Part 2

仙谷官房長官の「自衛隊は暴力装置」という国会での発言が問題になって撤回したようだが、撤回する必要はない。自衛隊はれっきとした軍隊であり、軍隊とは暴力装置に他ならない。これに抗議している自民党は、自衛隊を災害救助隊だとでも思っているのか。

マックス・ウェーバーは、主権国家を「合法的な暴力の独占」と定義した。レーニンは、国家を物理的な暴力(Gewalt)と心理的な権威(Macht)によって成り立つブルジョア階級の統治機構と考え、そのコアにあるのが軍事力だと考えた。この規定が正しかったことは、彼の革命が成功したことによって確かめられた。その後のロシアが悲惨な運命をたどったのも、レーニンの掌握した暴力装置が絶対的な力をもったからだ。

仙谷氏の「暴力装置」という言葉は、このレーニンの影響が残っているものと思われるが、これはきわめて正統的な軍隊(したがって自衛隊)の定義である。菅首相も謝罪したようだが、彼は軍の最高指揮官であり、その命令で何万人も殺害できるのだ。これぐらいのリアルな認識をもってもらわないと困る。「自衛隊」などという婉曲語で、その本質をごまかすことはできない。

尖閣ビデオで話題になった海上保安庁も、暴力装置である。巡視船は、機関砲を搭載する武装船舶であり、海上保安官は暴力を行使する権限をもっている。その職員が、規律を無視してYouTubeで国家機密を世界に流すことは、佐藤優氏も指摘するように、クーデタと同じである。これが衝突事故だったからいいが、自衛隊員が義憤から軍事機密をYouTubeに流したらどうなるのか。

問題のビデオを機密扱いとした政府の決定に疑問があることは事実だが、公務員の服務規律は手続き的なものであり、今回の海上保安官は起訴するのが当然だ。それが国民の知る権利などの公益に比べて重いかどうかは、裁判所が判断すればよい。それを行政処分ですますと、「善意でやったことなら機密漏洩も免罪される」という前例をつくってしまう。

日本人は戦後60年以上も戦争を体験しないという幸運に恵まれ、国家の根底にある暴力の恐ろしさを忘れているのではないか。憲法には「文民」という言葉はあるが「武官」はない。「平和憲法」の建て前によって、武官をいかに統制するかという重大な問題が欠落しているのだ。これを機会に、暴力装置としての自衛隊などをどう統制するのか、あらためて考えたほうがいい。

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  1. 1.

    公務員制度改革私案(ファーストバージョン)

    僕は、日本は金に困ったとしても武器を海外に輸出すべきではないと思うけれど、自衛隊は必要だと思っている。昔、三菱総研にいたときに、出向してきた2人の幹部候補自衛官の人とそれぞれ一年間一緒に仕事をして、彼ら2人に「自衛隊は憲法違反ですよね」と質問したことがあ....

  2. 2.

    政治家が政治の場で政治用語を使うと失言になる国。

    仙石氏「自衛隊は暴力装置」参院予算委で発言、撤回    朝日2010年11月18日11時33分 http://www.asahi.com/politics/update/1118/TKY201011180169.html  仙谷由人官房長官は18日の参院予算委員会で、「自衛隊は暴力装置」と述べた。その後、「実力組織」と言い換え...

  3. 3.

    自衛隊は「暴力装置」

    仙谷官房長官が「自衛隊は暴力装置」と発言したことで, 国会で揉めているらしい。(...

コメント一覧

  1. 1.
    • arc457a2
    • 2010年11月19日 01:09

    池田先生の仰る通り、事実上の暴力装置であることに異論はありません。

    しかし、国会で自衛隊を「実力」以外の「ちから」ワードで呼ぶのは、従来の政府答弁の経緯からして看過できない官房長官としてのミスのように思えます。
    言葉遊びに過ぎるといえばそうですが。。。

  2. 2.
    • taru77
    • 2010年11月19日 01:53

     自衛隊という暴力装置を統制するのが、警察という暴力装置でしかないなら、共産主義国家において秘密警察が発達するのと同様の事態に陥ります。こういった手法には、心理的権威の存在が欠落しているように思います。
     結局、国家秩序の維持には、暴力装置の威力による恐怖だけでは足らず、特に我が国では、被支配者による自発的な法秩序の是認に依る所が大きい。ところがこの政権は国旗などのミランダを軽視するし、カリスマもないし、船長釈放では手続きの面から合法的支配の正当性も揺らいでしまった。
     だからこの政権がいくら警察力を振るっても、「クーデタ」は何度でも起こるでしょう。被支配者たちの、積極的な服従意思が揺らいでいるからです。
     この記事を読んだ民主党の議員が、警察権力による反逆者の鎮圧だけが統治の本質だと勘違いしないことを祈ります。

  3. 3.

