中国人船長釈放:過去に「超法規的措置」で議論も

2010年9月24日 21時24分 更新:9月25日 0時45分

 尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船と衝突した中国漁船船長(41)の釈放決定について、柳田稔法相は「日中関係の重要性」を理由の一つに挙げ、那覇地検は「国民への影響や今後の日中関係を考慮した」と述べた。国家の主権か外交的配慮かの選択を迫られた今回の事件。過去に「超法規的措置」と指摘された事案でも、判断の妥当性が議論になった。

 ◇75年大使館占拠 77年ハイジャック

 75年8月にマレーシア・クアラルンプールの米国とスウェーデンの大使館が日本赤軍に占拠された事件では、政府は国内で拘置中の赤軍5人を釈放した。また、パリ発東京行き日航機(乗員乗客156人)が77年9月、赤軍にハイジャックされダッカ空港に強制着陸した事件でも超法規的措置が取られた。犯人グループは人質との交換条件として、国内で拘置中の赤軍メンバー9人の釈放と身代金600万ドル(当時で約16億円)を要求した。

 福田赳夫首相(当時)は「人命は地球より重い」と要求に応じて身代金全額を支払い、6人(3人は本人が拒否)を釈放したが、ハイジャック事件でテロリストの要求を退けた旧西ドイツ政府の強硬策と比較され、「弱腰」との批判も浴びた。

 01年5月に北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男正男(ジョンナム)氏とみられる男が偽造旅券で入国しようとして身柄拘束された事件で、政府は男性の身元を公式確認しないまま強制退去させ、早期解決を図った。

 異例の措置に対し、超党派の国会議員有志は「主権国家の役割を放棄した」と反発。北朝鮮による拉致被害者の家族らで作る団体も政府の対応に抗議声明を出した。

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