セイタカアワダチソウというのは、北アメリカ原産の帰化植物です。
河原や空き地などに群生して生え、先端に毒々しい山吹色の花をつけます。
高さは1〜2.5メートルほどで、よく肥えた土地だと4メートル近い背丈になることもあります。
もともと、日本の秋といえば、ススキ、彼岸花に、コスモス(秋桜)など、中間色系のやさしい色合いの花が主流です。
考えてみてください。
あれほど真っ黄色に群生する植物でありながら、万葉集や江戸期の風物詩には、セイタカアワダチソウは一切登場しない。
要するにこの植物、北米原産で、先の大戦以降、米軍の持ちこんだ輸入物資にまぎれて渡来したのです。
そして、急速に全国に普及し、大繁殖した。
おかげで、日本に古くからある、空き地の秋の草花たちが、一時はとことん駆逐されてしまっています。
数年前までは、秋になるとススキが群生し、コスモスがやさしい色合いの花を咲かせていた空き地に、このセイタカアワダチソウが、2〜3本、生えたなあと思ったら、翌年には空き地のあちこちで群生がはじまり、数年後には、その空き地は、すっかりセイタカアワダチソウに占領されてしまう。
おかげで、窓から見えたコスモスも、可憐な彼岸花も、ぜんぶいなくなって、野原はセイタカアワダチソウの毒々しい黄色の密生だけが目立つようになる。
これが日本全国で起こった。
セイタカアワダチソウは、いままでいた日本古来の植物を全部駆逐し、まるでそこが自分たちだけの住む世界のように変えてしまった。
それだけじゃありません。
セイタカアワダチソウは、地下50センチくらいまで、深々と丈夫な根を張るのだけれど、そこから毒素を分泌するのです。
毒素は、他の植物を枯らすだけでなく、土の中にいるモグラやミミズなど、土地を豊かにしてくれる動物や昆虫たちまでも駆逐してしまう。
日本古来の草花たちは、みんなこれにヤラレて、生えなくなってしまったのです。
そしてセイタカアワダチソウは、先端に付けた密集した黄色い花から、大量の種子を四方八方に飛ばします。
季節がかわって、ようやくセイタカアワダチソウの地上部分が枯れたと思っても、奴らは、地下の根茎から新らしい芽を湯水のように出しながら越冬する。
翌年になると、その地下茎の芽から続々と発芽し、空き地を我が物顔に占拠するのです。
とにかく、このセイタカアワダチソウには、郷に入って郷に従おうとか、他の草花との共生を図ろうなどという意思が、カケラもない。
自己中と図々しさと我がままのカタマリのようなヤツラなのです。
おかげで、関東以西から九州にては、秋ともなれば、すっかりセイタカアワダチソウに野原を占拠されてしまった。
秋の七草なんて中間色系のやさしい風情はどこへやら、日本全国、空き地という空き地がセイタカアワダチソウに侵略されてしまったのです。
そして、もはや日本の野原は、完全にセイタカアワダチソウが牛耳ったかのようにさえ見えた。
セイタカアワダチソウの繁殖のおかげで、空き地に咲いていた秋の風物詩の萩(はぎ)、桔梗(ききょう)、なでしこ、葛(くず)、藤袴(ふじばかま)、女郎花(おみなえし)、コスモス(秋桜)なども、みんないなくなってしまったかにみえた。
ところが、です。
このセイタカアワダチソウの圧倒的な侵略に対して、グッと立ち上がった日本純正の植物があります。
ススキです。
ススキ

ススキは、漢字で書くと「芒」とか「薄」と書きます。
「カヤ」とか「オバナ」とも呼ばれます。
ご存知の通り、先端にボォっとした穂をつける秋の草花です。
根がしっかりしているので、困らせられることも多いけど、とにかく人間と仲良しで、穂も茎も全部、人に利用されます。
もともと、ススキはイネ科の植物なのです。
未成熟な穂は昔は食用にされたものだし、ススキの穂はそのまま家畜の飼料になりました。
いまでも東京の雑司ヶ谷の鬼子母神では、ススキの穂で編んだミミズク細工が民芸品として売られています。
昔の農家といえば、茅葺屋根(かやぶきやね)が多く見られたものですが、この「茅」というのは、ススキやチガヤ(ススキの一種)のことをいいます。
つまり、ススキは屋根になる。
ちなみに、屋根を藁(ワラ)で葺(ふ)くとワラブキ屋根、草で葺くとクサブキ屋根と呼びます。
こうしたことから、昔は、集落の近くには、かならずと言っていいくらい、定期的にススキを刈り取るためのススキの繁殖地が置かれました。
そして、そういうところが、茅場(かやば)と呼ばれた。
そうなんです。
いま、東京証券取引所がある東京の茅場町(かやばちょう)は、まさに昔、ススキの繁殖地だったところなのです。
ススキは、株が大きくなるのに時間がかかります。
けれど、次第にしっかりとした根(株)を張って群生する。
そして人々の家の屋根となって、人々の暮らしを守る。
さらにね、ススキが空き地を埋め尽くすようになって何年か経つと、地味が肥えるのです。そうすると、そこにアカマツなどの先駆者的な樹木が生えてくる。
そうです。
ススキは群生後、長い年月をかけて、その地をしっかりとした樹木の生える森林へと変化させてくれるのです。