    自衛隊も同じ公務員。が、一方の地方公務員は自治労という形で集票力を形成して議会に介入している。自治労のサイトなんか見てもはっきり民主党や社民党の協力候補の応援とかをしています。
    http://www.jichiro.gr.jp/seimei/090831.htm

    地方公務員法36条で地方公務員の政治活動が禁止されているのですが、罰則がないので形骸化しているのです。
    http://www.houko.com/00/01/S25/261.HTM#s3.6

    こうした事実を見て自衛隊員が自分達も真似したいと思うのは当然では。が、それは日本陸軍の2の舞になるでしょう。

    自治労の後援を受けてる民主党がしっかりエリを正して35条に罰則(公務員の立場を利用して選挙活動したら懲戒免職)を設ける必要があるのでは。

  4. 4.
    • belgian_waffle
    • 2010年11月19日 07:36

    自衛隊は戦力や自己完結性は備えていますが肝心の軍法を欠いてます。そういう意味で自衛隊は軍隊ではありません。
    そういう歪んだ状況が放置されたのは、自民党政権の無策もありますが、菅首相や仙谷官房長官らの歪んだサヨクの寝とぼけた念仏平和主義によります。
    そういった歪んだサヨクが使う「自衛隊は暴力装置」という言葉を、単語が同じだからといってマックス・ウェーバーの使うそれと同じとするには"強く"違和感を感じます。

    >「善意でやったことなら機密漏洩も免罪される」という前例をつくってしまう。

    「機密でない」から行政処分で済ますのだから言いすぎだと思いますが、キッチリ起訴して裁判所に判断させるのが筋というのは同意します。ただ、裁判所で「機密でない」と判断されると一番困るのが仙谷官房長官なので実現性は低いと思いますけれど。
    あと、誤った前例というなら「検察が外交関係を勘案して釈放」という誤りについても言及しないと公平でないと感じます。

  5. 5.

    軍人は戦争で人を殺すということを、国家の絶対命令として行うからできるのであり、そこには一市民としての判断が入り込む余地が微塵でもあれば、できるはずがありません。命令するのは首相であり、最終責任も首相にあるはずです。司法では職業裁判官が、死刑の判断という難しい国家の意志を、素人の一般人に丸投げしているし、管首相にいたっては、代議士として選ばれて高い給料をもらって難しい政治判断を任されているはずなのに「国民全員参加」などと放言して平気な顔している国ですから、どこか大事なネジが一本抜けているのでしょう。

  6. 6.
    • cuique4
    • 2010年11月19日 09:16

    今回の騒動は,日本人自身の心性として,未だ民族共同体や神権政治への憧憬・愛着が強すぎて,立憲的近代国家がなんたるかを全く理解できていないことが根本問題にあると思いますね。

  7. 7.
    • Dr. OK
    • 2010年11月19日 10:14

     今回の漏えい事件を、文民統制の崩壊と捉えない、安部元首相、石原都知事らや多くのネットユーザーは、非常に危険な考えを暴露している。
     今回、たまたまビデオの内容が「たかだか漁船の海上本庁巡視船への、向こうに非のある衝突」だったからよい。
     当方に非がある内容、戦争に繋がるほどショッキングな内容だった場合、こんなときには同じ情報リークをどう扱うつもりか。内容次第で政府に都合が悪ければ犯罪にしたり、都合が良ければしなかったりするのだろうか。それは法治の概念とは大きく抵触する。一律に罰するのは当然で、外交防衛に関わることは厳重に政府がコントロールしなければならない。それは自民党だろうが同じだ。
     右派だろうが、左派だろうが前回の大戦に「参加し」「惨敗した」ことまで含めて良かったと思う人はいないであろう。参加して惨敗した大きな理由の一つが文民統制の崩壊であったのは広く知られている筈で、この300万人の国民が死んだ日本史上もっとも苦い苦い体験を、こうも簡単に僅かな緊張で崩壊するとは本当に嘆かわしい。もうひとつの大戦参加の大きな原因は、マスコミの国民の煽動であったこともしられている事で、この反省から、マスコミは当たり前のように文民統制の話を主題にするべきだが、如何にもそういう話が好きそうな朝日ですらそのトーンは低い。
     日本は結局村社会、世界の田舎者のままなのであろうか。

