行政院が19日に声明を発表、中国大陸広東省の広州で開かれているアジア大会において、中華民国台湾の女子テコンドー選手が受けた不公平な待遇について、アジアテコンドー連盟に対して謝罪と賠償を強く求めた。
17日、女子49キロ級一回戦に出場した楊淑君・選手は第1ラウンド9対0とリードしたところで突然試合を止められ、足に履いていた電子防具が規定に反しているとされて失格処分となった。しかし、この電子防具は試合前の検査で合格している上、試合直前のチェックも経て試合が始められていることから、中華民国代表団は理不尽な判定と強く抗議、同競技の技術委員会はこれを受けて判定について検討はしたものの、結局、失格処分という決定は覆さなかった。
さらに、アジアテコンドー連盟の公式ホームページでは18日、「チャイニーズタイペイ(中華民国台湾)の驚愕のペテン行為」という見出しのニュースリリースを発表した。試合開始後45秒たったところで、楊・選手の電子防具のかかとの部分にあってはならないセンサーが見つかったと指摘している。これに対して中華民国行政院は19日、試合を記録した映像で、楊淑君・選手が試合前にレフェリーの指示に応じてかかとのセンサーを取り外していることが明らかであることを指摘、アジアテコンドー連盟の説明は不正確で言い方もたびたび変わっているとして、同連盟は過ちを認め、謝罪するとともに選手に理にかなった説明と賠償をするよう要求した。行政院の声明では、アジアテコンドー連盟がホームページでこのような文章を発表したのは、真相が明らかになる前に世論を固め、選手と中華民国チームを侮辱するためのもので、わが国の代表団と国民に補うことのできない傷を負わせたと強調している。なお、楊・選手がかかとに付けていたセンサーは旧式の電子防具の使用説明書に沿ったもので、「改造」ではない。
この事件では楊・選手の電子防具が旧式のものであったこと、センサーが貼られていた位置、センサーがいつ貼られ、いつとられたのかなどが問題となっている。しかし、旧式のものがすでに使用禁止とされていたならば、なぜ事前の検査に合格したのか。センサーの数画規定より多く、これが規定違反だったとした場合、試合直前に発見された時点でなぜ失格にならず、それを取り外したことで試合が始められたのか、そして試合の途中で失格処分にされたのか。これらの疑問に対し、世界テコンドー連盟ならびにアジアテコンドー連盟は明確な説明をしておらず、「試合途中でセンサーを見つけた」という事実と異なる主張をするなど混乱気味であるにもかかわらず非を認めようとしない上、中華民国台湾のフェアプレー精神を侮辱する声明をホームページ上で発表したことで、台湾では憤りの声が高まっている。この憤りは、失格処分のキーパーソンおよび世界テコンドー連盟の事務局長がいずれも韓国人であることから、韓国製品の不買運動、アジアテコンドー連盟の公式ホームページへのハッカー行為などに広がっており、影響が懸念されている。
馬英九・総統は17日夜に続いて19日にも中華民国政府の厳重抗議を重ねて表明している。
騒ぎがますます拡大していることで、アジアオリンピック理事会は20日、アジア大会テコンドー会場で記者会見を開き、事件の調査にかかわる姿勢を示した。また、映像資料で従来の主張が否定された形のアジアテコンドー連盟は20日、ホームページでの文章を削除、謝罪したと伝えられている。
楊淑君・選手は金メダル候補の一人、同競技で優勝した中国大陸の選手の対抗馬と見られていた。このため韓国と北京当局が手を組んでの陰謀と疑う人も。
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