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PJ: 田中 大也

「ジャニーズJr違法説」まで飛びだした児童ポルノ禁止法の特殊性
2010年11月12日 10:29 JST

【PJニュース 2010年11月12日】「サンタフェ論争」で揺れた2009年の議論の最中、もう一つの問題提起が巻き起こった。それは、「ジャニーズJrのグラビアを持っていても単純所持規定でアウトになるのではないか!?」というものだった。

かつて作品が刊行されたという形とは違う、現役バリバリで活動を続けているアイドル集団、しかも、広範な層から熱烈な支持を受けているグループのグラビアが児童ポルノ扱いされるのではという懸念は、ある意味では「サンタフェ論争」よりも巨大な衝撃をもたらした。

このような、一種異様な状況が生み出された背景には、「男女によって差がない」という、児童ポルノの定義がある。

本来、性的な事案に関して、男女の差がないという点は普遍的であり、問題が生じるようなことでもない。例えば、「児童を買春した、淫行に及んだ」というケースでは、被害主体となった児童の性別に関係なく運用することができるし、性行為の現場を撮影されたという場合でも、被害者の性別で扱いを変える必要もない。ところが、こうした「男女平等の普遍性」と呼べるような概念を、直接的な性行為以外の画像や映像にまで適用すると、途端に深刻な問題が発生することになる。

現行法において、十八歳未満の女性が上半身裸だったり、大きく服をはだけていたりする画像は、児童ポルノにあたると考えられているが、同じく十八歳未満の男性が、同じような格好をしていても、児童ポルノとして認定され得る現実があるのだ。

水着姿などからも分かる通り、男子が上半身裸の状態であったとしても、普遍的な光景の一つであり、「児童虐待」という概念などからはかけ離れていることは、常識として明らかだが、定義上の男女差が明示されていない以上、男子のこうした格好は一律に「児童ポルノ」に認定されうる状況にある。性的に過激とは思えないような、ジャニーズJrをはじめとする、少年アイドルのグラビアに「児童ポルノ」認定の危険が囁かれたのは、社会的概念とは裏腹に、男女の合法かどうかの線引きが一致していたことが原因だ。

こうした、一般的な社会常識からかけ離れた基準によって、少年アイドルのグラビア写真が「児童ポルノ」扱いされる危険性は、現行法の枠内においても低くない。少なくとも、「定義」が同じである以上、少年が服をはだけ、胸部を晒しているような写真が存在する作品を違法にしても、法的には「何の問題もない」。「性欲を喚起させる」かどうかという点についても、そもそもの法律が、乳幼児の裸にも適用するように作られているのだから、一般的な価値観としての「性欲」にあてはめる必要もなく、百人中九十九人以上の性欲が喚起されなかったとしても、「児童ポルノ扱い」が通ってしまい得る現状もある。普通に考えて問題のないコンテンツだったとしても、合法性が保証されているわけではない。

「過激」な女性の水着グラビア程度でも児童ポルノとして法的処罰になり得る昨今だが、潜在的には、水着姿と言えば上半身裸であり、胸をはだけているような写真も多い男性が出演している作品の方が、ずっと児童ポルノとして違法扱いされる危険は大きいと言える。


常識とはかけ離れた形で、穏当なはずの作品が「危険水域」に。これも、児童ポルノ禁止法の一つの側面なのだ。【了】

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