2010年9月23日 12時4分 更新:9月23日 12時16分
米連邦準備制度理事会(FRB)は、21日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で「経済の回復を支えるために必要があれば、追加の緩和措置を講じる」と表明、米景気の動向次第で一段の緩和に踏み切る姿勢を鮮明にした。FRBは追加緩和姿勢を強調することで米経済がデフレに陥ることを阻止したい考えとみられる。一方、米経済の先行き懸念が鮮明になったことで、政府・日銀の為替介入で一服している円高圧力が再び強まっており、対応が注目される。【坂井隆之、大久保渉、ワシントン斉藤信宏】
FRBが21日のFOMC後の声明で一段の金融緩和に言及した背景には、米経済が日本型のデフレに陥ることへの強い警戒感がある。物価が継続して下がるデフレ状態が続けば、米国経済は90年代以降の日本のような長期低迷に陥る恐れがあり、FRBとして強い姿勢を示す必要があったものと見られる。
FOMCは、金融政策の現状維持を決定したうえで、声明で「過去数カ月間、生産と雇用の回復ペースが減速した」と、景気判断についても前回8月10日の表現を踏襲した。だが、「現在のインフレ率は、最大雇用と物価の安定にとって望ましい水準をやや下回っている」と初めてデフレへの懸念を表明。これまでインフレへの警戒を強調してきたFRBが、逆にインフレ率を適正な水準に戻すことの必要性を主張した。
さらに、前回の声明では「必要に応じて政策手段を活用する」としていたが、今回は「必要があれば追加の緩和措置を講じる」と明言した。
FRBが米国債の購入など一段の追加緩和に踏み込む可能性が出てきたことで、日米金利差の縮小を見込んで、22日の東京外国為替市場の円相場は1週間ぶりに1ドル=84円台後半まで円高が進んだ。ニューヨーク市場ではさらに84円台前半に突入した。
9月中旬に一時1ドル=82円台まで円高が進んだが、政府・日銀が15日に円売り・ドル買い介入したことで、外為市場は、ひとまず、1ドル=85円台で安定していたものの、次回FOMC(11月2~3日)まで、市場は雇用統計や消費者物価指数をはじめとする経済指標の動きに敏感に反応することになるのは確実。追加緩和が現実になれば、再び円高に大きく振れる局面も出てきそうだ。