(CNN) 過去100年間で10万頭から3600頭前後に激減した地球上のトラを絶滅から守ろうと、ロシアのプーチン首相と世界銀行が初のサミットを主催し、トラの生息地13カ国の高官らが参加している。
サミットはロシア・サンクトペテルブルクを会場に、21日から4日間の日程で開催。参加国にはインド、中国、インドネシア、ミャンマーなどが含まれる。
プーチン首相は2008年に誕生日プレゼントとしてトラの子を贈られている。トラは同氏宅で数日過ごした後に動物園に移った。また、同年シベリアの保護区でトラに追跡用器具を装着した経験などから、ひときわ熱心に保護を訴えてきた。
同国極東地域には、世界にすむ野生トラの9%に相当する約400頭のシベリアトラが生息する。密猟や違法取引を取り締まる厳しい法律が功を奏し、保護に成功した数少ないケースのひとつとなっている。ただ近年は、パトロールの手が緩みがちとの批判もある。世界自然保護基金(WWF)米国事務所でトラ保護プログラムを率いるバーニー・ロング氏は、「トラを救う方法は分かっていても、それを実行するための政治的意思と資金援助を維持する方法は解明されていない」と話す。
専門家らによれば、生息数が増加に転じた国としてはロシアのほかにインドも挙げられる。一方、中国では93年にトラの骨の国内取引が禁止され、漢方薬用途が否定されているにもかかわらず、密猟者の主要な市場とされる実態は変わらない。インドネシアやミャンマーのように、たとえ政治的意思があっても資金不足のために保護策を実行できない国もある。
専門家らは、サミットで解決策が生まれなければ、次のトラ年となる2022年までに野生のトラが絶滅する恐れもあると危機感を示している。