私設コミックマーケット対策委員会

 私は、ビッグサイトでコミックマーケット(コミケ)が開催されるようになってから、その全ての開催日に参加しています。 言わば、ビッグサイトコミケ皆勤賞。 凄いのかダメなのかよく分らない肩書きですが、さすがにある程度はコミケに慣れてきたつもりです。 そこでこのページでは主に一般参加者向けに、私なりのコミケの歩き方を記録していきます。 なお、このページは今後毎年2回、イベント後に更新していく予定です。

目次

第一章 - 東西どちらに並ぶ? 入場待機列の選び方

 コミケに一般参加するにあたり、東館と西館のどちらの待機列に並ぶべきか?は誰もが気にするところでしょう。
 この正解は時期とともに変化しており、必ずしもこれだというものはありません。 コミケ72〜77での状況では、可能ならば東館の待機列に並ぶのが適切でした。 しかし、2010年8月のコミケ78の2・3日目では待機列の作り方がこれまでと変わっていました。これが永続的な変化であるなら、 今後はどちらの待機列に並ぶのが適切かは分らないというのが正直なところです。

コミケ入場待ち時間サンプル

 これは、コミケ72〜78の、私と友人の会場到着時刻から入場時刻までを分単位で記録したサンプルをグラフにしたものです。 ちなみに、1ピクセルが1分となっています。コミケ71までのデータは、状況の変化により現在は無意味なため載せていません。

コミケ72〜77について

 コミケ72〜77において東か西かを考える際に、このサンプルで特筆すべき事例は二つあります。
 一つ目は、コミケ74の二日目です。この時は、私と友人が8:29に国際展示場駅の改札を出て、それぞれが東と西に分かれて並びました。 そして、東での入場時間は10:31、西では11:00と大きな差ができました。
 そして二つ目は、コミケ77の二日目です。この時は、私が8:12に国際展示場駅の改札を出ると、既に東館の待機列は封鎖済みで 西館の待機列に並ぶしかなく、結局入場は10:33となりました。 しかし、私の友人が9:20に国際展示場の改札を出た時には東館の待機列は開放されていて、 こちらに並んだ友人は10:15に入場できたのです。何ということでしょう。  (ちなみに、「コミケ77 2日目 2ちゃんねる実況 まとめ:【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´)」によると、 この日は東館の待機列は、6:10頃には封鎖されていたようです。 遅れてきた友人がこの時東待機列に行けた理由は不明です。)

 通常の連絡通路を通る場合、東館〜西館の行き来には最短で7分30秒程度かかります。上のケース以外にもいくつか同様の事例はあり、 これらから考えるに、たとえ最初に行きたいのが西館であるとしても、可能ならば東館の待機列に並ぶのが良いということになるでしょう。
 とは言え、東館の待機スペースは西館のそれよりもはるかに狭く、上の例のように早々に閉鎖されてしまうことも多々あります。 ですので、あくまでも東が選択可能であるならば、の話ですが(追記1)。

 なお、この待機について覚えておくべきことを他に簡単に挙げておきます。

 さて、上で触れた遅滞入場ですが、西館の待機列でしばしば行われる特殊な入場の仕方に対して、私が勝手に付けた呼び名です。 やり方は以下の二種類で、これらが併用されることもあります。

 初日と二日目の西館では、しばしばこれによる入場の遅滞が行われ、一般参加者の入場が大幅に遅くなります。上のグラフを見ると、 時々突出して西での入場が遅くなっているのが分りますが、これらはいずれもこの遅滞入場によるものです。
 どうしてこのような入場方法がとられるのかは分りませんが、正直なところ私には一般参加者への嫌がらせとすら思えてしまいます。 いずれにせよ、これに当たると売り切れの早いサークルでの本等の購入は一気に難しくなります(追記2)。

 なお、若干批判的なことも書きましたが、私はコミケのスタッフの方々は全体的には大変よく仕事をされていると思っています。 そもそも、ビッグサイトでコミケが開かれるようになって数回は、三日目には6時頃に会場に到着して入場は大体10:50前後で、 それより会場到着が1時間遅くなるごとに入場が10〜15分遅れる感じでした (ただ、これは東待機列の話で、西待機列はもっと状況が良かったようです。また、回によってもばらつきがあります)。 それを考えれば、三日目に8時半に会場に到着しても大体10時半までに入場できる現在は夢のような環境です。
 スタッフの方々の様々なご尽力に、深く感謝します。

