野宿生活者を取り巻く問題を解決する糸口を探ろうと、「岐阜・野宿生活者支援の会」(岐阜市)が20日、「ホームレスの現状を知り共に考える会」と題した勉強会を同市で開いた。講師は、「野宿者ネットワーク」代表、生田武志さん(46)=大阪市西成区。生田さんは「野宿生活者への偏見をなくし、仕事を増やしたり分け合うなど、社会構造を変える必要がある」と訴えた。
生田さんは、学生時代の86年、路上生活者の生活を描いたドキュメンタリーを見て衝撃を受け、野宿生活者の支援活動を始めた。現在は支援活動に加え、全国の中学、高校などで貧困問題の授業を行っている。
生田さんは、失業者や野宿生活者が生まれる状況をイス取りゲームにたとえた。「人に対しイス(仕事)が少ない限り、必ず誰かが失業してしまう。努力してないから仕事を失うのではない」と指摘し、公的就労などで仕事数を増やすことや、ワークシェアリングの必要性を訴えた。
また、一度野宿生活になると、「仕事の面接を受ける服がない」「住所がない」「保証人がいなくてアパートに入居できない」などと悪循環に陥り、どんどん復職が難しくなると指摘。「服を貸す、お金を貸すなどの一時的な支援も欠かせない」と訴えた。
「岐阜・野宿生活者支援の会」のメンバー、清水由子さんは「岐阜市内では野宿生活者は一時減少していたが、08年のリーマン・ショック以降、また増えている。彼らが抱える問題の根本を知り、どんな支援ができるかを、市民全体で考えなければいけない」と語った。【石山絵歩】
毎日新聞 2010年11月21日 地方版