  8. 8.
    • izumihigashi
    • 2010年11月19日 10:20

    Sengoku38氏は規律違反を犯したモノの、軍事機密の漏洩と言った様な重罪は犯していない。彼は規律違反である事を認識しながらあえてビデオを公開した。規律違反の責を甘んじて受ける覚悟がある。暴力装置と言った発言は非難されるベキかどうか。国民は非難している。非難されるベキかどうかより国民は非難している。それだけの事。

  9. 9.
    • jestemneko
    • 2010年11月19日 22:27

    自民党は、少なくとも国会の場では、YouTubeにビデオを投稿した海上保安官を逮捕しろとも逮捕するなとも言っていません。海保の、しかも大学校のコンピュータ内にあったビデオです。それを「流出」させたとして、どのような刑罰に処するのですか?
    仙谷は、中後奇人船長を釈放していながら、いけしゃあしゃあと、証拠を外部に流すのはけしからんなどと言ってますが、YouTubeに投稿されたビデオは検察内に保管されていたわけではないのです。仮に「流出」が罪であるとすれば、ビデオを海保大学校のコンピュータ内に入れたことも「流出」であり、罪になってしまいます。つまり、ビデオを海保大学校のコンピュータ内に入れた海保職員も逮捕しなければならなくなる。証拠をしっかり保管しなかった検察も責めを負わなければならなくなるでしょう。
    仙谷は、法律を理解しているのでしょうか?あまりにアホなので、弁護士商売をやっていたのでは飯が食えなくて政治家になったのかもしれませんw

  10. 10.
    • jasumin777
    • 2010年11月20日 00:50

    えーっと、ですね

    日本は古来より封建絶対君主的で
    オカミの一声で、むち打ちで骨を砕かれて人生が終わるわけで

    だから明治政府以来の検察も
    「推定有罪」「起訴後有罪率9割超」
    なので、

    これまた旧来の農奴平民の流れをくむ弱者たちは
    「おねがい、義憤の海保さんをむち打ちでやっつけないで」

    という心理になるんでしょう。

    無知だからとか、感情に流されてとか
    ただバカなだけでは、ないでしょうね。
    よく世間の実態を知っていますよ、全員じゃないけど。

    まずは検察警察裁判所トライアングルの
    伝統的な悪態を取り壊し、合理改革後に再スタートして
    から、でしょう、彼のような義憤の人を、起訴コースに乗せるのは。

    今の制度上で、とても任せられません。
    大阪地検の証拠隠滅の件が明るみになったのは
    若手検察官たちの、似たような義憤の行動のおかげでしたから。

    当の検察官が、今のシステムでは信用できない、と
    告発に走っている。
    システムやルールを抜本改正しないとダメだと、
    気持ちが追い詰められている。

  11. 11.
    • kmukai0822
    • 2010年11月20日 01:02

    机上の空論は国際政治には役立たない。いくら頭が良く、難しい本を読んで、勉強の為の勉強をして、自己満足しても、驕りを持てば、ただの無能であり、策者策に溺れる。
    仙谷官房長官などは、学生運動の気持ちが抜け切れず、つい自衛隊を「暴力装置」と言ってしまったのでしょう。彼らは当時、アメリカを帝国主義と批判し、自衛隊、国旗、国歌は日本帝国主義の象徴とし非難し、ヘルメットと角棒を持ち、革命、革命と叫んでいた。日本赤軍など最も憎むべき犯罪者です。その時から思考が止まっているのでしょう。では彼らが羨望していた中国、ロシア、北朝鮮はどうか。それらの国には大きな軍隊があり、核兵器も持ち、世界に覇権を唱えている正に左派の社会主義独裁の帝国主義国家ではないですか。過去に革命の名の下に、子供たちでさえ巻き込み、虐殺と粛清が繰り返され、どれだけの血が流された事か計り知れない。

  12. 12.
    • zodiaclifesystem
    • 2010年11月20日 01:04

    >問題のビデオを機密扱いとした政府の決定に疑問があることは事実だが、公務員の服務規律は手続き的なものであり、今回の海上保安官は起訴するのが当然だ。

    要は「機密では無かった」「機密扱いすべきでは無かった」という政府の自白でしょう。
    本来なら「機密扱い」を判断した人間を処分すべきではないでしょうか。「暴力装置」発言の人物であると思われますが。
    民間企業のように即クビに出来ないのが致命的です。
    ただ、指針の定まらない現政府の意識の低さを露呈したという点では、良い傾向かも知れません。


    >規律を無視してYouTubeで国家機密を世界に流すことは、佐藤優氏も指摘するように、クーデタと同じである。
    >これが衝突事故だったからいいが、自衛隊員が義憤から軍事機密をYouTubeに流したらどうなるのか。

    極端な仮定に走るのであれば、何だって言えます。
    そこまで間抜けな自衛隊員がいれば、という条件も必要ですね。やや偏見を感じるな。
    衝突事故ならいいのですか。「クーデタと同じ」では無かったのですか?
    そもそも国家機密なのですか?

