この作品についての注意書き
・錬金術等について、作者の独自解釈が含まれる可能性があります。
・時系列をイベントにあわせて変更すると思います。(初日のトトリの冒険が日帰り等)
・オリ主ものですが、現代知識や原作知識はありません。
・一部キャラが空気になるかもです。
以上が大丈夫な方は下へお進みください。
大きな釜が2つ置かれた部屋、他にも色々な薬品や器具が置かれていた。一つの釜の前には妹が立ち、それをかき回している。ちなみに俺は、今練金し終わった物をカゴにしまっていた。
この部屋はとある事件のあとに増設された錬金部屋なんだが、ずっと昔からあるような気がする。まだ作られて1年もたっていないのにそんなことを思うほど、俺はよくこの部屋に居るわけだ。
そんなとき隣から錬金術失敗の爆発音がして、部屋が派手にちらかった。 昨日もやったばかりなのにと思い、思わず嘆息してしまう。
「昨日俺が失敗したばかりだから姉さん余計に怒りそうだな……」
「うぅ、どこで間違えたのかなぁ…」
そう話していると扉が開く音がした。姉さんがきたようである。 その表情は心配の色が濃く出ていた。
「二人とも大丈夫!?」
「あ、おねえちゃん」
「ふぅ、今度はトトリちゃんなのね。ケガはしてない?」
「うん、わたしは大丈夫」
「俺も平気」
「そう、よかった……」
そう言うと姉さんの表情が心配から怒りに変わる。
「もう、一体何回爆発させたら気が済むの!?」
「別に爆発させたくて爆発させたわけじゃ… それにわたしは悪くないもん。ちゃんと教わった通りにやったし」
確かにその通りなんだよな。トトリ曰わくあれがやりやすいらしいから、こっちもとやかく言えないし。
あれで成功するのが未だに理解できないが……
「いっつもそんなこと言って。誰が後片付けすると思ってるの」
「おにいちゃん」
「……その通りなんだが普通そう言うか? 」
「クリアもトトリちゃんに甘すぎるのよ。二人合わせたら毎日のように爆発させるし……」
こっちにも矛先がきた!
ここの所お互い爆発物が多くて、しょっちゅう爆発させてたのは悪いと思ってるけど……
「今日という今日は怒ったんだから! 二人ともそこに正座しなさい!」
「あ、わたし用事思い出した。また後でね!」
「ちょま、俺を置いて逃げるな!」
言うとすぐに部屋を出て行くトトリ。普段の行動はのんびりなのに、いざというときはすばやいんだよな。
おかげで俺1人が矢面に立ちそうではあるが。まぁ丁度材料は切れてたし、取りに行ってくれてると思えばいいか……
「錬金術覚えてからすっかりおてんばになったんだから。まぁ、おかげで元気になったことは嬉しいんだけどね」
「そうだね。その錬金術も俺なんかよりうまくやれてるし」
「そうなの? 爆発の回数はトトリちゃんのほうが少し多いように思えるけど」
「やってることが違うから。俺がトトリと同じ事やったらもっと失敗してるよ」
そういいつつ掃除の準備を始める。今回の爆発は少し強力だったらしく、掃除には時間がかかりそうだった。
まぁ材料が切れてたから、丁度いいといえば丁度いいか。
「それじゃ、クリアだけでもお説教ね」
「……見逃してはくれない?」
「だーめ。終わったら手伝ってあげるからこっちきなさい」
そういわれて連れて行かれる俺であった。
ちなみに解放されたのはだいぶ後である。
解放されてから掃除を終えるとすでに夕方なっていた。
姉さんは途中から夕食の支度に出ていて今はおれ1人しかいない。
夕食が出来るまで暇だし、錬金術の復習でもしようと思っていると声がかかった。
「お疲れ様、クリア」
「父さんいたんだ」
「今入ってきたんだけどね」
……扉が開いた気配しなかったんだけど。相変わらず気配のない人である。
ちなみに、クリアと呼ばれている俺の名前だが正確にはクリューリア・ヘルモルト。呼びにくいから皆からはクリアと呼ばれている。
「それで、どうかした?」
「ツェツィから伝言。掃除して埃がついてるだろうから、ご飯の前にお風呂に入っときなさいだって」
「りょーかい」
そう言って風呂に向かい脱衣所の前の鏡と向き合う。
いつ見ても思うが、男らしくない顔つきだと思う。髪はトトリとかと同じ黒髪、瞳の色は父さんと同じ薄い茶色。ジーノなんかも顔つきでいえば女っぽいんだが、あいつの場合は体つきがしっかりしてるしなあ。
まぁ、今はそんなこと気にしている場合でもない。すぐに夕食だろうから急いで風呂を済ませてくるとしますか。
トトリは夕食の時間に帰ってこなかった。準備もせずに出る形だったから夕食はうちで食べると思ったんだが。
姉さんもトトリの帰りを待って遅くまで起きてたんだが、今はすでに寝ている。
俺は錬金術で遅くまで起きていることも多く、まだ起きて本を読んでいる。 遅くに帰ってきてだれも起きてないと寂しいだろうし、錬金術の復習をしておきたかったからだ。
ちなみに、本を読んでいるといっても正確にはノートのようなものだったりする。ロロナ先生からもらった参考書もあるにはあるんだが、表現があいまいだったり長ったらしかったりと俺にはわかりにくかった。
なのでロロナ先生やトトリにアドバイスをもらいながら、自分なりに書き直してみたわけだ。書き終わったのをロロナ先生に見せたら、元のより図解が多かったりで分かりやすいってほめられたし。
そうしていると、そっと扉が開く音がしたのでそっちを向く。
「ただいまー…」
「おかえり。遅かったな」
「あ、おにいちゃんまだ起きてたんだ」
「誰かが逃げたおかげで錬金術の復習する時間がなかったからな」
「それは……ごめんなさい」
「まぁいいんだけどな。いい素材は取れたか?」
「うん、ばっちり! それでおねえちゃんはまだ怒ってる?」
「少し怒ってたかな。せっかく作った夕飯が冷めちゃうって」
俺がそういうと。机に並べてある料理に目を向けるトトリ。
もう冷めてるはずなのに、まだまだ美味しそうに見えるのはさすが姉さんだ。
「あう、また怒らせちゃった…… あ、今日のご飯おさかなのパイだったんだ」
「食べるだろ? どうする、温めるか?」
「あ、お願い。……明日謝っとく」
「そうしとけ。それじゃ、温めたら俺は寝るけどトトリもすぐ休むんだぞ」
「はーい」
料理を温めアトリエの本棚に読んでいたものを戻すと、寝室に向かい眠りについた。
姉さんとかに多少の迷惑もかけつつも、俺はこんな毎日を楽しく過ごしている。