【コラム】イギリスがうらやましい(上)

 イギリスの大学生たちが爆発した。ロンドンの中心部で先週、大学の授業料改革に反対を叫ぶ5万人の学生たちが、プラカードや生卵、ガラスびんを投げるなどして大規模なデモを繰り広げた。デモ隊の一部は、保守党の閣僚の執務室があるミルバンクタワーのガラス窓を割って建物の中に進入し、屋上まで占拠した。このデモで、警察と学生合わせて数十人が負傷したほか、大勢の学生が身柄を拘束された。1990年の人頭税導入に反対するデモ以来、20年ぶりの大規模な暴力デモとなった。

 イギリスの学生たちがデモを起こした理由は、同国政府が最近、現在は年間3290ポンド(約44万円)の大学授業料の上限を、2012年までに最大9000ポンド(約121万円)へと引き上げる案を発表したからだ。今年5月の総選挙で「授業料廃止」を公約に掲げた自民党のニック・クレッグ党首(現副首相)が、保守党と連立政権を組んだ後、授業料引き上げに賛成する側に回ったため、学生たちの不満が倍増したというわけだ。

 イギリスの大学は、もともと無償教育の対象だった。ところが、ブレア政権時代の98年、1100ポンド(約15万円)程度の授業料が導入され、06年にはその上限を3000ポンド(約40万円)に引き上げた。財源不足で大学教育の質が低下し、中国やインドの大学との競争でも押されている、という危機感から打ち出された「苦肉の策」だった。イギリス政府は低利で授業料の融資を受けた後、分割返済するという「所得連動型授業料後払い制度」を導入したが、借金をして卒業した大学生たちが就職難に苦しむ中、あちこちで不満が噴出した。

 こうした状況を十分に把握していながら、イギリス政府がまたも授業料の大幅引き上げに乗り出したのは、財政赤字のためだ。イギリスの昨年度の財政赤字は1560億ポンド(約21兆円)で、国内総生産(GDP)の12%に達する。膨らむ一方の財政赤字を解決するため、同政府は今後4年間で公務員を10%減らし、政府各部局の財政支出の規模も平均19%削減するという厳しい緊縮財政計画を発表した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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