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國民新聞・平成22年06月25日の記事(その3)

[国防ニュース]

▼岡田外相の核軍縮要求に反撥—中国

 岡田克也外相は五月十八日の記者会見で、先の日中外相会談で核軍縮を要求したことに中国外務省が反撥する談話を発表したことについて、「根拠のないものだ。核軍縮の問題は冷静かつ真摯な議論が必要だ」と反論した。

 岡田外相は同十五日に韓国・慶州で中国の楊潔(竹に虎)外相と会談した際、「五つの核保有国の中で核兵器を増やしているのは中国だけだ」として、核兵器の削減か現状維持を要求したが、楊氏は「いかなる形の核軍縮も行うつもりはない」と反撥した。

▼中国海軍を監視—日米防衛トップ

 ワシントンで五月二十五日に行われた日米防衛首脳会談では、活動を活溌化させる中国海軍の監視や情報交換を強化することで意見が一致。日本周辺海域で繰り返される中国海軍の示威行為と同軍の外洋作戦能力向上に、日米が強い懸念を示した。

 北澤俊美防衛相は中国艦艇の最近の活動や動向をゲーツ米国防長官に説明。「護衛艦に対する近接飛行に見られるように、潜在的に偶発的な事案が発生する危険性がある」と指摘。ゲーツ長官は「警戒監視を含めて協力していく」と応じた。

 今後、神奈川県・横須賀基地を拠点とする米第七艦隊と、海自による中国海軍に対する監視活動が一段と強化される。

▼「離島保全法」成立

 海底資源開発や排他的経済水域(EEZ)の権益を守るため、日本最南端の沖ノ鳥島(東京都)や最東端の南鳥島(同)などの離島保全を図る低潮線保全・拠点施設整備法が、五月二十六日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。中国は法律制定に反撥している。

 同法は島の海岸線を守るため干潮時の海岸線でEEZ設定の基準となる「低潮線」の周辺水域を保全区域として指定するよう定めた。さらに、EEZ設定や資源開発に関係する離島を「特定離島」に指定し、港湾など調査・開発拠点を整備することも盛り込んだ。

 沖ノ鳥島を巡っては、政府が島を基点とした大陸棚の拡張を国連に申請しているが、中国は国連海洋法条約上、EEZや大陸棚を設定できない「岩」に当たると主張、拡張に反対している。

 同法制定には、船舶の接岸施設がない沖ノ鳥島に施設を設けることで、内外に島であることを示す。また、南鳥島周辺では、稀少金属コバルトの採鉱が有望視されており、海底資源の開発推進も目指す。

▼防空識別圏、与那国島西側に拡大—防衛省

 防衛省は日本最西端の沖縄県・与那国島の上空を通る「防空識別圏」の境界線を設定し直す。領空侵犯を警戒する空域の防空識別圏は通常、領土から十二海里の領空を取り囲むように設定されるが、与那国島では境界線が真上を通っている。近日中に与那国島の西側の領空まで拡大する。

 防空識別圏では侵入してきた他国の軍用機などを監視し、領空侵犯の恐れがある場合には、自衛隊機を緊急発進させる。米軍が昭和三十一年に設定し、同四十四年に防衛庁が訓令を作成して引き継いだ。島の東側三分の一は日本の、西側三分の二は台湾の防空識別圏になっており、同県が国側に見直しを要望していた。来月にも防衛省が内部規定である訓令を変更し、領空と重なる形にする。

▼ロシアの爆撃機二機と原子力ミサイル艦が我国に接近

 ロシアのツポレフTu95型爆撃機二機が五月十二日、朝鮮半島沖を南下して我国に接近、山陰・見島沖を経て隠岐島と竹島間を抜け能登半島、秋田県沖を北上。その後、北海道に沿って稚内沖、オホーツク海沖から北方領土を抜けて太平洋側に進出、青森・三沢沖から茨城県沖までを周回した後、再び北方領土からオホーツク海、稚内沖を経てハバロフスク州方面に戻った。このため空自の北・中・西各方面隊のF15戦闘機などが緊急発進した。

 また同十六日、長崎県下対馬の南東二二キロの海上を北東進するロシア海軍の「キーロフ」級原子力ミサイル巡洋艦一隻が対馬海峡を北上した。

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西紀2010年09月02日更新
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