2007年05月30日

緑資源機構談合事件のまとめ

 緑資源機構談合問題は、ちょっとすごいことになっていますね。報道は多々なされていますが、全体像がつかみにくいので、経緯を見渡しやすいように、時系列でまとめてみました。
 捜査の経緯はわりかしはっきりしていますが、事案の解明については、献金額が幾らだったのかとか、記事によって数字がバラバラでよくわかりませんね。リンクを張ってある記事だけでなく、いろいろ見比べていただくとよいと思います。

昨年
 公正取引委員会は、平成18年10月、緑資源機構に対し立ち入り検査を行った。これに先立ち高木理事は、入札関係の書類に十分気をつけるようにと、証拠隠滅を促す指示をしていた(読売新聞「緑資源談合、前理事が書類廃棄促す…公取委の立ち入り前」)。

 この直後、緑資源機構の受注業者で作る特定森林地域協議会という団体が解散している。この団体は、政治団体特森懇話会が同居し、両団体は一体であったともいわれる。特定森林地域協議会は、会員となっている業者から平成17年推計で年間5000万円の会費収入があったとされるが、その用途は不明である(毎日新聞「<緑資源談合>業界団体「特森協」、年数千万円の使途不明」)。

4月
 公正取引委員会は、平成19年4月19日、緑資源機構本部、林業土木コンサルタンツ、林野弘済会および森林テクニクスなどの関係先への強制捜査を開始した(産経新聞「林道談合 公取委、緑資源機構強制調査 幹部主導裏づけへ」)。

 4月19日に強制捜査を受けた公益法人や民間企業から、松岡農水大臣の資金管理団体「松岡利勝新世紀政経懇話会」はパーティー券購入なども含め、10年間で約428万円の献金を受けていた(産経新聞「林道談合 松岡農水省に428万円献金 公益法人や企業、10年間に」)。

 公正取引委員会の強制捜査は、東京地検特捜部への刑事告発を睨んでいた。公正取引委員会が押収した証拠は、4月下旬には、東京地検に預けられた。5月11日には、東京地検が誤って証拠の一部を紛失したことが明らかになっている(日刊ゲンダイ「東京地検 今度は談合の証拠をポイッ」)。

5月18日
 毎日新聞は、5月18日、東京地検特捜部が緑資源機構の森林業務担当理事らを逮捕する方針を固めたと報道している(毎日新聞「担当理事ら来週逮捕へ 東京地検特捜部」

 事件との関係は不明だが、実はこの日、松岡農水省の事務所関係者が自殺している(日刊ゲンダイ「松岡農水相 地元の事務所関係者が首つり自殺」)。

5月24日
 東京地検特捜部は、5月24日、担当検事らを処分して証拠紛失問題にけじめをつけ、関係者らに出頭を要請して取調をはじめた。公正取引委員会は、同日、受注上位の林業土木コンサルタンツ、フォレステック、森公弘済会および片平エンジニアリングの4法人を刑事告発した。午後には緑資源機構理事の高木宗男容疑者ほか6名が逮捕された。
 これを受けて、緑資源機構の前田直登理事長は、農林水産省で記者会見を開いた。前田理事長は、国民に謝罪するとともに、4法人への天下りを当面自粛すると発表した。しかし談合は、高木容疑者らが独断で行ったものであるとした(毎日新聞「緑資源談合 「天下り当面自粛」機構理事長が謝罪会見」)。
 また緑資源機構は、同日、高木容疑者を解任した。

 この日、松岡農水相も国民に謝罪しているが、自身の献金問題についての言及はなかった。日刊ゲンダイの報道によると、この時点で工事請負業者が作る公益法人から松岡農水相に対して計3120万円が献金されていることが判明していた(日刊ゲンダイ「笑わせるな!松岡農水相がおわび 理事ら6人逮捕へ」)。
 塩崎官房長官は、同日、この問題は捜査とは別問題と答えている。

 夜になって、鈴木宗男衆議院議員と会食した松岡農水相は、鈴木議員から政治資金の不透明な処理について国民に謝罪するようにと進められ、今は黙っていた方がよいとの国対からの指示なので、従うしかないと答えた(5月28日付ムネオ日記)。
 自民党の中川秀直幹事長は、29日の記者会見において、この指示の存在を否定している。

