ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 宮崎 > 記事です。

宮崎

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

支局長からの手紙:始まった裁判 /宮崎

 妻と長男、義母の3人を殺害したとして殺人罪などに問われた奥本章寛被告(22)の裁判員裁判が宮崎地裁で始まった。被告人質問を傍聴したが、弁護人の質問に答える話し方や態度はどこにでもいる普通の若者に思えた。何が彼に起きたのか。

 検察側の冒頭陳述によると、被告が長男誕生直前に購入した高級車のローンや出産・育児費用などで、一家の生活は困窮した。パチンコなどで遊べない不満の一方、義母から生活上の注意を受け、うっ憤と憎悪を募らせた。深夜に帰宅し頭をたたかれ、義母の殺害を決意。自由気ままな生活を手に入れるため、妻と長男の殺害も決めた。

 陳述内容では、場当たり的な行動と冷静な偽装工作の両方が目に付く。

 例えば、事件当日。妻たちが寝静まるのを待って機会をうかがううち、眠気を抑えきれず眠り込んだ。目が覚めた時、仕事の時間が迫っていたが、出勤前に殺害計画を実行。出勤後、妻の携帯電話にメールや電話の着信を残す。さらに強盗事件を装うため、妻たちの財布や携帯電話などを外に隠そうとした最中、妻の携帯が鳴り始め、GPS機能による発覚を心配し壊して捨てた--。

 最も分からないのは、憎悪を募らせた義母だけでなく、妻子の殺害を決めた理由だ。弁護側は「義母を殺せば、妻は自分の仕業と気づく。殺さなければ」「妻を殺せば、長男も一緒に殺さなければ自由になれない」と説明する。短絡的な思考に首をかしげたくなる。

 検察側は、刑を決める際に重視すべき事情として「動機は身勝手」「犯行は執拗(しつよう)かつ残虐」「3人の命が失われる重大な結果」「遺族は極刑を求めている」などを挙げた。いずれも死刑の判断基準とされる永山基準に含まれ、死刑求刑の可能性は高い。

 判決は12月7日。裁判員の精神的、肉体的負担は大きい。私たちはその判断を見守るしかない。<宮崎支局長・池田亨>

毎日新聞 2010年11月22日 地方版

PR情報

宮崎 アーカイブ一覧

 
共同購入型クーポンサイト「毎ポン」
地域体験イベント検索

おすすめ情報

注目ブランド