私の手元に『朝日新聞』の世論調査(11月13‐14日実施)の非公開資料がある。菅直人政権が厳しい局面に立たされていることは、各メディア・識者が指摘する通りだ。だが、その内実は伝えられている以上に深刻である。内閣支持率が27%にまで急落、不支持率は52%に達したことは同紙15日付夕刊で報じられた。
この非公開資料によると、その深刻さがよく分かる。全体の年代別を見ると、20代と70歳以上の人の内閣支持率はそれぞれ35%、30%と全体の27%を上回っている。ところが、社会の働き盛りである30代は23%、40代が25%、50代も24%と全体の27%を下回っているのだ。
加えて、これまで民主党の支持基盤だった男の30代が21%、40代は25%、50代も24%、60代は23%と、これもまた全体の27%を大きく下回っているのだ。さらに言えば、無党派層の内閣支持率は何と13%にまで下落した。
報道された政党支持率については、全体で民主党支持が25%、自民党支持は19%で未だ6ポイントの差がある。しかし、その非公開の資料によれば、全体の年代別の70歳以上は民主党支持が28%、自民党支持は30%、女の年代別でも70歳以上は民主党支持が24%、自民党支持は29%であり、後期高齢者では民主、自民の支持率が逆転したのだ。
民主党にとって厳しい数字ばかり紹介することになるが、「仮にいま、衆院院選挙の投票をするとしたら、あなたは、比例区ではどの政党に投票をしたいと思いますか?」という質問の回答は凄まじいものだ。全体で民主党は28%、自民党が27%と拮抗した。ところが、先の資料を見ると、次のような結果が出ているのだ。
男の年代別で30代は民主党28%、自民党29%、40代が民主党31%、自民党30%、50代は民主党29%、自民党28%、60代が民主党29%、自民党36%。女の年代別でも40代が民主党18%、自民党26%、70歳以上は民主党25%、自民党35%---。男の30代から50代では両党はほぼ互角だが、60代の男と、女の40代、70歳以上は自民党に1票を投じると答えた人のほうが10ポイント前後の差を付けて多かったのだ。
以上、詳しく精査してみて分かったことは、民主党政権が誕生して1年2ヵ月経って初めて(1)30代から60代男性の"民主党離れ"が起きた、(2)これまで以上に高齢女性の"民主党嫌い"が顕著となった、(3)男女を問わず若い世代と高齢者の菅政権批判が強い、(4)これまで民主党政権を支持してきた無党派層が菅政権支持から剥離した---。
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