コミケ78以降についての展望

 さて、上記コミケ72〜77についての部分が、この記事を初公開したコミケ77終了時に私が書いた話でした。

 しかし最初に述べたように、コミケ78の2・3日目では待機列の作り方がこれまでとは違いました。 カタログに『北駐車場が閉鎖された代わりに東駐車場が拡張されたことにより、一般参加者待機列を中心に大きな変更があります』とあるように、 東館待機列のスペースが広くなり、より多くの人々を収容できるようになったようです。 これによって、これまでのような「人が一杯になったから東待機列はもう締め切り」という事態は発生しにくくなり、 逆に言えば「並べる人の数が少ないから並べれば早く入場できる」という東館待機列の特徴が薄まったと思われます。
 事実、茶畑相談役様の『コミックマーケット78 3日目反省会レポート』には、こうあります。

東駐車場が4倍の広さになった。(略)今までの3倍以上の人が東へ行き、西側の行列が短くなった。

コミックマーケット78 3日目反省会レポート 橋本充電中」より

 この方式が今後も続くとは現状では断言できませんが、そうだとすれば上のグラフのC72〜77の部分はもうサンプルとして無意味だと いうことになるでしょう。その点は、今後のコミケで見極めていきたいと思います (ちなみにコミケ78でも初日はこれまで通りの待機スペースだったようで、この違いの理由は不明です)。

 なお、念のためここで書いておきますと、徹夜での行列は絶対に駄目です。きちんと4:30以降に来場しましょう。 あともう一つ言わせて頂くなら、同様にフライング行列も絶対に駄目です(参考:『フライング- コミケ同人用語の基礎知識』)。 私はこれらの行為を行う人々がありとあらゆる苦しい病気にかかってみじめに衰弱し、コミケに参加できなくなることを祈っています。

追記1

 この部分については、元コミケスタッフの太田たこす様より『コミケ入場列、「東が良い」と言えない理由-今日の言わせれ』というご意見を頂きました。 ただ私には正直なところ、氏が指摘されるような事態が発生する可能性がどれだけあるのか疑問に思えます。(→コミケ72〜77についてに戻る)

追記2

この部分についても、太田様の上記記事でご意見を頂きました。要約すると、

……とのことです。氏の記事のコメント欄にも書かせて頂きましたが、1については遅滞入場が実施されているのを私が見た時に限って 入場にかかる時間がほぼ2倍になっている以上、容易には納得できない説明です。
 2については、確かにそういうことはあり得ると私も思います。 ただ、そうだとしても「なぜ通常の入場速度か、その半分の入場速度かの二択しかないのか? 混雑状況に合わせて入場速度を調整しているのなら、 それらの間の入場速度もあり得るのではないか?」といった疑問はあります。(→コミケ72〜77についてに戻る)

第二章 - サークルの効率的な回り方

 コミケには色々な楽しみ方があります。お目当てのサークル、あるいはジャンルのみを回ってさっさと帰るのも一つの考え方でしょう。 しかし、コミケには無数の面白い作品があるわけで、そのような回り方ではそれらの多くを見逃してしまう可能性があるのもまた事実です。 あるいは、単純に回りたいサークル、ジャンルが多いという方もおられるでしょう。 そういう方にとっては、いかに効率的にサークルを回るかが大変重要になってきます。
 ここでは、そのような方のために、私が考える効率的なサークルの回り方を紹介したいと思います。

地図に時間を取られない(1)

 かつて、「雀聖」色川武大氏(少年マガジンの麻雀漫画「哲也」のモデル)は、こう述べられました。 「麻雀に強くなりたかったら、まず盲牌を覚えることだ」と。 つまり、上手く麻雀をするには常に視野を広く持って卓上を観察しなければならない、そのためには自分のツモなど見ている暇はない、というわけです。 これはコミケのサークル回りにもそのまま言えることだと私は考えます。つまり、こうです。

「サークルを回りたかったら、まず地図を覚えることだ」

 無論、完璧に覚えるのは現実的ではないでしょう。しかし、地図を大まかにでも覚えるだけでも、サークル回りは大幅に効率化できます。 たとえば、こんな感じです。「東館の壁はAとシ、島はそれぞれB〜サとス〜ロ。ホールの仕切りがMN、Zア、ネノ、マミ。通常の島のスペースは60まで、 仕切り部分の島は48まで」……たったこれだけのことを覚えるだけでも、全然違うわけです。

 行くべきサークルやジャンルの場所を全て覚えるのは、難しいと思います(ちなみに私がチェックしておくサークルの数は、一日30〜150程です)。 それでも、大まかな地図が頭に入っていれば例えば、「まず東5から入ってヒ58b、ト46a、シ10bの順で回って……」とあらかじめ決め、記憶しておくだけで かなり効率的に移動することができるのです。

地図に時間を取られない(2)

 サークルで本等を買う時、その都度サークルをチェックした地図を鞄にしまい、買い物が終わると取り出してまた次のサークルに向かう…… という人をよく見かけます。 しかし、これも非効率的と言えます。何故なら、そんなことをする必要はないからです。