すこし余計なことを書くと、空き地には、いろいろな雑草が生え、最初草原のようになります。
そして植物の大系上、最後に群生するのが、実はススキなのです。
そしてススキが群生して何年か経つと、そこにアカマツなどの樹木が生えるようなる。
原野が草原となり、やがて森になるのです。
東京の茅場に、証券取引所を作った人たちは、まさに、ススキの株が、時間をかけて着実に育ち、そして人々の暮らしを支えながら、土地そのものをしっかりとした幹を持つ森に変えてくれる。
そういうススキの生態を、証券への思いに託して、ススキの繁殖地だった茅場町に証券取引所を作ったのです。
セイタカアワダチソウは、自分だけが群生し、密生し、地下に毒素を撒き散らして他の植物を追いやります。
そして、自分たちが密生するだけで、花も幹も根も、人々の生活には何の役にも立たない。
要するに、彼らは、他の動植物すべてに対して、敵対的なのです。
日本的「共生」や「和」の精神なんてカケラもない。
なでしこ

ところがです。
ここは日本です。
天はしっかりと見ている。
セイタカアワダチソウは、我が物顔に群生した。
そして自分たちだけの繁栄のために、地味の肥料成分までみんな吸い上げてた。
土地を枯らした。
そのために、彼ら自身が生きるための栄養分まで欠如させてしまったのです。
それだけじゃありません。
セイタカアワダチソウたちが、自らが分泌した毒素(アレロパシー)の影響で、彼ら自身まで被害を被るようになった。
おかげで、一時はあれほどの興勢を誇ったセイタカアワダチソウが、最近では自滅をはじめました。
その痩せた土壌で、それまでじっと耐えていた日本古来のススキが、野原でふたたび勢いを取り戻し始めたのです。
ススキは、セイタカアワダリソウが枯らした土地にふたたび栄養素を与え、毒素を消化し、土地にふたたび栄養素を与えます。
草影に、少しずつではあるけれど、おみなえしや、なでしこなどが戻ってきた。
モグラやミミズも帰ってきた。
一時は、自己中で排他的なセイタカアワダチソウに奪われたかに見えた空き地が、いまふたたびススキやなでしこなどの共生型の草花のものに戻ってきたのです。
ここまで来るのに、何年もかかった。
でも、着実にセイタカアワダチソウは、自滅をはじめ、日本古来の草花が、美し花を咲かせるようになってきた。
いまもまだ、排他的なセイタカアワダチソウの群生は、そこここでみられます。
けれども、彼らは、排他的であるがゆえに、一時的には興隆を誇っても、結局は自滅していく。
そしてもとからある日本の草花が、友を呼び、様々な美しい花を野原に咲かせてくれる。
日本の古来種が、いま、ふたたび野山にもどりつつあるのです。
なんだか、こうした植物たちの戦いは、日本という国そのものを見ているような気にさせられます。
いまこれをお読みのあなたが、もし、セイタカアワダチソウの群生する中に、ほんの少々のススキを見かけたら、遠くからでもいい、ぜひ「がんばれよ」と声をかけてあげてください。
ススキは、私たち日本人の仲間なのですから。
日本て、いいね♪ と思った方
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秋の七草
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みなさまへ
11月17日から27日まで、入院のためブログの更新ができません。
そこで期間中、過去のエントリーの中の昔のオススメ記事を、若干の加筆修正をして再掲しています。
本日の記事は、↓の記事をもとに、若干の原稿の稿正をしたものです。
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-1055.html
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佐賀県の田舎に棲んでいるので、家内が庭にススキを2か所植えていてとても栄えています。どんどん増えてくれるので、夏には一部刈り取って野菜の根元に敷かせてもらっています。50年ほど昔の子供のころ、道すがら幼い穂を食べていたことを思い出しました。とっても元気が出るお話ありがとうございました。
「日本を狙って自滅する中国」徳間書店¥1400
978-4-19-863070-6
を思い出しました。
ススキは、我々日本を愛する日本人です。
目からうろこ
売国政党・自民党 超売国政党・民主党
「桜井誠」
2010年11月19日(金) 08時25分58秒
時事徒然/潮目など より
ttp://ameblo.jp/doronpa01/entry-10711514592.html
『ただし、前々から指摘していますが政権が民主党から自民党に代わったとしても、もともと自民党政権の敷いたレールを暴走特急よろしく民主党が驀進しているだけであることを考えれば、基本的な政治の流れ(日本解体) は変わらないと思います。』
ねずきちさんが全面的に支持する桜井誠さんの意見です。
そのとおりだと思います。
自民党も民主党も仲間で、強烈かどうかの違い。
洗脳されたらそれがわからない。