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連続不審死 練炭・睡眠導入剤…東京・埼玉と重なる共通点
一連の不審死は連続殺人事件の疑いが強まった。千葉県警が殺人容疑での立件方針を固めた安藤建三さんの不審死は、東京と埼玉の2件の殺人事件と共通点が多い。乏しい物証の中、千葉県警ではこれまでの事件と同様、状況証拠の積み重ねで解明を進めてきた。
10月29日に警視庁に殺人容疑で逮捕された木嶋佳苗被告。捜査関係者によると、逮捕時の取り調べで「私は殺していません」と否認して以降、黙秘を続けている。取調官の向ける雑談にも応じないという。
木嶋被告は埼玉県内で殺害された東京都千代田区の会社員、大出嘉之さん=当時(41)=と青梅市の会社員、寺田隆夫さんの2件の殺人罪で起訴されている。いずれも練炭を使用して自殺を偽装していた。
少ない物証で供述も得られない中、埼玉県警と警視庁は、木嶋被告が事前に練炭とこんろを購入していたことや、事件前後の足取りの解析など状況証拠を丹念に積み上げ、木嶋被告以外に犯行を実行できる人物がいないことを裏付けた。
安藤さんの事件でも現場に練炭と七輪があった。遺体からは睡眠導入剤の成分が検出されており、警察当局は当初、大出さん事件の後、安藤さん事件に着手する予定だった。だが、安藤さん方は全焼しており立証が難航。寺田さん事件を先に立件することに方針転換した。
警察幹部は「(先に立件された)2つの事件で捜査の基本的な道筋はできた。埼玉県警や警視庁の捜査で明らかになった事実も状況証拠になる」と話す。千葉県警では燃焼実験を重ね、出火後の室内の状況などを細かく分析。練炭が出火に至った経緯について検証していった。
事件2日後の昨年5月17日。木嶋被告は自身のブログで、安藤さんが死亡したことに触れ、「サスペンスドラマのような一日でした」と書き込んでいた。
「当時は余裕を見せているが、事件化すれば、これまでの事件と同様に供述は期待できない。可能な限りの状況証拠は集めた」。千葉県警幹部は事件の全容解明に自信をみせている。