2010年11月22日11時12分
老若の歴史ブームをあてこんで、歴史雑誌業界にこの秋、新参が相次いでいる。時を同じくして「戦場」を去る雑誌もあり、出版不況のなかで群雄割拠の様相だが、迎え撃つ古参誌側は「業界が活性化する」と歓迎している。
「戦国2大人気武将を徹底解剖 真田幸村 伊達政宗」
先陣を切って9月に創刊したのは月刊誌「歴史人」(KKベストセラーズ)。2号目の11月号で大奥、12月号で天皇を特集した。「保存版」と銘打った特集にページのほとんどをあてる一点豪華主義が特徴だ。
12月6日には季刊誌「歴史魂」(アスキー・メディアワークス)が旗揚げする。歴史雑誌では珍しく、付録が売り物だ。創刊号にはベテラン声優による40分の講談CD「血風!桶狭間」と、雑誌本体のページ数の半分近い80ページもの別冊コミックがつく。ゲームやアニメ、パソコン関係の雑誌で知られる自社の強みを生かした。
KKベストセラーズにとって、「歴史人」は歴史ブームに確かな手応えを感じての創刊だった。中高年向けの月刊誌「一個人」で昨年、坂本龍馬を特集したところ好評を博した。昨年末には「一個人」の別冊「歴史人」で再び龍馬を特集し、50万部を突破。続く戦国武将特集号も19万部に達した。
「雑誌ではあまりない重版が、両別冊ともかかった。歴史の分野に可能性を感じ、月刊誌としてスタートしようと思った」と高橋伸幸編集長は話す。
一方、「歴史魂」は、「戦国無双」「戦国BASARA」といったゲームの人気が発端だ。長谷川真編集長は、以前はゲーム雑誌の編集長をしていた。
「若い人に歴史好きが増えている」と感じ、社内の新規事業募集に名乗りを上げた企画が通った。電子書籍化も視野に入れた編集技術を採り入れているという。
ともに勝算あっての創刊のようだが、2誌の行く手には古参誌が待ち構える。