    そもそも今回の事件は「衝突事故」でしょうか。


    >国家の根底にある暴力の恐ろしさを忘れているのではないか。

    ビデオ投稿者氏も、同様のことを考えていたと思われます。
    ただ、現場を知っている人間としての義憤でしょうね。
    彼が大きいリスクを取ったおかげで各方面で議論が生まれ、暴力の恐ろしさを忘れた国民の頬を叩く結果になったのではないかと思います。
    彼は賭けに勝ったんですよ。

  13. 13.
    • jestemneko
    • 2010年11月20日 02:20

    失礼しました。「中後奇人船長」というのはたんなるタイプミスです。他意はありません。「中国人船長」に訂正させてくださいw
    私が言いたいのは、仙谷が「証拠」を「流出」させたのけしからんと言うのなら、その前に海保が「証拠」を「教材」にしたことをけしからんと言わなければならないはずだ、ということです。「証拠」を「教材」にした時点で、ビデオはすでに「流出」したと考えてよいでしょう。YouTubeに投稿した海上保安官は、すでに「流出」したものを「流出」させたにすぎないのです。常識にしたがえば、「流出」の「流出」を国家公務員法違反だといって刑罰に処することはできません。仙谷は、どの段階から「流出」であるかを明確に定義してからものを言わないといけない。YouTubeに投稿した海上保安官を庇うつもりはありませんが、もしも逮捕して起訴するようなことがあれば、どの時点で「流出」になるのか、国会で徹底討論することになる。少なくとも、取り調べの全面可視化は不可避です。検察側が拒否するようなら証人喚問で理由を問うしかない。国政調査権を発動して「流出」の過程を調査する場合もあるかもしれません。

  14. 14.

    2 政府が法に則って手続きをして秘密に指定した情報が漏洩した場合、これも法に則って捜査し、法に則って粛々と裁けばよいのです。そもそも政府、検察が法に則り、各自の職分を忠実に果たしていれば、問題そのものが起きようがなかったという点を看過して、情報漏洩だけをことさらあげつらうのは法の下の平等という法治主義下の民主政治に真っ向から喧嘩を売る行為です。

    まず、中国人船長を逮捕しておきながら中国からの反発があれば、現場の独断という形を強要して政治判断を放棄したのは現政府首脳です。これは歴とした職務怠慢です。あるいは本当に検察が自主的に判断して釈放したのなら、越権行為もしくは職務怠慢で処罰しなくてはなりません。戦前の軍がどうたらという意見があるようですが、軍という官僚の越権行為、怠慢行為の積み重ねが泥沼の戦争へ突き進まざるをえなかった直接的な原因であり、軍ではなく検察だから許されるとするのは、それこそ法を踏みにじる行為です。

    情報の秘密指定も法に定められた手順があります。それを守らず、政府の誰かが秘密だと言ったから秘密だと強弁するのは、これまたやはり無法を認める言辞です。法とはそういうものです。自分は法を守らないのに、他人には法を強制することは、法治主義と相容れません。それはただの強権主義、もっといえば人治に基づく圧制です。この件の場合も、件の保安官がどういうつもりでインターネット上に公開したかや、海上保安庁の体制がどうかは問題になりません。動機が善意であるかどうかに関わらず、法に則って秘密とされた情報を漏らせば法に則って裁かれるだけですし、その前提がないのであれば、法は何もしません。何人も裁かれるいわれがありません。

  15. 15.

