2010.11.1 13:00
【モスクワ=遠藤良介】インタファクス通信などによると、ロシアのメドベージェフ大統領は1日、空路で北方領土の国後島に入った。旧ソ連・ロシアの国家指導者が日本の北方領土を訪問するのは初めて。ロシアによる実効支配を強く誇示する狙いがあり、尖閣諸島近海の中国漁船衝突事件に続いて日本の外交姿勢が問われる事態となった。
大統領は1日午前、訪問先のベトナムから極東サハリン(樺太)のユジノサハリンスクを経由し、国後島を訪れた。現地では地熱発電所や水産加工場などを視察してインフラ(社会基盤)整備の状況を確認。「ここでの生活はロシア中央部と同様に良くなる」と述べ、中央からの資金投下を続ける考えを示した。
大統領の北方領土訪問計画は9月末に浮上。日本政府は「両国関係に重大な支障が生じる」と警告していたものの、ロシアはそれを完全に無視した。
メドベージェフ大統領は、今月中旬に横浜で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)参加のために訪日する予定。日中関係が悪化している状況もとらえ、領土問題をめぐる対日圧力を強めて日本の出方を探る構えだ。
ロシアは今年夏、択捉島で大規模軍事演習を実施したほか、日本が第二次大戦の降伏文書に署名した9月2日を事実上の「対日戦勝記念日」に制定するなど対日牽制(けんせい)を強めていた。