 イベントの前に、サークルをチェックした地図に穴をあけ、紐を通して首にかけられるようにしておきます。 これで、一々地図を鞄にしまったり取り出したりする必要はありません。「そんなの恥ずかしいよ」という方は、 この紐を手首に巻いてぶら下げておけば問題ないでしょう。
 なお、単に紐を通すだけだと地図が破れやすくなってしまうので、セロテープで補強しておきましょう。

 また、さらに効率的にするためには、手の平に「ヒ58b→ト46a→シ10b……」など、スペース番号を書いてしまうのも有効です。 これには上記(1)で述べたある程度の地図の暗記が必要となりますが、できるなら地図そのものを見るよりも更に効率化になります。

財布は使わない

 各サークルで同人誌を買う時、多くの方が毎回 「サークルの方に購入を告げながら財布を取り出す→財布から代金を取り出す→代金を渡す→(あれば)お釣りを受け取って財布に戻す→財布をしまう」という 過程を繰り返されています。これもまた、時間のロスであると考えます。

 私が同人誌を買う時の過程はこうです。「サークルの方に購入を告げる(この時点で手には丁度の代金が握られている)→代金を渡す」これだけです。 やり方は簡単なことで、要するに右ポケットに100円玉を、左ポケットに500円玉を大量に入れておいて、 購入を告げながら丁度の金額を握りこむだけです。状況によっては、ウエストポーチ等を使用するのもよいでしょう。
 行列を観察していると、一人が(立ち読みの時間を除いて)購入に大体10〜15秒の時間をかけています。 これは大半が財布を使っているための時間であり、私のように財布を使わなければ購入は5秒以内にすみます。
 時たま、10円単位の本や、数千円の本等を買う時にだけ財布は出せばよいのです。

 ちなみにこの技術(と言う程のものでもありませんが)は、長い列に並ばれる方に特にお勧めしたいと思います。 何故なら、例えば後ろに100人が並んでいる状態で自分の買い物を10秒短縮すれば、それは合計では1010秒、つまり約17分の効率化になるからです。 私は滅多に長い列には並ばないのですが、それでもたまに並んだ時に財布の出し入れに手間取っている方を見ると、 準備しておけばいいのに……と思います。

 無論、これには事前に相当量の100円玉、500円玉を用意しておく必要があります。私はいつも事前に各50枚ずつを用意しておきますが、 この必要数は人によって差があるでしょう。

 最後に。効率化効率化と繰り返してきましたが、それは決してサークルの方や他の一般参加者をぞんざいに扱うということではありません。 常に人との接し方は常に礼儀正しく、失礼のないようにしましょう。また、走ったり人を押しのけたりも当然駄目です。 あくまでもルールとマナーを守って効率化を行いましょう。

第三章 - サークルチェックの仕方

 コミケには面白い同人誌を出しているサークルが数多くあります。それらをできる限り漏らさずに回るために、 事前のサークルチェックは万全にしておきたいところです。ということで今回は、私の考えるサークルチェックの方法をご紹介します。

チェックリストの作成

 まず、しなければならないのがチェックリストの作成です。 無論、興味のあるサークルがごく僅かしかない場合にはわざわざリストを作る必要はありません。 しかし、ある程度興味のあるサークルができてくれば、それらをリストアップし、 サークル名、作家名、サイトのURLなどを一覧にまとめておくべきでしょう。 そうでないと、コミケ終了後に「あれ、そう言えばあのサークルは今回は参加していたのかな……?」ということになりかねません。

 チェックリストの作成は、基本的には難しいことではありません。 これまでに同人誌を購入し、これからも買いたいと思ったサークルや、 ウェブサイトなどを見ていて「ここの同人誌は面白そうだ」等と感じたサークルをチェックリストに加えていきます。
 しかし、実はもう一段階、あまり実行されていないと思われる「チェックリスト作成」があります。 それは、コミケ会場でのチェックリスト作成です。これについては後述します。

コミケカタログでのチェック

 さて、コミケカタログが発売されれば、いよいよ本番も間近。これまでに作成しておいたチェックリストを基に、 どのサークルが何日にどこのスペースで出ているのかを一つ一つ確認していきます。
 ここでまず考えなければならないのは、「コミケカタログは冊子版とCD-ROM版のどちらがよいのか?」という問題です。 私が使ってみた限り、大まかに言って両者には以下のような利点・欠点があります。

