【コラム】国民の怒りに火を付けた政治家の詭弁(下)

 そこでカネに目がない政治家が考え付いたのが、少額後援金制度を巧妙に利用した各種の手法だ。10万ウォン(約7300円)の政治後援金を拠出すれば、10万ウォンを返してもらい、さらに税金控除が受けられる制度が主なターゲットとなった。大金を小分けにして10万ウォン以下の資金を受け取ったかのようにする方法や、大企業や機関、労組団体の多数の所属員が自発的に10万ウォンずつ拠出したかのように見せかける手法が使われた。

 最初は企業や機関、団体が職員や労組員に後援金を拠出することを奨励する程度だったが、最近は議員らがこの問題について事前に相談したり、大金とともに10万ウォンの後援者として記載するリストを提出するケースもあるという。この方法で、5000人余りの請願警察官が8億ウォン(約5830万円)をかき集めた。そして請睦会は、これまでのロビー活動を、インターネットを通じて生中継した。これよりも大金でロビー活動を繰り広げる企業、機関、団体は、後に物証となるような痕跡を絶対に残さない。こうした点で、請睦会のロビー活動は「純真」だった。

 与野党の議員らは、「少額の後援金を問題にしていれば今後政治ができない。10万ウォン以下の後援金は、出所の確認が不可能」と反論している。

 しかし、この主張は正当ではない。政界がこれまで、いかなる方法で少額後援金制度を悪用してきたかを、政治家自らがよく知っているはずだ。また政治家は、韓国政治が請願警察官のように、経済的事情が困難な人々の手を借りるほど哀れな身になってはいけないということを知るべきだ。

 ところが請睦会事件以降、政治家らの発言は詭弁(きべん)の連続だ。

 請睦会の働きかけを受けた議員らは、「力のない人を助けて何が悪いのか」と話し、野党の重鎮議員は「国民が差し出す施しをなぜもらわないのか」と主張した。韓国の政治は「哀れな人を助け、その見返りとしてカネをもらった」という声が出るほど、哀れな境遇に追い込まれている。にもかかわらず、国民の世論が検察側を支持するのは、今の政界の姿に憤怒しているからだ。

朴斗植(パク・ドゥシク)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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