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【主張】民主党の統治能力 国民の我慢も限界にきた
民主党政権の統治能力の欠如がまた露呈し、政権運営がダッチロール状態になってきた。
菅直人首相は19日の閣僚懇談会で「緊張感を持って取り組むように」と閣僚たちに指示したが、タガがはずれている状況をつくり出しているのは、政権を担当する能力が欠落しているためにほかならない。
問題ある閣僚の続出が、そのことを端的に示している。もはや弥縫(びほう)策では、この政権の行き詰まりを打破することは望めない。国民の我慢が限界にきていることを為政者は深く認識すべきだ。
国会の焦点は、答弁を軽視した地元の会合での発言が問題視され、閣僚の資質が問われている柳田稔法相の進退問題だ。
自民党は22日に衆院に不信任決議案、参院に問責決議案を提出するが、野党が多数の参院では問責が可決される可能性がある。
政府・与党は当初、法相の進退は問わないと判断、柳田氏も参院予算委員会で発言を陳謝したことから、「検察改革も大きな責務。成し遂げなければならない」と辞任しない考えを示していた。
だが、その後、補正予算案の成立を確実にするためには、問責決議案の動きに合わせて、柳田氏を更迭することは避けられないとの判断へと転換した。
当初の擁護姿勢は、柳田氏が辞任に追い込まれれば、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件やビデオ流出対応をめぐり、衆院で不信任決議案を出された仙谷由人官房長官や馬淵澄夫国土交通相らに対する問責決議案提出に発展しかねず、それを防ぐためだったという。
その場しのぎの対応が繰り返されている。こうしたやり方を菅政権が取り続けていることで求心力を失っている。衝突事件で公務執行妨害の容疑で逮捕した中国人船長を釈放したことや、胡錦濤国家主席の来日とアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出席を最優先させた対中姿勢も同じ文脈といえる。
財政再建や社会保障など与野党で協議して解決すべき課題は少なくない。早急に取り組まなければ危機を脱することができない。にもかかわらず、先送り手法しかとらないのは極めて残念だ。
民主党政権には無理なのであれば、国民の利益につながる政策を実現するため、国民の信を問い直すしかあるまい。