    2 いみじくも官房長官の言葉通り、自衛隊や海上保安庁のような組織(もちろん警察も含め)が「暴力装置」なのは言を俟つまでもないことです。しかし、であるからこそ緻密に法を定め、厳格に法を適用しなくてはならないのも、また改めて言うまでもないことです。法により定められた職責を公務員それぞれがしっかり守ることがその出発点です。首相は行政の頂点であり、それら暴力装置を含む国家機関を指揮する義務があります。中国人船長の犯罪を不問に付して釈放したことに対する非難があれば、それを甘んじて受けなくてはなりません。それが国益を損なうとなれば、その責めを一身に受けなくてはなりません。ただの名誉職ではないのです。官房長官は閣議決定を含むトップの指示を円滑かつ速やかに実行するために奔走する職務であり、官房長官の公式表明はすなわち内閣の見解となる立場にあります。「俺達の決定に逆らう奴は犯罪者だ」などという物言いをしてよい立場ではないのです。今回の事件は、そもそもそこがおかしくなっているからこそ現場の暴走が起きたと言えます。

    国民が反発しているのは、それを敏感に察知しているからです。首相や官房長官と言えども法を超越した存在ではありませんし、課された職責があります。そこをなおざりにしておいて他人を指弾するから、あいつは偽善者、卑怯者だと指を差されるのです。

    また、公務員の服務規律は手続き的なものであるからこそ、起訴するに足る要件を具備しているか注視しなくてはなりません。怪しい奴は片っ端から起訴してしまえというのが暴論であることは説くまでもないことでしょう。それこそ「政府が命令すれば誰でも逮捕、拘禁、起訴できる」という悪しき前例を作ることになります。いや、戦前、既に治安維持法という名のもとに実行されていましたね。まさかそれが良いとはおっしゃいますまい。

  16. 16.

    2 戦前、軍が暴走した問題の根底には、統帥権の問題があったことは周知の事実です。軍はそれを盾に行政からの干渉をかわし続けました。実際、明治憲法には統帥権に関する規定がありませんでした。そういう意味では今の自衛隊も実に微妙な位置にいると言わざるをえません。現行の自衛隊法で充分かというと多々疑問があります。早急に法の整備が必要で、その前提として、自衛隊、海上保安庁、警察の統制をどうするのか、政府は(引いては我々国民が)明確な指針を打ち出す必要があると思います。

    しかし、それはあくまでも法治の下に行われるべき事柄であって、内閣が独断で解釈し、運用してよいという問題ではありません。幸いにして今日まで日本は自衛隊の出動が必要な場面が災害救助と国際協力という局面に限られてきました。が、今後もそうであるというのは能天気すぎる見通しです。いみじくも今回の件は、中国がいかにきな臭い動きをしているかが広く国民に知られるきっかけになったと思います。私は別にことさら中国を敵視しているわけではありませんが、挑発を繰り返す相手に何の備えがないというのもまた愚かです。自衛隊と海上保安庁に何をさせるのか、どのようにさせるのかを決定するのは立法と行政、すなわち政治の問題です。それを現場に押し付けるのは、政治の怠慢ですし、現場が勝手に判断するのは、戦前の愚行の繰り返しになります。

    果たして、義務から逃げた現政府首脳にそれができるでしょうか。デリケートな外交問題を避けて通っている今の衆議院に満足な議論ができるでしょうか。

  17. 17.
    • kotodama137
    • 2010年11月20日 13:01

    いつも読まさせていただきありがとうございます。少し意見が言いたくなって書き込みます。自衛隊は暴力装置だと私もそう思います。というより兵器自体が暴力でそれを扱うよう編成された組織が暴力装置だと思います。他のブログで、タコ焼きはタコ焼き器ではないとの意見がありましたが、タコの入ってないタコ焼きはタコ焼きなのかという疑問があります。タコ焼きやタコ焼き器の問題でなく、タコがあるのが前提の定義であると思います。だから武器を有しない軍隊は、暴力装置ではないし、それを運用する政府も暴力装置になり得ない。自衛隊は防衛のためだろうが、武器を有するし、運用する日本も暴力装置だと言えます。しかし自衛隊を暴力装置だと認めないで、日本の自立や国防のための軍備拡大意見が多いことに、日本の将来に一抹の不安を感じます。

  18. 18.
    • blindconsumer
    • 2010年11月20日 13:19

    >http://openid.mcu.net/maz氏
    >情報の秘密指定も法に定められた手順があります~以下

    条文と今回の件での具体的な違反行為を教えてください。その後の文章が意味を持つかは全てここにかかってくると思うのですが、具体的指摘がありません。

  19. 19.
    • kmukai0822
    • 2010年11月20日 15:19

    哲学者や思想家などの学者さんが使う言葉なんて、一般国民にはどうでもよいのです。いくら、偉そうに常識だと威張って見せても、そんなことより、仙谷氏がどう言うつもりで使ったかと言う事を考えると、彼の経歴からして、一般国民や自衛隊、警察官、海保等の人たちは、やはり日本人の見方ではないなと思うだけです。

