことが学校関係者への取材で分かった。市教委の調査で1組は学級崩壊に陥っていたことが判明しているが、その影響は他クラスや下級生にも及んでいた。学校はその対応に追われ、明子さんのいじめへのSOSが過小評価された可能性がある。明子さんの自殺から23日で1カ月となる。【塩田彩、塚本英夫、喜屋武真之介、角田直哉】

 1組以外の複数の同級・下級生が学校アンケートに答えている。

 「1組の子に『ウザイ』などの言葉を浴びせられた」「汚い言葉を言われ怖かった」

 学校関係者によると、6年生は2クラスあるが、1組以外の「少なくない児童」からも「暴言を浴びた」などの訴えが寄せられたという。1組39人のうち、男女5人前後が明子さんのいじめにかかわっていたとされ、中には担任に反抗し学級崩壊の中心になっていた子もいた。

 市教委の調査結果によると、1組はクラス替え直後の4月から「落ちつきがなく、姿勢が悪い児童が目立つ」状態だった。

 担任の40代の女性教諭は7月、生徒指導主任に訴えている。「一部児童が暴言を吐くなど態度の悪い場面が見られる」

 職員会議でも取り上げられ、岸洋一校長は複数教諭による「チームティーチング」を取り入れた。だが、状況はよくならず夏休み明けの8月下旬、学級崩壊といえる状況になっていた。

 「女子に反抗的な態度や担任の発言に対する揚げ足とりが見られ、学級全体のまとまりが欠ける」と学校側は分析し「9月には教室が非常に汚く、乱れていることが多くなった」という。

 「授業にならない」

 複数の子が5年時の担任に相談もしている。2組のある子は「担任もなめられている感じ。『授業がやばい』という話を1組の友達に聞いた」と話す。

 学級崩壊が進むなかで、明子さんは暴言などのいじめに加え、9月下旬の席替えをきっかけに給食で孤立していった。10月21日の校外学習日には担任ではない先生に大声で泣きながら「私は給食を1人で食べている」と訴えて、その2日後、自宅で首つり自殺した。

 自殺後、市教委内部では一時、6年生2クラスを3クラスに分ける案が浮上した。しかし「卒業を控える時期に混乱を招きかねない」などとして立ち消えになった。

 担任は今月10日から病気を理由に欠勤が続き、市教委は17日付で担任を交代した。

毎日新聞 2010年11月22日 東京朝刊

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