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鹿児島・夫婦強殺:無罪主張に死刑求刑 裁判員裁判で初

 鹿児島市で09年、高齢夫婦を殺害したとして強盗殺人罪などに問われた白浜政広被告(71)に対し、鹿児島地検は17日、鹿児島地裁(平島正道裁判長)の裁判員裁判で死刑を求刑した。弁護側は最終弁論で改めて無罪を主張し、結審した。裁判員裁判での死刑求刑は3例目だが、無罪主張の被告に対しては全国で初めて。裁判員は有罪か無罪か、有罪ならば極刑も含む量刑という極めて難しい判断を迫られる。判決の言い渡しは12月10日の予定。

 検察側は論告で、被害者方から白浜被告のものと一致するDNA型の細胞片や指紋、掌紋が採取されたことなどを挙げ「重要な痕跡がすべての場面に存在し強力に殺害犯と推認させる」と述べた。

 そのうえで、83年に最高裁が死刑選択の基準として示した「永山基準」に照らして検討。動機について「金が欲しいという理由で尊い二つの命を犠牲にした」と批判。「2人が血まみれになっていく様子を見ながら執拗(しつよう)に殴り続けた」と残虐性を指弾し「謝罪すらなく、死刑を回避すべき事情は見当たらない」と結論付けた。

 一方、弁護側は最終弁論で、被害者宅室内の指紋の付着状況などを「不自然」と主張。「第三者が事件を起こし、指紋を転写するなど偽装工作した可能性は否定できず、合理的な疑いが残る」と無罪を訴えた。白浜被告は最終意見陳述で「ぬれぎぬを着せられ、奈落の底に突き落とされた。無実を証明していただき、私の一族の苦しみを取り除いていただきたい」と話した。

 起訴状によると、白浜被告は09年6月18日午後4時半から19日午前6時までの間、金品を奪う目的で蔵ノ下忠さん(当時91歳)方に侵入、忠さんと妻ハツエさん(同87歳)の頭などをスコップで殴り殺害したとされる。

 被害者の遺族は結審後「死刑求刑は当然のこと。裁遺族の思いが判決につながることを切望します」とのコメントを代理人の弁護士を通じて出した。【川島紘一、黒澤敬太郎、岸達也】

毎日新聞 2010年11月18日 東京朝刊

 
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