  20. 20.
    • jestemneko
    • 2010年11月20日 15:21

    漁船を黒船だと言って騒いでいる、これが現状です。マンガみたいなことをやってるわけで、あまり大げさに考えなくていいと思いますよw
    仙谷は、中国人船長の逮捕を海保のせいにし、中国人船長の釈放を検察のせいにしたのです。今は、ビデオの流出を海保のせいにし、検察のせいにして海上保安官の逮捕をしようとしている。仙谷は、やることがあまりにデタラメすぎます。頭のおかしな老人を官房長官にしてしまっている、被害が拡大する前にクビにしたほうがいい、これが自民党の考えですw
    マスコミは、シンプルな事実を見落としています。YouTubeに投稿されたビデオは、検察が保管している「証拠」ではありません。海保大学校が保有している「教材」です。海上保安官が、海保大学校で使用している教科書を他人に見せると罪になるのでしょうかw
    「証拠」の「流出」がけしからと言うのなら、「証拠」の「教材」にしたこともけしからんと言わなければならない。しかし、菅内閣は「証拠」を「教材」にすることを容認していたわけですよ。つまり仙谷は、証拠でないものを「証拠」だと言ってるにすぎない。それで弁護士商売をやっていたのかよと言いたくなりますw

  21. 21.
    • wakazi
    • 2010年11月20日 21:17

    尖閣問題をはじめとした仙谷官房長官の発言の経緯及び、岡崎トミ子国家公安委員長の過去の反日デモ参加を国益とする発言の件などから、自衛隊を廃止するのではないかと感じてあの発言から感じ、自民党はあのような質問に及んだのだと思います。
    暴力という言葉には、対暴力の意味が含まれているのを自民党が知らないはすがありませんし。
    自衛隊の存在のおかげで国防は成り立っています。スクランブル発信を何度していることか。

    私は憲法を改正して自衛隊を軍隊としすることに賛成です。

  22. 22.

    > blindconsumer
    違反というより怠慢でしょう。海上保安庁文書管理規則「第7章 秘密文書の特例」が該当する規則になります。ここに定められた手続きを経て秘密は「秘密」となります。従って、内閣が海上保安庁に情報の秘匿を指示する場合は、国交大臣から海上保安庁長官に対し、「何を」「いつから」「いつまで」秘密にするかを明確にして命令しなくてはなりません。今のところいずれの要件も具備されていたという証拠や証言がありません。

    この規則で秘密となった情報を守秘することは、国家公務員法第100条で定められていますが、ここで定められている秘密とは、以下の要件を満たす必要があることが最高裁判所によって示されています。(「最高裁昭和48年(あ)第2716号同52年12月19日第二小法廷決定」)

    1. 国家機関が秘密指定をしている
    2. その秘密が非公知の事項である
    3. 秘密にする事に価値を認める
    この3条件をすべて満たした上で、なおかつ、
    その判定は司法判断に服するものである

    つまり、大臣といえども勝手に秘密と喚いただけでそれ以上のことをしていなければ、情報を公開した保安官を罰することはできませんし、そもそもその判断も司法の判断を経なければ無効であるとするのが今現在の法律です。

    高度に政治的な秘密に司法の判断が必要というのはいかがか、という議論はあるでしょうが、それはまた別の議論ということで。

  23. 23.
    • blindconsumer
    • 2010年11月20日 22:07

    >http://openid.mcu.net/maz氏

    海上保安庁文書管理規則第一条に
    ~行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の適正かつ円滑な運用を図ることを目的とする。
    とありますが、この管理規則の第7章 秘密文書の特例(第42条~第50条)は行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行規則に当たるものではないのですか?
    とすれば以下の解釈は誤りであり
    >内閣が海上保安庁に情報の秘匿を指示する場合は、国交大臣から海上保安庁長官に対し、「何を」「いつから」「いつまで」秘密にするかを明確にして命令しなくてはなりません。
    正しくは、個別の行政情報公開請求を却下する際の要件ということになると思います。
    具体的な公開請求に対して当該条文が却下理由として示され、かつ実際に手続きが為されていないということをあなたはおっしゃっているのでしょうか。

  24. 24.
    • blindconsumer
    • 2010年11月20日 22:17

    >http://openid.mcu.net/maz氏

    すいません、先ほどの投稿はあなたの言いたいことが良く分かっておらず見当違いの質問だったようです。
    もしかして、保安官の処罰(行政上の処分、または刑事犯としての起訴)に対して「事前の」司法=裁判所の許可が必要である、とおっしゃってるのですか?

  25. 25.
    • blindconsumer
    • 2010年11月20日 22:28

    >http://openid.mcu.net/maz氏

    度々すいません。
    1. 国家機関が秘密指定をしている
    というのは判例文のどこで示されていますか?

