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放送批評懇談会が選ぶベスト番組【ギャラクシー賞月間賞】

検察のイメージは誰が作ったのか?〜NHK「堕ちた特捜検察」

GALAC 2010年12月号掲載) 2010年11月21日(日)配信

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NHKスペシャル
「堕ちた特捜検察〜エリート検事 逮捕の激震」
9月26日放送 21:00〜21:49
日本放送協会

証拠改ざん事件で主任検事が逮捕された後、数日を置かず緊急特番として組まれたNHKスペシャル「堕ちた特捜検察」。テレビが持つライブの力を久々に感じることができた。番組内で取り交わされた討論の中で、「正義の検察」という物語が崩れていく様を目の当たりにした。

討論の進行役・鎌田靖NHK解説委員が、今回の改ざん事件は「長年報道に携わってきた自分としても、あり得ない思いがする」「検察の信頼が崩れようとしている」と切り出す。ゲストの元東京地検特捜部長・熊崎勝彦は、「想像を絶する事件だ」「証拠品の扱いがお粗末すぎる」と逮捕された主任検事を批判した。

それに対してジャーナリストの江川紹子は、「そんなにびっくりしなかった」「これまでも本人が言ってもいないことを供述調書に書かれたとしている人たちはたくさんいる。その延長上に今回の物的証拠の改ざんがある」と切り返す。足利事件の弁護人・佐藤博史も「今回の事件はあり得ないことではなく、あり得ることだ」「検察が生んだ犯罪だ」という。

2人の反論を聞いていて、郵便不正事件で厚生省元局長が無罪になって以来、私たちは「特捜検察の劣化」というニュースの物語の枠組みでこの事件を認識させられていたことに気づく。以前の特捜部は、徹底的な証拠固めで巨悪を追い込んでいった。ところが、現在は捜査能力が落ち、強引なストーリーありきの捜査に変わってしまったという図式である。だがその物語は、江川の「今に始まったことではない」という言葉でばっさりと切り捨てられる。

江川は、「特捜部が正義の集団だというイメージを作り上げたジャーナリズムの問題もある」とも指摘する。改ざん事件を報道するニュース番組の多くが、検察OBをゲストに呼び解説させていた。この中で特捜検察の「劣化」という物語が生まれたことも忘れてはならない。(藤田真文)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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