2010年11月20日22時21分
【ロサンゼルス=堀内隆】在沖縄海兵隊のグアム移転に伴い島内に建設される射撃訓練場の予定地選びをめぐり、地元住民らが、環境影響評価の公告やり直しや工事差し止めを求める訴訟をホノルルの連邦地裁に起こした。「先住民の重要な遺跡がある場所なのに、米軍は代替地を十分に検討しなかった」と主張している。
被告はゲーツ米国防長官や米国防総省などで、17日に提訴。グアムのメディアによると、原告の一人は記者会見で「移転そのものに反対しているわけではない」と述べた。
訴状によると、米軍は先住民チャモロ族の遺跡があるグアムのパガット村に、射撃訓練場を計画。一帯はチャモロ族の精神文化の中心とされており、環境影響評価では「(先住民の)コミュニティーに社会経済的な悪影響がある」と判断された。
原告は影響評価の公告期間中に具体的な代替地を提案するコメントを米政府に寄せたが、今年9月に米国防総省が公表した着工決定書では、訓練場の候補地はパガット村の2カ所に絞られた。決定書は「チャモロの文化が損なわれるという懸念を認識し、チャモロの社会文化的な伝統を尊重する」としている。