  26. 26.
    • blindconsumer
    • 2010年11月20日 22:38

    >http://openid.mcu.net/maz氏

    すいません、徐々に言わんとしていることが推測できてきたような気がするので質問を変えます。
    (これまでの投稿は削除していただいて結構です)

    海上保安庁文書管理規則「第7章 秘密文書の特例」
    から、同42条による漏洩してはならない秘密が
    >内閣が海上保安庁に情報の秘匿を指示する場合は、国交大臣から海上保安庁長官に対し、「何を」「いつから」「いつまで」秘密にするかを明確にして命令
    という手続きを経た秘密であるということが読み取れないのですが、どの条文又は判例が根拠ですか?

  27. 27.
    • jestemneko
    • 2010年11月20日 23:22

    >違反というより怠慢でしょう。

    海保はビデオを海保大学校の「教材」にしていたわけです。怠慢というより、中国人船長を釈放した時点で終わったとの判断があった。中国人船長の釈放を命じたのは仙谷でしょう。その仙谷が、いけしゃあしゃあと、ビデオを「証拠」などと言い出して検察に海上保安官を逮捕させて起訴しようとした。証拠でないものを「証拠」だと言って誰かを刑罰に処する、これが法治国家のやることですか。しかも、本人は法曹界出身だとか言って威張っている。仙谷は東大中退を自慢しているようですが、私に言わせれば東大の恥です。
    仙谷のクビをとるしかないでしょう。それが自民党の方針でもあったわけですが、もはや政略レベルの話ではない。頭がおかしくなっている老人のせいで、日本の政治をこれ以上迷走させてはなりません。

  28. 28.
    • kmukai0822
    • 2010年11月21日 00:01

    民主党政権を見ていると、これが本当に先進自由主義国日本の政府なのかと揶揄せざるを得ない。前鳩山内閣の普天間基地での迷走と嘘、国民を騙す嘘のマニュフェスト、国民と支持母体への賄賂と言うべきばら撒き政策、日教組と協力した政治資金問題や鳩山、小沢氏の金銭問題、傲慢な天皇の政治利用。
    核持込の密約を得意になって暴いておきながら、彼ら自信は密約と嘘と隠蔽のオンパレードです。これは、彼らが始めて政権を握った事による、政権への執着の表れと、驕りにより自分たちの立場が見えなくなっているのではないか、はたまた、日本を中国や北朝鮮の属国にでもしようとしているのではないかとの疑問を抱かざるを得ない。これは、私だけの疑問ではありませんよ、国民が民主党のおかしさに気付き初めており、政府を信用していません。その結果が、支持率に出ています。これぐらいの事は、政治家ならお分かりでしょう。自民党政権時代、「日教組は日本の癌だ」と本当の事実を言っただけで、閣僚を辞任させられた方もいました。それに引き換え、民主党は政権にしがみ付き、全く閣僚は責任を取ろうとしません。野党の時訴えていたのと真逆の状態です。民主党の中にも今の民主党の状態には納得できない方々も居られると思います。
    官僚や他の公務員にも、自分たちが責任を取らない民主党政権に早く退いて貰いたいと考えている人達は、多いことでしょう。

  29. 29.
    • kmukai0822
    • 2010年11月21日 00:09

    法治国家である以上、秘密漏洩は犯罪である。日教組の勤務中の選挙活動や選挙資金集め。イデオロギーの教育現場持ち込み、子供たちの政治利用も犯罪である。しかし、政府が証拠隠蔽するのは更に大きな国民に対する焚書坑儒に等しい。国民への賄賂とも言うべき血税のばら撒き政策と明らかに日本人の為にはならない売国奴政策、民主党政権の左派の社会主義独裁体制の方を責めるべきだ。民主党は日本国民の政党ではない。

  30. 30.

    > blindconsumer
    内閣の指示によらずとも、海上保安庁が必要と認めれば同規則に従って秘密指定を行うわけですが、逆に内閣からの指示であってもこの規則に準じた手続きが必要です。「何を」というのは秘密にする文書で、この場合はビデオテープですが、具体的にどのテープを秘密にするのか指定がないと、秘密にしようがありません。何を文書としどのように取り扱うのかは第1章-第5章にある通りで、文書の指定もこの規則に添って行われなくてはなりません。「いつから」「いつまで」は44条ですね。
    いずれにしても内閣は必要な手続きを行っていない=形式的な要件すら満たしていないと思われます。

