【社説】中国はノーベル平和賞授賞式を妨害するほど小さくなる
中国は、来月10日にノルウェーで行われる民主活動家・劉暁波氏のノーベル平和賞授賞式に、他国が参加できないよう外交的な圧力をかけている。中国の崔天凱外務次官は5日、「ヨーロッパ諸国が劉暁波を支持し続けるなら、その代償を払うことになるだろう」と述べ、駐ノルウェー中国大使館は、毎年授賞式に招待されているノルウェー駐在の各国大使たちに欠席を促す書簡を送った。米国・日本・イギリスをはじめとする36カ国は授賞式への出席を決めたが、ロシア・カザフスタン・キューバ・モロッコ・イラクは欠席する。韓国を含めた16カ国は、ノーベル賞委員会が求めた出欠通知期限の15日を過ぎても回答を保留している。
中国は、劉暁波氏が2008年に中国共産党の一党支配廃止などを訴える知識人の運動を先導し、懲役11年の刑を受けていることを挙げ、「犯罪者にノーベル平和賞を与えることは賞に対する冒涜(ぼうとく)」と反発している。中国は、劉暁波氏にノーベル平和賞が与えられる背景には、西側諸国が中国をけん制し、中国の政治に介入しようとする布石を打ったものと考えている。中国がどのような見解を持っていようと、また、その見解の是非がどうであろうと、授賞式に出席するかどうかは各国の主権に属する問題だ。中国が、これまではぐくんできた力を、授賞式を欠席させるための圧力として使うのは、国際社会の基本的な常識に逆らう行為だ。
中国は劉暁波氏の妻、劉霞さんを自宅軟禁しているほか、知人までも拘禁または監視している。ノーベル賞委員会は、ノーベル平和賞受賞者や代理人が授賞式に出席できないという事態が75年ぶりに起きることを懸念、「今年のノーベル平和賞は歴史上、最も重要な受賞記録になるだろう」とコメントした。中国がこのような姿勢を取れば取るほど、中国の非民主的な体制が浮き彫りにされ、劉暁波氏が受賞することの価値は高まる。中国は18日、国連人権委員会が決議した対北朝鮮人権決議案にも例年通り反対した。中国が世界の大国への躍進を狙う今、人類の普遍的な価値である人権や自由に対する周囲の目さえつぶらせようとしている現実は遺憾だ。
韓国政府は、内部的にノーベル平和賞授賞式への出席を決めているが、そうした方針を発表しないことにしたという。こうしたことほど、正道を歩まなければならない。