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きょうのコラム「時鐘」 2010年11月21日
北陸の暮らしでは、小春日和の青空がひときわうれしい。澄み切った空に、霊峰が映える。白山も立山も、すっかり雪化粧である
二つの山並みが一緒に眺められる場所が幾つかある。例えば、石川県庁の19階展望ロビー。天下の三名山の二つを目にできるぜいたくが味わえる。どっちも気高く、美しい 昔々、二つの山は背比べをしたそうな。頂上に長い樋(とい)を掛け、水がどっちに流れるかで判定した。山の神は、やることが大きい。絶滅したはずのライチョウが北アから白山へとはるばるやってきたのも、神さまの大いなる導きがあったからだろう それを機に、隣同士でライチョウの保護に取り組んでいる。まずは近縁種の飼育・繁殖に挑戦。霊峰の背比べならぬ、自然保護の知恵比べである。佐渡のトキ、但馬のコウノトリに負けず、北陸のライチョウをお国自慢にしたい 山の背比べは白山が勝った、と教わった。頂上にわらじを積み上げて、高さをかさ上げしたという。まさか、神さまがそんな小細工をするはずもない。合点のいかぬ昔話もあるが、悪知恵は遠い昔からあったのだと思えばいいか。 |