2010年11月21日9時0分
【ソウル=箱田哲也】北朝鮮で今春、人民経済計画法などが改正され、国家による統制、管理がいっそう強化されたことがわかった。韓国の関係筋が改正法の文面を入手した。金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男、正恩(ジョンウン)氏への権力継承に向け、市場が活性化して国内が不安定化することを避ける狙いがあるとみられる。
関係筋によると、人民経済計画法は今年4月の最高人民会議常任委員会で決まった政令によって改正された。同法は2001年の改正時には、むしろ計画経済を柔軟化していた。だが、今回の改正では「計画作成過程で生産単位の意見を上部に伝える」といった内容が削除され、計画は一方的に下達される形に戻ったという。
また、3月の政令で平壌市管理法も改正されたことがわかった。首都の管理・運営での国の役割を強調。国民を分類する、いわゆる出身成分が良いとされる平壌市民に対し、市民証の常時携帯を法で義務づけたほか、平壌を「主体の聖地」「朝鮮人民の心臓」などと強調した。
南北問題に詳しい専門家は「基本的に生産性向上を狙った昨年の150日戦闘、100日戦闘や、デノミネーション(通貨単位変更)などと同じ流れで、権力世襲に向けて徹底した国内管理を強めようという動きだろう」と話す。