5月25日
 東京地検特捜部は、5月25日、緑資源機構九州整備局、近畿北陸整備局および宮崎地方建設部などの捜索に着手した。
 松岡農水相は、24日の前田理事長の天下り自粛発言について、天下りは事実上の廃止で、将来も復活はありえないと述べた(毎日新聞「<松岡農相>「4法人への天下り廃止」表明」)。

5月26日
 金子一義衆院予算委員長は、5月26日、自民党岐阜県連の総務会において、松岡農水相は国会終了後に辞任すべきと発言した(毎日新聞「<政治とカネ>「松岡農相辞めるべき」…金子衆院予算委員長」)。
 一方で、松岡農水相は、熊本市内の会合で、古閑三博自民党熊本県連会長に対し、自分は間違ったことはしていないので心配しないで欲しいと語っている(時事通信「「間違ったことしてない」=26日、自民県連会長に松岡氏」)。
 中川秀直自民党幹事長は、緑資源機構関係の献金は政治資金規制法に基づいて適切に処理していると思うと述べて、松岡農水相を擁護した(毎日新聞「<松岡農相>金子衆院予算委員長が辞任求める 幹事長は擁護」)。

 この日の夜、2ちゃんねるにおいて、松岡農水相の自殺を予見する書き込みがなされた。書き込みの内容は「1ケ月以内に松岡が死ぬならどんな原因であろうと、殺された、と思って間違いない。」「松岡逮捕は絶対にない。その前に彼は、自殺するか突然死する。」などというもの(「2ちゃんねるに松岡農相の自殺2日前に事件を予見していた書き込みが 」)。

 また東京地検特捜部は、同日、平成18年10月に解散した特定森林地域協議会の山崎進一元副会長の自宅を捜索した。山崎元副会長は、緑資源機構の前身である旧森林開発公団の理事も務めた人物で、談合システムを確立し、高木容疑者に引き継いだともされる(毎日新聞「<緑資源談合>業界団体「特森協」、年数千万円の使途不明」)。

5月28日
 5月28日の昼ごろ、松岡農水相が赤坂議員宿舎の自室で首をつっているのを発見される。発見した秘書らはすぐに救急隊員を呼んだが、松岡農水相は意識不明の状態で午後2時に慶応大病院で死亡した(毎日新聞「<松岡農相>議員宿舎で首つり 遺書見つかる」)。
 同日の日刊ゲンダイの報道によれば、松岡農水相は、平成8年から平成17年にかけて、民有林整備懇話会、民有林振興会、全国林業政治連盟などの政治団体から1億3184万円の献金を受けていた(日刊ゲンダイ「緑資源「官製談合」事件 捜査の手は松岡農水相に伸びるか」)。

 東京地検は、松岡農水相についての捜査はしていないし、予定もなかったとする(時事通信「松岡農水相、捜査していない=緑資源談合解明中に驚き−法務・検察」)。しかし検察幹部からは松岡農水相がターゲットだったことをほのめかすような発言も出ているようである(毎日新聞「<松岡農相自殺>疑惑に自ら封印」)。事件が刑事事件化した経緯についても、検察庁の見解と公正取引委員会関係者の認識に食い違いがある。

 阿部首相は、松岡農水相の自殺を受けて、「大変残念です。慚愧(ざんき)に堪えない思いです。」と発言(朝日新聞「松岡農水相自殺での安倍首相の発言(要旨)」)。これに対し、芥川賞作家の平野啓一郎は、首相の発言は慚愧に堪えないという言葉の意味を誤っていると指摘した(平野啓一郎公式ブログ「慚愧に堪えない」)。

5月29日 
 翌29日未明、山崎元特定森林地域協議会副会長が自宅マンション駐車場で転落死しているのが見つかった。6階の階段に靴がそろえて置いてあったが、遺書は発見されていない(産経新聞「「緑機構」前身の元理事自殺 マンション飛び降り 地検、連日聴取」)。
 山崎氏は、自宅の捜索を受けた26日以降、連日事情聴取を受けていた。
posted by nagablo at 09:48 | Comment(0) | TrackBack(1) | 勉強メモ
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Weblog: クチコミコミュニケーション
Tracked: 2007-11-12 13:30