コミケカタログの冊子版とCD-ROM版の利点・欠点
冊子版 CD-ROM版
携帯性 いつでも自由に見られる。 ◎〜△ パソコンがないと見られない。ただし、普段からノートパソコンを持ち歩いている人にとっては逆に携帯性が高いとも言える。
検索性 × 目当てのサークルを、開催日別に分かれそれぞれサークル名のみで50音順に並んだ目次から探す必要あり。作家名しか分らないような場合探せない。落選したサークルも分らない。 全日程から一括での検索機能あり。サークル名からだけでなく作家名でも検索可能。落選したサークルも検索可能。
視認性 非常に見やすく、カットの魅力的なサークルがすぐに分かる。 × 画像がつぶれてサークルカットが見難い。魅力的なサークルカットを見落としやすい。
ウェブ対応 × 興味深いサークルカットがあった場合、そのサークルのウェブサイトを調べるにはサークル名を一文字一文字手入力し、検索してみるしかない。サークル名がありふれた言葉の場合、検索も不可能。 サークルのウェブサイトのURLのデータがある場合が多く、興味深いサークルのサイトを直ちにチェック可能。URLのデータがないサークルでも、サークル名や作家名をデータからコピー&ペーストできるため、検索しやすい。

 総合的に言って、CD-ROM版の方が使いやすいと私は感じます。 ただしCD-ROM版の視認性の低さはやはり大きな問題で、ここはどうしても冊子版に劣ります。 実際にやってみたのですが、CD-ROM版で全てのサークルカットを一つ一つチェックして「これで万全だ」と思っていても、 冊子版で再度サークルカットをチェックしていくと、「このサークルは面白そうだ、あぁここも面白そうだ」という具合に ボロボロとチェック漏れのサークルがあることに気付きます。
 この問題があまりにも大きいため、冊子版とCD-ROM版のどちらを選ぶかは結局各自の好みによる、ということになるかと思います。 言ってしまえば、「別にわざわざ全てのサークルカットを一つ一つチェックしたりはしないよ」という方にはCD-ROM版で問題ないわけです。

 ただ私は、コミケに一般参加する以上は是非とも全てのサークルカットをチェックした方が良い、と考えています。 既に知っているサークルをチェックするだけでは、多くの面白い同人誌を買い逃してしまいます。 無論、現地でサークルスペースをしらみつぶしに回ることも重要ですが、魅力的な同人誌を出しそうなサークルというのは、 サークルカットである程度は分るものです(文章・音楽・ゲーム系サークルなどは難しいですが)。 ですのでより多くの魅力的な同人誌を買えるよう、たとえ興味のないジャンルでもサークルカットは事前に一通り目を通しておいた方が良いのではないでしょうか。

 さて、冊子版にせよCD-ROM版にせよコミケカタログを購入したら、サークルのチェックをしていくことになります。 これには、三つの段階があります。

 1……まず、チェックリストに入れたサークルをカタログから探し、印をつけます。これは上の表でも述べたように、CD-ROM版の方が簡単です。

 2……次に、カタログに掲載された全てのサークルカットをチェックし、1でチェックしたもの以外に面白そうなサークルがあったらそれにも印をします。 これは上の表でも述べたように、冊子版の方が確実にできます。いずれにせよこれにはそれなりに時間が掛かりますので、早めに行っておきましょう。

 3……最後に、1・2で印をしたサークルの新刊情報等をウェブで調べ、本当にそのサークルに行くべきか、 行くべきならどの程度の優先順位をつけるべきか、を決定します。 これは上の表でも述べたように、CD-ROM版の方が簡単です。

コミケ会場でのチェックリスト作成

 さて、カタログも全てチェックし、ウェブでのチェックもすれば後はコミケ会場で同人誌を買いまくりましょう。 ……しかし、同人誌の購入と並行してしなければならないことがあります。それが、チェックリストの作成の項でも触れた、 チェックリスト作成の最終段階、コミケ会場でのチェックリスト作成です。

 サークルカットやウェブサイト等で興味を持ってスペースに行ってみたけど結局そこでは何も買わなかった、ということは多々あるでしょう。 この時、何も考えずに「じゃあ次のサークル!」となってしまっている人が多いのではないでしょうか。 しかし、それは片手落ちというものです。
 同人誌を買わなかったという状況には、以下のようなものが考えられます。

 これらを同列に扱うのは適切ではありません。何も買わなかった場合でも分かるだけの情報は記録しておき、 次のコミケに活用していきましょう。例えば「完売していた」「見本誌は面白かったので次は是非欲しい」 「11時半頃までなら買えたらしい」「好みではなかったので、次からはチェックしなくてよい」「売り子さんが私に一目惚れしていた」等、 メモしておくのです。つまり、コミケ開催中の時点でチェックリストを更新し、次のコミケへの準備を始めておくわけです。
 これにより次回からは売り切れの早いサークルを優先的に回ったりできますし、 逆に内容が好みではないサークルを繰り返しチェックしてしまったりすることがなくなるわけです。

 ちなみにどうでもいいことですが、コミケには惚れっぽい人が多くて困ります。

 ……ということで、今回はここまでです。このページは次回は、2010年の冬コミ後に更新したいと思います。宜しければまたお読み下さい。

公開:2010年1月5日 更新:2010年8月21日

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