    >jestemneko
    あ、ここでいう怠慢は、内閣の怠慢ということでして。秘密に指定するならするで、きちんと手続きを踏んで指定するという当然のこともしていない、ということが言いたかったのです。

    件の中国人船長の逮捕から内閣によって秘密指定されるまで(それがいつなのかこれまた不鮮明ですが)何の指示もなかったので、海上保安庁内部では研修ビデオとして編集、配布されていました。後付けで秘密に指定するのがいけないとは言いませんが、それなら情報が配布された範囲を特定し、そのすべてに秘密を指示しなくてはなりません。その指示がざるだったからといって、現場保安官を罰していいことにはなりません。問われるべきは国交大臣の監督責任であり、あるいは大臣の指示に遺漏がなかったのならば、長官以下管理職の責任でしょう。本人の処罰は上司に無断で(秘密ではない)情報を持ち出したことくらいでしょうか。内閣のていたらくを見る限り、大臣の指示そのものが杜撰だったと私は思いますが。時代劇よろしく、よきに計らえと言っておけば後は官僚の責任とでも思ってたんじゃないでしょうか。

  31. 31.
    • blindconsumer
    • 2010年11月21日 20:18

    # http://openid.mcu.net/maz

    >海上保安庁が必要と認めれば同規則に従って秘密指定を行うわけですが

    あなたは、領海侵犯への対処記録について海上保安庁が秘密扱いしていなかったと思っているんですか?
    海上保安庁が秘密扱いすれば要件は満たしていることになりますが。

  32. 32.
    • hiz72
    • 2010年11月21日 22:11

    5 池田さんがまっとうな観点をお持ちのようで安心しました。
    私はリバタリアンというよりむしろリベラリストなので、経済政策などについては考えが違う部分もありますが、この点は完全に同意します。経済政策など、民主主義あっての物種です。
    200x年代の日本の政治は、ともに民主主義を信奉するリバタリアンとリベラリストの健全な政策コンペみたいなものだったと思いますが、今の政治の状況は、民主主義ではない別の何かの足音が聞こえてきそうで、不安を感じます。

  33. 33.
    • jestemneko
    • 2010年11月21日 22:38

    http://openid.mcu.net/mazさん、

    問題のビデオは4時間以上あるわけです。それを編集して作成した約44分のビデオは、秘密の対象ではないと判断して、海保大学校のコンピュータの中に入れたのではありませんか?
    海保や検察がそのような判断をしたのは、おそらく仙谷が命じて中国人船長を釈放したからでしょう。その仙谷が、秘密の対象ではないものを秘密だと言い出し、海上保安官を厳罰に処すると言い出したわけですよ。仙谷は法律に無知なだけでなく常識を逸脱していると言うしかないのですが、それでも「秘密だ」と言うのなら、どこまでが秘密で範囲であったのか、徹底調査するしかない。海保や検察を証人喚問することになるでしょうし、場合によっては国政調査権を発動することになります。

    blindconsumerさん、

    どのような理由で、海保大学校のコンピュータの中に入れたビデオが秘密扱いになるのでしょうか?
    あるいは、どのような理由で、秘密扱いになっているビデオが海保大学校のコンピュータの中に入ってしまうのでしょうか?

  34. 34.
    • kmukai0822
    • 2010年11月21日 22:40

    私が数日前に民主党に主張していた内容と同じです。今は昔、彼らは学生運動でヘルメットを被り、角棒を持ち軍国主義と帝国主義を批判し、中国や北朝鮮、ロシアを支持していましたが、その国々は核兵器を持ち世界に派遣を唱える、ナチスドイツと同じ社会主義で、人権を無視した焚書坑儒の独裁帝国主義国家です。所謂ファシズムと同じ穴のむじなです。それが民主党の本質です。

    航友会会長が「言論統制」と政権批判 民主党内からも撤回要求 サンケイ

    北沢俊美防衛相らの指示で自衛隊行事での民間人による政権批判を封じる防衛事務次官通達が出された問題で……….
    また、民主党の松崎哲久衆院議員が7月の航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)での納涼祭で、車の呼び寄せをめぐり空自隊員とトラブルになり、「腹を立てていた」と指摘。このトラブルが通達の一因になったとの見方も示した。一方、21日になり民主党内からも通達撤回を求める声が上がり始めた。ある民主党幹部は「ファシズムまがいの言論統制をした汚点として残すわけにはいかない」と述べた。自衛隊内でも「思想信条の自由を定めた憲法19条の精神に反する」(幹部)との批判がくすぶっており、防衛省は通達撤回の検討を余儀なくされそうだ。

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